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インタビュー

ニッタク高林博光氏が語る。「新しいことにチャレンジできることが国際部のやりがい、楽しさになります」

英語力も大切、でももっと大事なものがあるはずだ

 

世界的卓球ブランド「ニッタク」の国際部がキャリア人材を募集している。
英語力は必要だが、もっと必要なのは「やる気」。
同社専務取締役の高林博光氏に「求める人材」の話を聞いてみた。

高林博光/たかばやし・ひろみつ
日本卓球株式会社専務取締役・前国際部部長。中国・江蘇省無錫市生まれ。南京大学在学中に日本大学へ留学。卒業後に日本卓球㈱に入社

 

ニッタク入社は偶然の出来事だった
世界各地で多様性を感じ、知識を高めることが自分にとっても会社にとってもプラスになる

 

●-日本卓球(以下ニッタク)は国際部としてキャリア採用の募集しています。長く国際部で働いている高林さんは入社してから何年ですか?

高林 入社してから38年、国際部に35年いますが、国際部の面白さというのはいろいろな国に行って、自分の目で見て、現地の人に会うことで本物の知識になります。本で読んだり、テレビで見る世界とは違います。いろいろな人と会話をして、そこで多様性のある意見を聞きます。そこで知識を高めていくことが自分にとっても、会社にとってもプラスになります。

●-高林さん自身がニッタクに入るきっかけはいつどのような形で訪れたのでしょうか?

高林 私の生まれは中国の江蘇省の無錫市で、恵均(元世界ダブルスチャンピオン)は小学校からの同級生。母は華僑として日本で生まれ、日本で育ち、戦後は高田馬場で旅館と中華料理屋を営んでいましたが、中国に戻っている時に私が生まれました。家系的には曽祖父の時代から日本で暮らしていました。

 私は無錫市の卓球チームにジュニアまでいて、蔡振華(世界2位、のちの中国国家チーム監督、中国卓球協会会長)は無錫のジュニアチームの同級生でした。卓球は高校でやめて、南京大学に進んで、外国語学部の日本語学科で日本語を勉強していました。南京大学で1年半勉強して、当時は留学という形で日本大学経済学部に入学しました。 

 大学2年の時、一般教養の体育の授業で卓球を選んだ際に講師が松井康浩さん(日大OB・卓球部コーチ)で、「女子の合宿に来てサービスを教えてくれ」ということになり、その縁で1983年世界選手権東京大会では中国選手団の通訳と世話係をすることになったのです。

 東京大会の休みの時に選手たちが日本の卓球メーカーの見学をしたいということで「ニッタク」に蔡振華と笵長茂を連れて行きました。それが私が初めてニッタクを訪れた日でした。

●-偶然のような関わり合いですね。

高林 日大の体育の授業で松井さんと会ってから卓球と付き合うようになったけど、松井さんに会っていなかったら卓球の世界には入っていなかったと思います。大学を卒業するタイミングでニッタクの田河さん(元企画開発部長)に声をかけられ入社しました。ちょうどニッタクが紅双喜の『PF4』のラバーやラケットの販売を始めた時でした。1983年から86年までアルバイトでニッタクの中国向けの貿易を手伝っていました。

 日大卒業後、日大の修士課程の試験も受かっていたし、南京大学に戻る可能性もあったのですが、まだ中国に戻るのは早いと思ってニッタクに入社しました。最初は商品企画部でラケットやバッグの開発の仕事でした。当時、中国選手たちが使っているラバーということで『PF4』ラバーは日本で結構売れました。また1993年から4年間ニッタクは中国チームのウエアのオフィシャルサプライヤーもやっています。 

 1992年に紅双喜との合弁会社のDNSを上海に設立。中国のボールを輸入したり、ニッタクと紅双喜で技術交流も目的のひとつでした。のちに技術協力で中国でも高品質のボールを作ろうとニッタクのノウハウが注入されます。当時の向原社長は「どうせ一緒にやるなら良いものを作りましょう」と惜しみなく協力しました。とはいえ、材料が違うので全く同じボールにはなりません。

 ニッタクもセルロイドボールの時には綿花を中国から買ったり、ボールの製造機械を中国で作ってもらうこともありました。DNSは当時、仕入れと加工、日本への輸出をしていました。のちにニッタクからの輸入販売も始めるようになりました。

 

海外のサプライヤーとのミーティング

 

地域によって特徴が違うし、好みも違うので、マーケットを分析しながら商品を考える。
それがヒットした時には喜びを感じます

 

●-中国でのニッタク商品の売れ行きはどうでしょう?

高林 現在、中国では「アコースティックカーボン」「ルデアックカーボン」「モリストSP」などが売れています。私が入社した頃は、輸出もヨーロッパが7割くらいで、今はアジアが逆転してますが、ヨーロッパとアジアのバランスを考えなければいけません。現在、国際部が担当する輸出部門の売上は毎年伸びています。

●-国際部として大事なことはなんですか?

高林 どのマーケット(市場)でどの商品を売るかをまず考えますね。統一した商品もありますが、地域性というものがあります。その地域にあった商品を現地の代理店と決めていきます。実際に足を運んでお互いに意見を出し合いながら、仕事を進めていきます。ニッタクは人情味のある会社で、現地の代理店との関係性を重視します。

 もともとニッタクの始まりはセルロイド商品を作っていた上海のハーター商会で、ニッタクと紅双喜も縁を感じます。北岡功会長兼社長も「仕事は明るく楽しく」というのがモットーと言い続け、紅双喜との関係も技術交流や、大会のスポンサーも共同でやったりと、お互い井戸を掘った人を忘れない、義理人情に厚い部分があります。

●-今回、ニッタク国際部として英語力がキーポイントなのでしょうか?

高林 国際部では英語力のある人を求めていますが、英語はひとつの道具なので最後は人間性だと思います。言葉は勉強すれば身につきますが、営業活動は人間と人間の付き合いです。メーカーと代理店は平等な立場です。メーカーが上で、代理店が下いう関係では長く付き合えません。買ってもらっている、売っていただいているという意味では、対等よりも、下から見上げるくらいのほうが良い付き合いもできます。

 ニッタクは100年という歴史を持った会社ですが、それは今まで人と人の関係を大切にしたから続いてきたのだと思います。商品力はもちろん大事ですが、営業力と人間関係でニッタクというブランドを維持できた。国内でも海外でも相手は機械ではなく人間なので、対等の関係性でお付き合いするべきだと思います。

 それに人間は感情を持っているので、足を運んで、相手の立場になって考えていけば、ニッタクのファンを増やしていくことができます。

●-国際部の仕事の面白さとはなんですか?

高林 地域の特性を考えながら商品を考えるのも面白さです。地域によって特徴が違うし、好みも違うので、マーケットを分析しながら商品を考える。それがヒットした時には喜びを感じます。

●-国際部としてズバリ求める人材、来て欲しい人材とは?

高林 求めている人材は能力よりも努力できる人かどうか。新しいことにチャレンジできることが国際部のやりがい、楽しさになります。現在、英語力に自信がなくても、身につけようという人には勉強する機会を持ってもらいます。

 卓球というスポーツを通じて世界各地でいろいろな人に会い、ビジネスを語ることは楽しいものです。英語は言語ですが、卓球も世界の共通言語です。まだ見ぬ土地で一緒に卓球を広め、「ニッタク」というブランドを広めたいというチャレンジャーに来てほしいですね。

●-ありがとうございました。

 

ニッタクキャリア採用|国際営業 募集要項
https://www.nittaku.com/nittaku-news/topics/post-4064