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「ラバーがキレイに切れる!」世界初の簡易型卓球ラバーカッター『2Q刃(つくば)』

[プロの仕上がりを、あなたの手で]卓球ラバーカッター『2Q刃』(つくば)

「昔からラバーが切りにくいと感じていた人の悩みを解決できるものはないか」。その思いが開発のスタートだったと語るのは、QLOP合同会社代表で「QLOPラバーカッター」の開発者・小田卓志さんだ。

▼QLOPの小田卓志代表

「ラバーカッターは“刃が命”なんです。試行錯誤しながら、ようやくうまく切れる刃にたどり着きました」

小田さんは小学5年から卓球を始め、中学・高校・大学と打ち込んだ。就職はせず、エンジニアとしてアルバイトをしながら起業し、システムやアプリケーション開発が本業だ。自身が運営していたPCコミュニティサイト「たっきゅん」で知り合った仲間とアイデアを共有し、2002年にラバーカッターの原案を思いついた。「同じ悩みを持つ人がいるはずだと思い、初期バージョンを2003年に作りました。100台ほど売れましたが、当時はシェーバーの刃を改良したもので、危険もあり追加生産ができなかった。刃の交換も手間がかかり、安全面の課題もあったので、一度ストップしたんです」

しかし、2019年、小田さんの中で再び火がつく。「ずっと心の中にありましたが、ある刃物メーカーとつながりができて、初期バージョンでは、1回目は切れても2回目は切れない、ラバーの種類によっては切れないなど、課題が多かった」

そこで一から〝刃〟を見直した。「ラバーカッターはとにかく刃が命。試行錯誤を重ねて、きれいに切れる刃にたどり着きました。刃を基準にして、それに合うプラスチックのフォルダを設計していった。薄すぎてもうまく入らないし、厚すぎてもダメ。刃先の角度も非常に重要で、ラバーにきれいに入っていく角度を探りました」
続いて課題になったのが「安全で簡単な刃の交換機構」だ。刃を取り付けるフォルダ、本体設計にさらに2年を要した。こだわりは本体先端よりにある〝くぼみ〟である。「ハサミだとグリップ部分が切りにくい。でもこのくぼみがあることで、グリップ周りもきれいに切れます」

2024年にようやくプロトタイプ(試作モデル)が完成。2025年7月にクラウドファンディングで850台もの注文を獲得。微調整を経て金型を製作し、2025年11月、ついに製品版が完成した。

「不具合が出れば修正するというプロセスは普段のエンジニアの仕事と似ていますが、今回は〝物性〟が相手。実際には非常に繊細な商品なんです。できあがって箱詰めしていると、たくさんの人が関わってくれたことを思い出して感動しました」

実演してもらうと、QLOPラバーカッターは手のひらにすっぽり収まり、ラケット側面に沿わせて手前に引くだけで、10秒ほどできれいにカットできた。2つのローラーがラバーの上を滑らかに移動し、ラバーを傷つけない。同時にラケット本体にカッターが触れないためにラケットを守る。刃の露出面は8㎜以下に抑え、指を切る心配はない。完成した刃は、1箇所でおよそ10枚のラバーを切ることができ、1枚の刃を移動させ3箇所で使えるので、計30枚のラバーが切れる計算だ。

個人はもちろん、チームに1個あれば重宝するスグレモノ。卓球ショップでも大いに活用できるだろう。世界初の簡易型ラバーカッターは、卓球を愛するエンジニア・小田卓志の情熱の結晶である。小さな挑戦が世界の卓球業界を変えていくのかもしれない。

●ラバーカッター実演動画

グリップ部分にラバーカッターをセットしたら手前に引くだけで10秒ほどで切れる。サイバーシェイプ(STIGA)のような多角形ラケットもきれいに切れる

 

2個のローラーがラバー上を滑り、傷をつけない。人さし指部分の本体のカーブ(くぼみ)があることでグリップ部分にラバーカッターがフィットする

QLOPラバーカッター[2Q刃]

▶本体 6,490円(税込)
▶ポーチ 1,980円(税込)
▶替刃(3枚入り)1,650円(税込)
ダブルローラーシステム/ラケット保護設計
安全性への配慮/簡単なブレード交換

 

今だと限定色(バイオレット)もGETできる

 

 VICTASラバーカッター セット
2026年1月にはVICTASからセット販売(ブルー)も登場
▶10,120円(税込) ※本体/ケース/替刃3枚入り