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今野の眼

【欧州・日本プロ卓球事情2】ドイツとは違う日本型のTリーグは今後、いかに地域密着、地域貢献で価値観を高めていくのか

国をまたいでプロリーグでプレーし、
お金を稼ぐヨーロッパ選手もいる

ドイツのブンデスリーガとフランスリーグは他の国のリーグとの掛け持ちはできないルールになっている。ゆえに、日本のTリーグに出る選手はドイツとフランスのリーグには出られず、それ以外のスウェーデンリーグ、ロシアリーグ、ポーランドリーグ、イタリアリーグ、ポルトガルリーグとは重複できる。

ヨーロッパでドイツやフランスのリーグに出てないプロ選手たちは、生活のために複数のリーグの掛け持ちをするのが珍しくない。Tリーグでプレーする選手でもスケジュールが合えばポーランドリーグなどに出ることも可能だ。
ドイツとフランスと他国のリーグが重複できないのは飛び入りで強い助っ人選手がクラブと契約できないようにするために、就労ビザ取得を義務付けているとも言われている。ちなみに就労ビザは選手の収入によって取得できるかどうかが決まるので、サッカーのブンデスリーガであれば4部リーグの選手でも取れるようだが、卓球のブンデスリーガでは1部リーグでプレーする選手の収入でないと難しい。
2部以下のリーグではワーキングホリデー(1年間限定)を使ってプレーすることもできるが、プロ選手としてクラブチームからの収入だけで生活をするのは容易ではない。
プロ卓球選手は「試合に出てナンボ」なので、プレーして稼ぐ場所があれば、ヨーロッパ選手のように国をまたいでプレーするのは当たり前とも言える。

 

ヨーロッパの卓球シーズンは8月末から翌年の5月までの9カ月あまりで、その期間中、またはそれ以外の期間でもプロ選手たちは賞金大会を求めて試合に出たり、イベントに出てお金を稼ぐ。WTTのような大会でも所属する協会から経費が出ない選手のほうが多く(日本選手も一部の選手のみ協会負担)、あとは卓球メーカーからサポートしてもらいながら参戦するケースもある。プロ選手はそういう賞金、もしくはスポンサーとの契約金、卓球メーカーとの契約金が主な収入だ。しかし、スポンサーや卓球メーカーからお金をもらえるのは一握りの選手である。

ドイツのブンデスリーガ1部の試合。数百名の観客だが、コンパクトな会場なので熱気がある(写真 高樹ミナ)

 

ドイツのブンデスリーガ1部で14勝3敗の最多勝を誇る村松雄斗は来季、優勝候補の「ザールブリュッケン」への移籍が決まった(写真 高樹ミナ)

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