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今野の眼

【卓球】パリ五輪国内選考会はどうなるのか。ITTF発表「各チームの世界ランキング上位2名に資格」に戸惑い

昨夜のITTF(国際卓球連盟)が発表したパリ五輪の出場資格に関する発表は、パリ五輪を目指す日本選手に衝撃を与えることになるだろう。

宮﨑義仁・日本卓球協会専務理事(当時強化本部長)は本誌のインタビュー(8月号)でこう語っている。「世界ランキングで(日本代表を)決めることはない」「最終的にはNFが選手を承認するので日本は独自に決めて結構ですとITTFは言っています。ITTFは五輪代表を選出するレギュレーション(規定)をIOC(国際オリンピック委員会)に対して提出しますが、『最終的には選手は各NFが決める』という文言を入れることになっています」。

しかし、実際に昨夜ITTFが発表したのは以下の英文だ。

Each Teams event will consist of a draw of 16, with one team of three athletes per NOC.
The Mixed Doubles event will also consist of a draw of 16, with one pair per NOC.

In Singles events, depending on the number of quotas available after the distribution of the Mixed Doubles quota, up to 70 players may participate with a maximum of four players (two men and two women) per NOC. The two highest ranked athletes of each qualified team will automatically enter the Singles events.

別のシングルス出場資格者のページでは以下のように表記されている。

Each NOC with a qualified team through the Team Qualification pathway obtains two (2) quota places. The top two (2) highest ranked athletes of each NOC with a qualified team in the World Ranking of week 25 in 2024 (Tuesday 18 June 2024) will be listed as qualifiers for Singles and as team members.

要約すると団体戦の出場資格を得た各チーム(16チーム)から世界ランキングの上位者2名がシングルスの出場資格を得る、という内容だ。その世界ランキングは2024年6月18日発表のものだ。

過去の五輪卓球競技では世界ランキング上位選手が出場資格を得ることは9大会中8回あった。しかし、いずれも大会の数ヶ月前の発表だったが、パリ五輪では大会直前の6月の世界ランキングによって決定される。

つまり、日本が団体の出場資格を得た後に、さらに本番直前の6月までシングルスの枠を巡っての競争が続くことを意味する。

WTT(ワールド・テーブルテニス)の大会が少なく、世界ランキングは参考にできないために、パリ五輪に向けて独自の選考基準を作成した日本卓球協会は、国内選考会とTリーグを含めたいくつかの大会に選考ポイントを与え、上位2名を五輪代表にする方針をとっていた。

トップ選手たちは残り5回の選考会に照準を合わせていたが、宮﨑専務理事が言うような一文『最終的には選手は各NFが決める』が今回のITTF発表の中にはなかった。

今後、国内選考会や選考基準がどう変わっていくのか。それによって、トップ選手たちの国内と国際スケジュールは大きく変わっていくだろう。

*写真は東京五輪

 

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