卓球王国 2021年10月21日 発売 vol.295
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「逃げないで攻め続けた時には勝てますよね」石川の言葉vol.4

1月の全日本選手権大会で5年ぶり5度目の優勝を果たした石川佳純。

その4度目の優勝を果たした5年前のチャンピオンインタビューをアーカイブで紹介する。

最新号は、今週の土曜日2月20日に発売するが、そのインタビューと比較すると、石川佳純という選手の苦悩や成長がわかるだろう。

*所属等は当時の原文のママです

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<卓球王国2016年4月号より>

 

持ち前の身体能力とバランスの良さに加え、力強さも感じられた石川のプレー(2016年)

 

 

 [チャンピオンインタビュー]

石川佳純 

全農

 

「あとで考えると恐ろしいと思う試合がいっぱいあります。

でも、コートに入ったら『やるしかない、攻めるしかない』

と思っています。逃げないで攻め続けた時には勝てますよね」

 

強い女王だった。

全日本選手権で失ったゲームは3ゲームのみ。

「石川時代」を印象づける強さを

石川佳純は全日本という舞台で見せつけた。

6年連続決勝へ進み、4度目の皇后杯を掲げた今大会。

2016年という五輪イヤーを石川は見事なスタートで駆け出していった。

 

聞き手=今野昇(本誌編集長) 

写真=江藤義典&奈良武  

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「卓球をやめるまでは

フィジカルは成長を続けなければいけない。

速く動く、強く動くのがすごく大事です」

この1年間は山あり谷ありで、

いろんなことを経験した1年でした。

 

全日本選手権の優勝の余韻に浸る間もなく、ハンガリーオープンとドイツオープンに旅立った石川佳純。リオ五輪に向けてチームランキングも気になる全日本チームには休息はない。

全日本優勝から2週間経ち、世界選手権日本代表の壮行会の後、インタビューの時間を割いてもらった。4回目の優勝インタビュー。石川からは女王の自信とリオ五輪に向けての決意が感じられた。

●――全日本優勝から2週間経ちました。

石川 大会の2日後くらいに遠征に出発したので、遠い昔のことのようですね。

 

●――大会前の調子はどうでしたか?今回3種目ではなく2種目のエントリーでした。

石川 調子はまあまあでした。(去年の)3種目はあまりにハードだったので、今回は吉村(真晴)君とも相談して2種目に絞りました。

 

●――1年前の全日本の大会前と、1年後の今回の大会前というのは、自信という部分で違っていたのかな。

石川 今回は調子もまあまあ良かったし、リオ(五輪)に向けて良いプレーをしたいと思っていました。去年は苦しい試合ばかりだったので、今回は楽しくと言うか、自分の力を出し切れるような試合をしたかったし、あまり気負いもなかった。

この1年間は山あり谷ありで、いろんなことを経験した1年だったし、いろんな勉強ができました。どちらかと言えば苦しい1年ではありました。成績だけでなく、初めてケガで試合に出られないことも経験したし、そこから学んだことも多かった。いろんなことを見直すことができました。

 

●――この1年の中で節目になる試合はどれでしょう。

石川 去年のワールドカップ(10月末)はすごく良いプレーができました。ワールドツアーで負けることがあるし、良いプレーも悪いプレーもあるけど、ワールドカップから(調子を)上げてこれたと思います。試合を重ねるごとに手応えはあります。リオに向けてやらなければいけないことはいっぱいあるので、今はそういう課題に取り組んだり、自分の良いところを伸ばしていきたい。

 

●――全日本の話に戻りますが、スコア的には1ゲームを落としたのが3試合だけで、2ゲーム以上は取られていない。今までで一番強さと力を見せつけた全日本だったように思います。

