12月17日の「ケーニヒスホーフェン」戦で2勝( ツーポイント )をあげ、13勝2敗とブンデスリーガ1部で最多勝で独走する村松雄斗(マインツ05)に試合後、話を聞いた。チームの「マインツ05」はいまだ最下位だが、最下位脱出も見えてきた。
今、ブンデスリーガでは「ユウト」が大ブレークしている。ジュニア時代から「希代のチョッパー」と言われ、ユース五輪では銀メダルを獲得し、期待されていた村松はその後、故障で沈んでいた。今年2月に所属する東京アート卓球部の休部に伴い、新天地をドイツに求めた大器が覚醒している。
聞き手=今野昇
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12月17日 対「ケーニヒスホーフェン」
2番村松雄斗 −6、−8、8、8、10 オルト
4番村松雄斗 6、10、3 シュテガー
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個人成績ブンデスリーガ1部リーグ(上位10名)
1位 村松雄斗(マインツ05) 13勝2敗
2位 ヨルジッチ(ザールブリュッケン)9勝1敗
3位 シェルベリ(デュッセルドルフ) 8勝0敗
4位 ゲラシメンコ(ブレーメン) 9勝2敗
5位 ファルク(ブレーメン) 10勝4敗
6位 チウ・ダン(デュッセルドルフ)6勝0敗
7位 シュトゥンパー(デュッセルドルフ)6勝0敗
8位 ボル(デュッセルドルフ) 6勝0敗
9位 カナック(オクセンハウゼン) 5勝0敗
10位 モーレゴード(ノイ・ウルム) 5勝0敗
<12月17日現在>
*勝利数と勝率で成績が決まっている
●—お疲れさまです。
村松 1試合目、0−2からまくりました。「グレンツァオ」(現在11位)が「デュッセルドルフ」(同1位)とやって、「グレンツァオ」が負ける可能性が高いので最下位脱出もあります。次は「フルダ・マーバーツェル」(同9位)ですが、誰が出てくるかわからないけど、ぼくが2点取ればチームも勝つ可能性があります。
●—次の22日の試合で前半戦終了です。
村松 今13勝2敗で勝率1位ですけど、想像もしてなかったですね。シーズンが始まる前はそんなに勝てるとは思っていなかったし、まわりの期待も低かったと思います。自分が通用しない可能性もあったし、いろんな人にすごいと言われるけど、素直にうれしいです。
●—好調の分岐点は?
村松 1試合目、「ミュールハウゼン」と当たって、デビュー戦で負けたんですけど、次に「オクセンハウゼン」と当たって、その時にシモン(・ゴーズィ)とアルバロ(・ロブレス)に勝って、自信になった。次から伸び伸びやれたし、そこで負けていたら、力が入ったと思う。よく「昔のほうが強い」と言われるけど、ぼくは今のほうが強いと思っている。二人とも世界の20位とか50位くらいのトップクラスの選手だから、二人に勝って自信になりましたね。
●—プレッシャーを感じることがないのかな?
村松 プレッシャーは今は正直ないです。緊張はします。でも試合では緊張は必ずあるものだから。ぼくがチームの最年長で、ぼくがチームを引っ張らないといけない。チームメイトは経験がないから、ぼくが勝ってチームを盛り上げていきたい。
●—シーズン前、調子が良いのは聞いていました。
村松 調子は良かったです。練習もやっていたし、何よりずっと痛かった左ひざが良くなっていました。でも、日本に帰国して10月の全日本社会人選手権に出て、今度は右ひざを故障しました。
●—それでも調子は崩れなかった。
村松 そこで焦らずに、やれましたね。練習は必要だけど、やれば勝てるわけではない。自分で練習量を調整したり、体力トレーニングを増やし、打球練習を減らした。ぼくも26歳になり、過去の故障した時の経験を生かしたのが今の結果につながっています。
●—故障があると今までだったら、不安になり、自信をなくすこともあったと思う。
村松 ありましたね。今は毎日、午前の1時間半くらいしか打球練習はしていない。まわりからも「練習していないのに強いね」と言われます。でも、試合を多くやっていて、その試合で出た課題を意識はしていて、その次に生かしています。午後はボールは打たずに、トレーニングをしていますが、そのバランスが良いのかもしれません。自分に合っているのかも。
●—練習や試合でも右ひざの痛みは感じない?
村松 試合の時には集中もしているけど、痛み止めの薬も飲んで、痛みは感じません。でも試合が終わるとズキズキして痛いです。試合の翌日は、練習はせずに、しっかりストレッチをして、リセットして次の試合に向けて頑張っていく感じです。右ひざも少しは良くなっています。
●—技術的には変わったところはあるんだろうか?
村松 フォアハンドの攻撃は良くなっているし、全般にフォアハンドは良くなっている。フォアにつないできたボールに今まではフォアの打ちミスが多くて負けることがあったけど、今はフォア技術全般が良くなっています。守備力も上がっています。
●—故障を抱え、練習量も減っているのに、勝っている。
村松 今まで負ける時は、前半負けていたらそのまま負けることが多かったけど、今は0−2から戦術を変えて勝てます。試合の中で臨機応変にやり方を変えて勝てるようになりました。冷静に客観的に自分の試合を分析できるようになりました。何が効いて、何を失点していているのか分析できています。2−0から2−2になっても、最後(の5ゲーム目)に戦術を変えて勝つこともできています。
「マインツ」のチームメイトの試合中のアドバイスも的確で、チームメイトからアドバイスをもらっています。練習場に行くと、「ミスター・ツーポイント」と言われます(笑)。ほかのチームからもオファーをたくさんもらっています。
今日(ケーニヒスホーフェン戦)は負けると思いました。相手は強かった。今はぶっちぎりの1位なんで気持ちいいですね。この勝率はなかなかないと思います。
●—前半の最後、次の「フルダ」に勝って、15勝2敗で終わりたい。
村松 そうですね。頑張ります。23日には日本へ出発します。2ヵ月くらいドイツにいたので、早く日本食を食べたいです。
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