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インタビュー

そうだ、ジンタクとミスチルの話をしよう。〜ぼくはMr.Childrenみたいになりたい〜

 好きなことや好きなものについて、夢中で話している人は、楽しそうで、キラキラしていて、いつもと違った表情が見えたりする。卓球選手が「好きなこと・好きなもの」について語ったら、どんな話が聞けるのか。そうして思い浮かんだのが「ジンタク」こと神巧也選手(ファースト)に、彼が敬愛してやまない国民的バンド「ミスチル」ことMr.Childrenについて語ってもらおうという、このインタビュー。ほとんど卓球の話は出てきませんが、最後までお付き合いいただければ幸いです。ちなみに担当の編集部・浅野はインタビューの後、無性にミスチルが聴きたくなりました。

〈インタビュー・浅野敬純〉


■布団の中から始まった『終わりなき旅』

-なんか、すいません。変な取材のお願いで。まず、Mr.Childrenとの出会いっていつ頃だったんですか?

 中学生の時ですね。7歳上の兄が(Mr.Childrenを)好きだったんで、小学生の頃も家で聞いてはいたんですけど、まだそこまではって感じでした。

 

-中学生でのめり込んだキッカケみたいなものって何だったんでしょう?

 青森山田に入って、本格的に競技に励むようになってきて、思春期だったり、そういう時期に聴いて響いたっていう感じです。

 

-その頃、よく聴いていた曲って何でした?

 その頃は『終わりなき旅』。サッカー選手だったり、いろんなスポーツ選手が「好き」って言いますよね。当時、全中が青森であって、勝ちたかったけど全然勝てなくて。悔しくて大号泣していたんですけど、ずーっとエンドレスで聴いていましたね、布団にくるまりながら。最初に良いなって思ったのは『終わりなき旅』ですけど、他の曲も良いなって思うようになって、アルバム単位で聴いていきましたね。

地元・青森で開催された全中で上位進出を目指すもベスト16で敗退

 

-それぞれのアルバムから自分の好きな曲を集めて、「ジンタクBEST」みたいなものを作ったりは…

 そういうことはしなかったです。それはもうアルバムごとにコンセプトがあるので。だから、そのコンセプトを味わいながら聴いていました。

 

-そこに対してもリスペクトがあると。

 そうです。アルバムごとの物語を楽しむ感じですね。

 

-どんな時にMr.Childrenの曲を聴くことが多いんですか?

 試合の前は必ず聴きますし、車を運転しながらも聴くし、普段からよく聴いていますね。今はサブスクの時代なので、ずっと流していたり。でも、CDが出たら絶対発売日に買うようにしています。

 

-CDを買うのは、やっぱりリアルな物として残しておきたい気持ちがあるというか。

 この前、安室奈美恵さんの曲がサブスクからなくなるってニュースがあったじゃないですか。それでサブスクってそういうリスクもあるから、絶対にCDは買っておくべきなだって思いました。

 大学で東京に出てきてから発売されたアルバムは全部買っているし、その前に発売されたアルバムも揃えました。今は1作目から最新作まで、全部持っています。

 

-CDって、ジャケットのデザインだったり、そうした部分も楽しめますよね。

 ぼくの場合は歌詞カードですね。そこにメッセージが込められていたり、凝ってるんですよ。新しいアルバムが出たら歌詞カードをずーっと見ながら聴いてます。

 

■曇り空の欧州でも、心は『エソラ』

-ライブにも行かれるんですか?

 はい。もう30回くらいは行ってますね。

 

-最初にライブに行ったのって、いつでした?

 高校3年生の時ですね。たまたま青森でライブがあって。寮生活で練習もあるし、普段は行けないんですけど、その日はたまたま練習が早く終わって、チケットも取れて奇跡的にライブに行くことができました。

 

-どうでした? 初めての生Mr.Childrenは。

 それは当然もっと好きになりますよね。そこから大学で東京に住むようになってからはチケットの抽選に申し込んで申し込んで、ライブに行ってました。1回、関東学生リーグの前日のライブのチケットが当たっちゃったことがあって。主務の先輩に「ちょっとこれ(ライブ)行けないと、リーグ戦頑張れないです」ってお願いしました。

 

-え、行ったんですか。

 行きましたね。

 

-それでリーグ戦の結果は…

 全勝しました。たしか6勝0敗だったと思います。

 

-素晴らしい(笑)。やっぱり、同じ曲でもライブとCDだったりの音源だと感じ方って違ったりします?

 ライブだとセットリストがあって、そこにも伝えたいメッセージだったり意味合いがあるじゃないですか。2010年代のMr.Childrenのライブって、結構そういうものを含んでいるセットリストが多かったように思っていて。今はまたちょっと変わってきている気がします。あくまで個人的な感想ですけど。それを考察したり、自分なりに考えたりしていますね。

 

-ライブでの(ボーカルの)桜井(和寿)さんってアーティストでありながらも、どこかアスリート然とした部分もあるじゃないですか。

 そうですね。ご自身もサッカーが好きでやられていますし。もし生まれ変われるなら、本当にMr.Childrenになりたい、なってみたいなっていう気持ちはありますね。

 

-おお、Mr.Childrenになりたい。それはどういう意味で…?

 存在というか、Mr.Childrenみたいになりたいですね。歌もうまいし、人の心を動かすことのできる表現力と歌詞の素晴らしさ、本当にすごい存在だなと思っていて。

 

-今はヨーロッパで生活されているわけですけども、その中でMr.Childrenとのエピソードって何かありますか。

 ぼくは今ポーランドだったりドイツで生活してますけど、この時期のヨーロッパって、ほとんど曇りなんですよ。日が出るのは週に1回くらいだし、日が出るのも遅くて、沈むのも早いので暗い時間も長い。雨も多かったり、どんよりしているんです。でも、『エソラ』っていう曲に「天気が悪くても自分の心次第で、その景色も晴れに感じる」っていうような歌詞があって、ずっとそればっかり聴いてましたね。

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