石川 そうですね。4回の優勝の中では一番かもしれません。良いプレーはできていたし、競り合いは一番少なかったということですね。今大会、私の調子が良い中で、6回戦の宋恵佳さん(中国電力)との試合が一番印象に残っています。宋さんがすごく良いプレーをしていて、4−1だったけどもっと競っていてもおかしくない試合でした。ラリーも続いたし、宋さんはボールの威力もあって、強いなと感じました。ベスト8決定で当たっているけど、当たるのがかなり早かったなと感じました。良い内容の試合ができました。

 

●――準々決勝はカットの佐藤瞳(札幌大谷高)選手だったけど、カット打ちの練習はしていたのかな。

石川 いいえ、カット打ちの練習はほとんどしていませんでした。ただ、佐藤さんとはワールドツアーでは何度かやってました。佐藤さんは良いカットを打つので注意してました。

 

●――続く準決勝は、大方の予想は福原愛(ANA)選手だったけど、加藤杏華(十六銀行)選手が逆転勝ちで上がってきました。福原さんが負ける試合は見ていましたか?

石川 見ていません。私は隣で試合をやってましたから。ビックリもしたけど、加藤さんは勢いもありましたね。2年前に私は彼女とやっていますけど、その時と全然違うんだろうなと思っていました。出足からスタートダッシュをかけたのが良かったので、4−0で勝てたんです。

 

●――決勝は誰が来るだろうという予想はあったんだろうか。

石川 誰でもいいわけじゃないけど、目の前の試合を勝つことに集中していました。だからあまり誰が来るとか……はなかったかな。美宇(平野・JOCエリートアカデミー)ちゃんは準決勝で美誠(伊藤・スターツSC)ちゃんに4−0で勝っていたからすごく強くなっているんだろうなと思っていたし、思い切りの良い攻める卓球になって、プレースタイルも変わっていた。まずはバックハンドがうまいのでそこを注意してました。それにまず出足ですね。出足をしっかり抑え、試合のペースが相手に行かないようにしました。

●――何回目の対戦なんだろう。

石川 去年の8月のブルガリアオープンで初めてやって以来、2回目ですね。(美宇ちゃんの)卓球が変わりました。イメージが変わりましたね。すごく攻めてきて、積極的になっていたので、びっくりしました。すごくいいプレーをするなと思いました。

 

●――3ゲーム目、6−8でリードされていて、そこから5本連取でゲームを取り、4ゲーム目は8−4でリードしていたのにそこから逆転されて取られました。この3、4ゲーム目がポイントかな。

石川 3ゲーム目を挽回して取ったのが大きかったですね。美宇ちゃんはラリーになった時に思い切り攻めてきていたし、良いプレーが出てきていて前より強くなっていると思いました。決勝の舞台は特別だし、 美宇ちゃんも緊張はしたと思うけど、私が初めて決勝に出た時には緊張よりもワクワクという気持ちのほうが大きかった。

 

●――石川さん自身は6年連続の決勝だから、慣れ親しんだ舞台ですか?

石川 いやいや、慣れ親しんではいないです(笑)。毎年慣れることはないし、緊張はするし、毎回その時の調子だったり、物語がある舞台ですよね。私自身は決勝が楽しみでした。最近は日本でなかなかプレーする機会がないので、楽しみにしてくれる人がいる中で、一台で試合ができるのはうれしかった。

 

●――1年前の森薗美咲戦の決勝と、今回の決勝とは違うものでしたか?

石川 今年は調子も良かったので自信を持って最初から最後までできました。リオに向けても後悔のないようにやりたかった。精神的にも体力的にも充実していた。もちろん全日本で勝ってリオに行きたかったんです。

 

●――終わった瞬間は?

石川 うれしかったですね。今年は涙は出てこなかったけど、優勝できてすごくうれしいし、自信にもなる優勝でした。自分自身楽しみにしている大会だから良かったなと。特に表彰台に立っている時ですね。ここ(表彰台の真ん中)に戻って来れて良かったなと思いました。ホッとした気持ちでした。今年は本当に充実した戦いができてうれしかった。

決勝で15歳の平野美宇と対峙(たいじ)する石川