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インタビュー

そうだ、ジンタクとミスチルの話をしよう。〜ぼくはMr.Childrenみたいになりたい〜

■年齢を重ねたことでの『タガタメ』な変化

-海外で暮らしていると日本語に触れる機会も少ないし、歌詞ってより響きそうですね。

 そうですね。あと、生活の中で歌詞にある英語のワードが自然と出てきた時は「おお、オレ今Mr.Childrenの歌詞の英語使ってる!」って感動してます(笑)。たとえば、『singles』っていう曲にある「I have to go」っていう言葉。「行かなくちゃいけないな」みたいな意味ですけど、チームメイトと話をしていて時間がきた時に「I have to go」って自然に出て「おお、Mr.Childrenだ」って(笑)。これはめっちゃテンション上がりますね。

 

-やっぱり、Mr.Childrenの言葉えらびのセンスってスゴいですよね。

 本当にあれはスゴいですよね。直接的じゃなく遠回しに表現するような歌詞もあれば、めちゃめちゃストレートに言う時もあったり、ギャップじゃないですけど、いろいろな伝え方があって。最近の曲の方が歌詞がストレートですよね。個人的に2018年の『重力と呼吸』(19thアルバム)の頃からそうなってきた印象です。

 

-時代に合わせて曲も歌詞もアップデートされているというか。

 そうですね。最近はどんどんシンプルになっていっているというか。曲自体も短くなってきていて、一番新しい『miss you』(21thアルバム)だと、どの曲も3、4分くらいで終わっていますしね。

 

-これだけ長い間バンドを続けてきて、変わり続けられるのもスゴさのひとつですよね。

 新しいアルバムにも良さがあるし、逆に昔のアルバムを今聴いても、それにはそれの良さがあるんです。自分が中学生の頃から聴いてきたアルバムや曲でも、今聴いたら全然感じ方が違いますね。あとは当時聴いていた曲で、その頃の自分を思い出したり、曲に自分の思い出を重ね合わせるみたいな。20代になって聴いた時にも違った感じ方があるし、社会人になった時でも違うし、結婚して子どもが産まれて親になって聴いた時でも違う。

 親になって聴く『タガタメ』は泣けるなあ…。というか、実際に東京ドームのライブで聴いた『タガタメ』は泣きました。『タガタメ』から『Documentary film』の流れはちょっともう…。「親の目線になると、こんなに曲の感じ方が違うんだ」って。『HERO』や『進化論』なんかもそうですね。

 

-個人的にMr.Childrenの歌詞と日常生活での出来事だったり、自分の感情や思ったことだったりが、ふとリンクする瞬間ってすごく多いなって思っていて。

 今はスマホですぐになんでも調べられるけど、その前って何かわからないことがあったら本で調べたり、辞書で言葉を引いて自分の中に蓄積されていったじゃないですか。それと同じようなもので、自分の中に辞書みたいに歌詞がインプットされているんだと思います。「今の自分の心境や気持ちって、Mr.Childrenだったらどう表現するんだろう」って考えますよね。

 

-ああ、辞書っていう解釈はわかります。

 本当はダメなんでしょうけどけど、疲れていたりして、練習や試合の前なのに、どうしても気分が乗らない日もあるじゃないですか。そんな時に自分のお尻をパーンって叩いてくれるような、「頑張れよ!」って言ってくれるような曲を選んで聴くこともあります。緊張していてもうどうしようもない時は落ち着かせてくれる曲を選んだり、辞書を引くみたいにして曲を聴いたりもしますね。

 

■まだまだ続く、Mr.Childrenとの『終わりなき旅』

-シチュエーションごとのライブラリーがあるんですね。

 そうですね。自分の中では「こういう時はこの曲」っていうのが決まっていて。

 

-それ、少し教えてもらえたりできます?

 緊張して、あがってしまっている時は『I’l be』のアルバムバージョン。シングルバージョンは曲調がアップテンポですけど、ゆっくりなアルバムバージョンで自分を落ち着かせます。フラットな気持ちの時は、最近の曲なんですけど『生きろ』。この曲でグッと気持ちを入れますね。

 自分に「頑張れよ」って喝を入れたい時は『足音 ~Be Strong』、『擬態』とか。しっかりと歌詞を聴いて身を委ねながら、自分の歩んできた道のりとかを思い出してモチベーションを上げていく感じです。あとは『終わりなき旅』を聴いて「はぁ~」ってなっている時は、相当参っている時。普段、『終わりなき旅』はあんまり聴かないんですけど、ふと何気なしに聴いて溶けそうになっている時は「あ、今ヤバい時だ、限界迎えてるな」って(笑)。

 

-シチュエーションごとに聴く曲って、更新はされるんですか?

 新曲も入ってきますけど、だいたい決まってます。卓球というかスポーツに向かっていく曲みたいなものは自分の中でありますね。

 

-読者の方に「ぜひ聴いてほしい」っていう曲を3つあげるとしたら…

 ……曲は選べないんですよ。自分の子どもが何人もいる中から「誰が一番」って選べないのと同じなんです。

 

-じゃあ、アルバムなら…

 あ、それなら選べますね。その時々でセレクトは変わっていくので、あくまで今の自分が選ぶ3枚ですけど。

 

-では、お願いします。

 まず、『SENSE』(16thアルバム)。次に『Q』(9thアルバム)。最後の1枚…うーん…、さっきも話に出た『重力と呼吸』にします。

 

-最後になるんですが、なんでそんなにMr.Childrenが好きなんですか?

 ……ひと言じゃ言い表せないですね。自分の好きな人に「好きなところひとつあげて」って言われて、「え〜、ひとつだけなんて決められないけどな〜」っていう感じに近いですよね(笑)。でも、本当にそんな感じ。さっき「Mr.Childrenみたいになりたい」って言いましたけど、やっぱりそういう存在ですね。

 

-ほんと、楽しかったです。ありがとうございました。

 

※最後に、インタビュー後に神選手が教えてくれたMr.Childrenとのエピソードをもうひとつ。Tリーグ・T.T彩たまでプレーしていた頃の神選手の背番号は「15」。これは神選手が現在の推薦アルバムにも選んだ『Q』に収録されている『CENTER OF UNIVERSE』の歌詞の一部分から取ったもの。その歌詞にはシチズン時計を退社し、プロの道を選んだ際の心境とも重なる部分があったという。大人の事情で歌詞は掲載できませんが、ぜひ曲を聴いて、「15」を選んだ理由と意味に思いを巡らせてみてはどうでしょうか? 編集部・浅野は「なんか、らしいなあ」と思ってしまいました。

 

【PROFILE】

神巧也(じん・たくや)

1993年3月2日生まれ。青森県出身。青森山田中・高から明治大に進学。明治大1年時に全日学で優勝し、4年時には全日本選手権男子シングルスで準優勝。明治大卒業後はシチズン時計で主力選手として活躍。その後、プロ選手となりTリーグではT.T彩たまに所属し、2019-2020シーズンは最多勝に輝く。2年前から拠点をヨーロッパに移し、2022-2023シーズンはドイツ・ブンデスリーガの強豪であるザールブリュッケンのメンバーとして、ヨーロッパチャンピオンズリーグ優勝に貢献。今シーズンはポーランドのダートム・ボゴリアでプレーする。

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