日本卓球協会の宮崎義仁強化本部長へのインタビューと、ITTF(国際卓球連盟)のスティーブ・デイントンCEOへのインタビュー(卓球王国最新号)。
昨年11月のワールドイベントに関するエントリー方法や、世界選手権、五輪をおざなりにしているように見える新規イベントのWTT(ワールドテーブルテニス)。5月のWTT中国は中国政府や省からの規制で、東京五輪後に延期となったが、ITTFは今までのワールドツアーからWTTにイベントを切り替えようとしている。
デイントン氏は日本卓球協会の宮崎義仁氏がWTTとデイントン氏自身をメディアで批判しているのも知っていた。その当事者であるデイントン氏を直撃し、WTTの言い分を聞く必要がある。
昨日発売の卓球王国最新号では宮崎氏と卓球王国でこういうやりとりもあった。
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──宮崎さんが言う、交渉先の「向こう」というのはITTFですか、WTTですか?
宮崎 もちろんITTFです。ずっとCEOのスティーブ・デイントンです。通訳を入れながらZOOMで話し合いをしました。こちらはITTFへ抗議をしているんですが、そのまま彼らがWTTのスタッフで、それでスタートさせている。釈然としないですよね。ガバナンス(統治・管理)が全然なってない。自分たちがITTFの了解を取り付けたと言って、WTTを始めているんだから。
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──どうしたらこの状況は良くなりますかね。
宮崎 そりゃ、スティーブが辞めることですよ。そう言っておいて。
──ぼくが言うんですか?
宮崎 そうそう。だって(卓球王国が)インタビューするんでしょ。宮崎がそう言っていたと。ITTFでは今は政局の話にしかなっていない。ガタガタですね。今のWTTでは卓球界が潰される。
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日本卓球協会はITTFが主催する昨年までのワールドツアーに「世界で最も選手派遣の多い協会」だった。国際大会参戦によって形成される世界ランキングを各種大会の選考基準にもしてきた。それらの大会は新型コロナによって失われ、かつWTTという新規事業に翻弄されてきた日本卓球協会。数少ない大会でも「段取りの悪さ」で協会の宮崎強化本部長はフラストレーションがたまっていたのだろう。
確かに宮崎氏が指摘するように、ITTFのデイントンCEOがそのままWTTの執行部として新規事業を統括している。過去に前会長のアダム・シャララ氏が代表を務めていたTMSというITTFの権利関係(放映権や広告)を管理する会社を糾弾し、TMSを消滅させ、シャララ前会長を追放したのはITTFの現執行部だった。
その執行部がITTFのマーケティング部門として利権を集中させ、WTTという新しい組織を作り、同様のことをやっているようにも見える。それが宮崎氏の「WTTはお金儲けのために動いている」という意味だ。
WTTとして独立した国際イベントを作ろうしているのだが、それが独立した形でやるのか、あくまでもITTFのひとつのミッション(務め)としてやるのかが非常に見えにくく、透明性が感じられない。
卓球王国最新号で宮崎強化本部長が、痛烈に批判した相手がデイントン氏に、その疑問や問題点をインタビューで答えてもらった。
デイントン氏はインタビューの冒頭で「COVID-19のせいで、(国際大会の)すべての手順を踏んでいくことが複雑で難しい状況だった。ビザを取る手続きや大会運営のすべて、中国や省との確認も含め、前よりも時間がかかった。(3月にWTTを開催した)カタールでも今日100%大丈夫だったものが、次の日には100%でなくなってしまう」と切り出した。
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