卓球王国 2021年10月21日 発売 vol.295
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2009年横浜大会、フェアプレー賞を受賞した水谷と岸川

<卓球王国2009年8月号>

[王国メダリストインタビュー]

水谷隼・岸川聖也

Jun Mizutani & Seiya Kishikawa

2009年世界選手権でメダル獲得後に撮影

 

2009年世界選手権横浜大会、

男子ダブルス準々決勝、第6ゲームの8−9

あの場面で二人は何を思ったのか。

5月の横浜を熱狂させた二人。

水谷隼と岸川聖也は12年ぶりに

世界選手権男子ダブルスでメダルを獲得。

今、あの熱くなった日々を冷静に振り返った。

準々決勝の第6ゲーム、8−9での微妙な判定。

そこで彼らは何を思い、どう乗り越えたのか。

 

インタビュー=今野昇

写真=高橋和幸・佐藤佑樹・佐藤祐

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ぼくは大勢の人の前でプレーするのが好きだから、

その人たちのために最高の結果を

残したいと思ってました[水谷]

ビビッたらもったいないじゃないですか。それを力に

変えなければいけないと感じました [岸川]

 

横浜での熱狂の宴。地元の熱く大きな応援を背中に受け、一方でメダル最有力候補としての重圧を感じながら、水谷隼と岸川聖也の二人は戦った。そしてつかんだ世界選手権の銅メダル。

このメダルが日本中の卓球ファンを勇気づけ、テレビで観た一般の人たちを感動させた。

×××

●—横浜大会前の調子はどうだったのだろう。大会前からメダルの最有力候補と言われていたけど、それは気になった?

水谷 あんまりダブルスの練習はできてなかった。組み合わせが決まった時に良い組み合わせだったので、チャンスはあると思っていたし、メダルを獲らなければいけないというプレッシャーはありました。

岸川 ぼくが直前までドイツにいたので、ダブルスの練習は全然できなかった。不安ではないけれど、練習はやりたいなと思ってました。ぼくがドイツから帰ってきたのが4月23日で、すぐに横浜に入ったからゲーム練習を少しやっただけです。

まわりから期待されているのもわかっていたし、自分たちもうまくいけばメダルを獲れるんじゃないかと思っていた。プレッシャーはあったけど、そんなに嫌ではなかった。それをうまく力に変えられたなと思います。

 

●—横浜アリーナの会場の空気をどう感じたのだろう。

水谷 日本での開催なので、ほとんどの観客が自分たちの応援だからとても心強かった。ぼくは大勢の人の前でプレーするのが好きだから、それが自分たちの応援だったらうれしいし、その人たちのために最高の結果を残したいと思っていました。

岸川 地元だし、すごくたくさんの観客が入ってくれたのでうれしかった。硬くなることは全然なかった。そういうので緊張して良いプレーができなくなる人がいっぱいいると思うけど、ぼくらのダブルスに関しては、そういう硬さは全くなかった。逆に大勢の人の前でプレーするのはうれしかったし、試合するのが楽しかった。

 

●—日本でやることで雑音が入るということはなかった?

水谷 ぼくはうれしかった。地元であれだけの観客が入ったことにスポーツ選手としても感謝すべきだと思います。ぼくたちを観に来て応援してくれているわけだから良い結果を残したかった。

岸川 雑音にはならないですね。海外で試合をすると応援があってもわかりにくいし、日本であれだけの数の人が集まってくれて、それでビビッたらもったいないじゃないですか。それを力に変えなければいけないと感じました。

 

●—ダブルスでは1回戦でチェコのペア、2回戦は韓国ペアと対戦した。

水谷 1回戦、2回戦の相手も名前の知れた選手だし、ちょっとでも気を抜いたら負ける可能性もあったので、最初から声を出して集中していった。競り合いになっても要所要所で点を取れたのが良かった。韓国ペアに対しては1ゲーム目、5︱10からばん回できたけど、あのゲームを取られていたらもっと競り合いになったし、結果が変わっていたかもしれない。1回戦、2回戦の1本1本が大事だった。

 

●—岸川君は序盤の調子はどうだった?

岸川 (1回戦の)ほかの試合を見たら、それほど強いペアはいないのに、ぼくらの1回戦の相手のチェコはかなり強い。2回戦も強い相手だったので、徐々に調子を出すという余裕はなかった。チェコ戦も(ゲームカウント)1︱1のスタートで、1︱2になったらわからないし、韓国戦の1ゲーム目も5︱10で負けていたし、厳しい戦いだった。ただ、ぼくらの調子も悪くなかった。

 

●—3回戦のブラジルペアとは競り合いになった。

水谷 ぼくらのほうが格上だと思うけど、ぼくらは相手を見ながら、いつもどおりにゆったりと試合に入っていったら、相手はレシーブからバチバチ打ってきた。ツボイがストレートに打つのがうまいので、こっちは交差して不利な展開になって、かなり競って危なかった。最後は戦術をうまく変えることができて良かった。

岸川 相手もベスト16に入ってきているわけだから、弱いわけはないけど、思った以上に強かったし、調子が良かった。結構ボールを決められたし、レシーブも積極的にやられてこちらがビックリした部分もあって、2ゲーム落としたけど、最後はこちらのペースでしっかりと勝てたので良かった。

 

●—これを勝ったらベスト8だという気負いはなかった?

岸川 それは何もなかった。ベスト8に入っても特に何もないし、メダル決定戦に進むというだけだから。

 

●—水谷君はダブルスの準々決勝を迎える前に、シングルスで負けていたけど、気持ちを切り替えるのは難しくなかった?

水谷 シングルスで負けた時はショックだったけど、ダブルスも残っていたし、メダル獲得のチャンスというのは二度とあるかどうかわからない。この目の前のチャンスをいかにものにするかということに集中して、シングルスのことは忘れました。