●ーー自分の思い描く、自分の理想の卓球って何だろう。その時その時、卓球像は変わると思うけど。目指す到達点は?
石川 自分の到達点は自分でも正直わからない。でも、世界で勝ちたいし、しなやかなプレーがしたい。強くて豪快な選手よりは、強くていろんな技を繰り出して、勝負のできる、うまい戦い方のできる選手になりたい。
●ーーもともとはそういう選手だったんじ
ゃないのかな。攻めまくる選手というよりも打球センスのある選手だったイメージがあるけど。
石川 卓球のタイプとして、柔らかい、しなやかなプレーをしたい。まだまだ硬いです。もっとボールをうまくさばけて、プラス強さもある卓球をしたい。守りも強いし、攻めも強い卓球。
●ーーそれは完璧だね。
石川 はい、完璧、完璧(笑)。できない技術があったら中国選手に勝つのは難しい。技術が完璧にできてからの勝負ですね。そこに行くまで自分がまだできないことがいっぱいあるので、技術を磨いて何でも引き出せる技の種類であったり、実力をつけていかないといけない。
●ーー卓球を始めたのは何歳だったかな……?
石川 7歳です。7歳の誕生日の前くらいだから、14年くらいやっています。
●ーー楽しいでしょ、卓球。
石川 好きです。
●ーー辛いと思うことは。
石川 練習は毎日辛いです。けど、卓球が楽しいという基本は変わらない。他のことをした時に卓球が大好きなんだなとわかる。たまに息抜きで遊びに行くことはあっても、たまにだから楽しいんだと思います。中心は卓球だし、プロとして卓球をやらせてもらっているし、好きなだけ卓球をやらせてもらっていて、それで良い成績を出したら喜んでもらえるし、最高だなと思えます。
●ーー何かやっていても卓球に置き換えているんだね。人に会っていても。
石川 そうですね。今までは卓球関係の人に会って話を聞いてすごいと思っていたけど、他のスポーツの人の話を聞くのはすごく勉強になります。
●ーーこの時点で世界卓球まで90日を切っています。 地元では5年ぶりで、5年前の横浜大会では16歳でベスト8。あれが実質的な世界デビューでした。
石川 あれはびっくりしましたね、自分でも。ベスト8はびっくりでした。2年前のドルトムントでは、最後は自分が負けてしまって、久しぶりにメダルが獲れなくてすごく悔しい思いをしたので、ドルトムントのリベンジをしたいですね。
自分がしっかりしていれば結果はついてくるので、プレッシャーはあまり気にしないというか、たくさん観に来てもらったほうがうれしいです。頑張ります!
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石川佳純の卓球には「バランスの良さ」がある。
その両ハンドのバランス、攻撃と守備のバランス、動きのバランス。それらが見事に調和し、美しさを放っている。しかし、今までは時に技術とメンタルのアンバランスがあったことを彼女は語っている。
今回の全日本ではメンタルのブレを見事に修正し、 完璧な試合ぶりを見せた。4月には日本のエースとして、「世界卓球」でチームを牽引することになる。
代々木競技場のセンターコートで見せる「カスミスマイル」は、日本のメダル獲得を意味する。特別な「全日本」で飛躍するためのきっかけをつかんだ石川佳純。次は世界の舞台でジャンプする番だ。
(文中敬称略)
石川佳純●いしかわ・かすみ
1993年2月23日生まれ、山口県出身。四天王寺高卒、全農所属。13歳の時に全日本選手権でベスト4入り、平成22年度全日本選手権で初優勝、平成25年度の同大会で2度目の優勝を果たした。09年世界選手権ではシングルスベスト8、12年ロンドン五輪では団体銀メダルを獲得し、シングルスでも日本人初の準決勝進出を果たした。世界ランキング10位(14年1月現在)
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