卓球王国 2021年11月20日 発売 vol.296
バックナンバー 定期購読のお申し込み
トピックス

目指すのは「人がつながる卓球場」。仙台市・卓球ラウンジNOAの夢

●「卓球を教えるほうが楽しくなっちゃって」

「もともと、卓球場をやるつもりはなかったんです」

そう語るのは宮城県仙台市にある「卓球ラウンジNOA(ノア)」の代表・千葉尚美さん。選手としてインターハイ、国体、全日本社会人などに出場した経験を持つ千葉さんだが、指導者になる、ましてや卓球場を経営するとは考えもしなかったという。そんな千葉さんが卓球場を開くことになったキッカケは前職での出会いだった。

千葉さんは卓球場をオープンする以前はエステサロンを経営。エステティシャンとして働く中である時、卓球をしているというお客さんと出会う。その方に「卓球を教えてくれない?」と頼まれたことがキッカケで、千葉さんは卓球場を借りてレッスンを始めるようになった。最初は「私に教えられることがあるなら」くらいの気持ちだったという。

最初は1人を相手に始めたレッスンだったが、徐々に生徒さんの数は増えてゆき、気がつくと10数名ほどになっていた。人数が増えたこともあって、今度はスポーツジムの一室を借りて卓球台を置き、エステサロンで働きながらフリーのコーチとして活動するようになる。しかし、そのスポーツジムも卓球をする際の足音などの問題で、立ち退きを余儀なくされた。これが千葉さんに「卓球場を開く」という決断をさせる。

「エステサロンもやっていたけど、卓球を教えることのほうが楽しくなっちゃって。それで物件を借りて卓球場を開くことにしたんです。卓球場をやるとなると、兼業は難しいのでエステサロンは閉めました。私、性格的に思い立ったらすぐに行動するタイプなんですよ」

 

●1対1だから生まれる信頼関係

こうして「卓球ラウンジNOA」をオープンさせたのが2012年8月。最初は卓球台2台が置けるスペースの物件でスタートしたが、生徒数の増加や施設の老朽化などもあって何度か移転。昨年12月には6台の卓球台が置ける物件へと引っ越し、新たなスタートを切った。現在は上は82歳、下は幼稚園児まで幅広い年代の生徒が通う卓球場となっており、仙台をはじめとした宮城県内のほか、山形県や福島県から足を運んでもらうこともあるそうだ。

現在の卓球場の外観

最大で卓球台6台が使用でき、2階には観覧スペースもある

「もともと仲間意識というか、人付き合いで始まった卓球場なので、生徒さんはみんな良い人ばかり。移転することになって引っ越しをする時も、お弁当を作ってきてくれたり、お掃除を手伝ってくれたり、本当に助かっています。アットホームな雰囲気がNOAの魅力だと思います」

現在、NOAに勤務するコーチは千葉さんを入れて3名。大学生のアシスタントコーチにも協力してもらいながら指導にあたる。マンツーマンでの個人レッスンが中心で、継続的にレッスンを受けて続けてくれる生徒さんも多い。NOAをオープンする以前から千葉さんのレッスンを受け続けている方もいるそうで、千葉さんの人柄の良さ、そして生徒さんからの信頼を感じさせる。ここ数年は、個人レッスン、グループレッスンなどを合わせて、コーチ1人あたり1日6~9コマを担当するほど、多忙な毎日を送っている。

そんな中、千葉さんが指導者として大きな刺激を受けているのは中学生を対象としたレッスン。そこには勝ち負け以上のやりがいがあると語る。

「宮城には小・中学生を対象にした全国レベルの老舗クラブや卓球場も多いんですが、ウチは中学校から卓球を始めた子でも気軽に通えるようにしたかった。県大会出場がひとつの目標ですね。個人レッスンが中心で1対1でやっているからこそ、いろいろな話もできるし、お互い信頼関係も生まれます。勝っても負けてもベンチで見ていて感動をもらえますし、それが一番のやりがい。NOAを卒業した後も近況報告をくれたり、ずっと関係が続いているのはうれしいことですね」

NOAに通う生徒さんたち