卓球王国 2021年10月21日 発売 vol.295
バックナンバー 定期購読のお申し込み
アーカイブ

帰ってきた女王の言葉vol.2[おかえり、カスミン]

<卓球王国2014年4月号より>

1月17日に閉幕した2021年全日本選手権大会。

そして劇的な優勝で、卓球ファンのみならず一般の人々に感動を与えた石川佳純(全農)。
アーカイブとして過去の全日本選手権の優勝後の卓球王国での「チャンピオン・インタビュー」を掲載する。

*所属などや世界ランキングなどは当時の原文ママとする

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

決勝で森さくらに勝ち、優勝を決めた石川佳純

 

[王者帰還・チャンピオンインタビュー]

石川佳純

●全農

 

3年ぶりの女王戴冠。

パワーアップした石川佳純が

圧倒的なプレーを見せて2度目の優勝を果たした。

国際舞台でしばらく結果を出せなかった五輪メダリストは

この全日本で復調のきっかけをつかみそうだ。

王座に返り咲いた石川が優勝への軌跡を語ってくれた。

 

聞き手=今野昇(本誌編集長)

写真=江藤義典&奈良武

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「今年は絶対優勝するんだ、

自分が絶対勝つんだと思って練習してきました」

 

 

優勝したいと思って出る大会は

プレッシャーも違ってくるし、

負けてもいいやと思えないから

その分すごく緊張しました

 

全日本が終わって10日ほど経っていた。優勝の報告などで多忙なスケジュールを縫っての「チャンピオンインタビュー」。

移動の途中で時間を取ってもらい、東京駅の中にあるホテルのラウンジで取材した。疲労感は全く見せずに、晴れ晴れとした表情で質問に答える石川佳純。

圧勝で全日本を制した女王の貫禄……はない。いつもの「カスミスマイル」が迎えてくれた。初優勝した17歳の時と何ら変わらない、爽やかなスポーツウーマンの笑顔だった。

●ーー卓球王国恒例の全日本チャンピオンインタビューです。

石川 久しぶりですね。

 

●ーー3年ぶりの優勝。直後は涙も出て、感情の高ぶりもあったけど、10日ほど経って今の気持ちはどうでしょう。

石川 久しぶりに優勝して、うれしかったけど、5日くらい経ったら、2月にクウェート、カタールオープンもあるし、リオのオリンピックに向けて頑張ろうという気持ちになりました。

 

●ーーこれだけ世界大会、五輪、国際大会を経験しているけど、それでもやはり全日本は特別な大会なんですね。

石川 ホントに全日本は特別な試合だし、ものすごく緊張するし、1年に1回のビッグゲームですね。

 

●ーー今でも緊張する?

石川 メチャクチャしますよ。年々緊張するようになっています。

 

●ーー13歳でベスト4に入ったり、初優勝の時とも違う……?

石川 全然違いますね。13歳の時もすごく緊張はしたし、初めて一般に出た頃もそうだったけど、負けてもいいやと思える。負けても相手のほうが強いし、しょうがないと思えるんです。でも、今回のように優勝したいと思って出る大会はプレッシャーも違ってくるし、負けてもいいやと思えないからその分すごく緊張しました。

 

●ーー初優勝した翌年の全日本(2年前・決勝で福原選手に敗れる)や去年と比べて、今年はどこが違っていたんだろう。

石川 一番は気持ちの部分ですね。2回連続決勝で福原さんに負けて、勉強になったことがたくさんありました。自分の弱い部分だったり、ダメな部分と向き合って、そこを直して、しっかり練習することができて、この全日本を迎えることができたと思います。

たとえば、実際の試合でリードした時、リードされた時を想定して練習をやってきたので、本番でも練習してきたことが出せた、自信を持ってできたと思います。

 

●ーー自信を持っていても緊張するんだね。

石川 それは全然別です。初日からだんだん緊張していきました。オリンピックより緊張します。ロンドンは初めてのオリンピックだったので、初めて全日本に出た感じでした。

 

●ーー全日本の怖さや重要性が年々わかってくるからかもしれない。

石川 そうですね。全日本は毎年出ていても毎回気持ちが違うし、すごい緊張する。権威のある大会なのでそこで勝ちたいという気持ちは私もあるし、周りの人もそうだと思う。

 

●ーー大会前の調整はうまくいったのかな。

石川 11月のドイツオープンとロシアオープンでいい試合ができなくて、ドイツは1回戦で負けて、すごく落ち込みました。でも、全日本まで1カ月半くらい時間があって、その中で成長できたと思うし、調子はすごく良かったので、どんどん良くなっているのは自分で感じてました。

 

●ーー大会を振り返った時に混合ダブルスは惜しくも優勝を逃したけど、シングルスとダブルスの2冠を獲り、シングルスでは1ゲームしか落とさなかった。自分としてももっと苦しむと思ったのか、それとも決勝まではぶっちぎりで走れると思っていたのか……。

石川 とりあえず勝てればいいと思っていて、何対何で勝とうとか全く考えてなくて、一戦一戦、一本一本、強い気持ちでやろうと気持ちのことだけを考えました。押していくプレー……押しすぎるのは良いけど、引くのだけは良くない。

 

●ーーそれにしても、たいてい全日本チャンピオンになる時には、どういう選手でも1回か2回は厳しい局面を迎えるけども、そういう厳しい場面がないほどの圧勝だった。

石川 気持ちの面が大きいかな。今までは4ー0で勝つことは少ないほうで、初優勝の時も競った試合が多かったし、リードしても、リードされても絶対点数に影響されないように自分のプレーをやるだけでした。2ー0になっても3ー0になっても、何も気にしないで点数を取ることしか考えていなかった。

 

●ーー今まではラリーを楽しむというか、リードしていてもフッと気が抜ける時があったように思うけど、今回は気が抜ける瞬間が全くなかった。その辺の自己分析というのは……。

石川 4年連続で決勝に行けたことはものすごくうれしいことですけど、2年連続決勝で負けた。やはり1番にならないと悔しいし、応援してくれる人もたくさんいて、この2年間、決勝で残念な姿しか見せられなくて、今年は絶対優勝するんだ、自分が絶対勝つんだと思って練習してきました。今までは技術面の練習が多かったけど、今回は気持ちの練習をしてきました。

 

●ーー気持ちの練習?

石川 練習の中で、試合に近い気持ちで練習します。今までよりも対戦相手が思い切って戦ってくる場面がすごく多くなっていて、それに対する自分の戦い方を考えました。

「勝ちたいな、楽しくプレーしよう」だけではそういう相手には勝てないし、「私が絶対勝つ」という気持ちでないと戦いにくい。「相手がそう来るなら私はこうしよう」という戦いが今回はできた。

 

●ーー今までよりもひとつ高いところに到達しているのかな。初優勝や決勝で2回負けた時のことも、今だから見える部分があるのかな。

石川 決勝で2回負けた時だけの話ではなく、ミスした時に首をかしげたり、自分がダメだなという仕草を見られて注意されたり、たくさんの人に言われもしたので、そういうのは絶対やめようと思いました。

福原さんはミスしても「大丈夫」とうなずいているのに、私は「あ~」となってしまうのをビデオで見たりして、それは意識してやめようと思いました。