2023年、Tリーグでの出場機会も減り、指導者への転身を請われながらも、ブンデスリーガに挑戦した上田仁。30歳を過ぎていた。しかも、単身ではなく家族とともにドイツに渡るという決断だった。
「ケーニヒスホーフェン」での1シーズン目はクラブの登録ミスで後半戦からの出場となり、7勝6敗の成績を残し、プレーオフ進出の原動力となった。2シーズン目の今シーズンは、10勝5敗の成績を残している。昨日のフルダ・マーバーツェル戦ではオフチャロフに敗れたものの互角の試合を見せ、4番で勝ち、チームの勝利に貢献した。
プロ卓球選手・上田仁が説くポイントは、「不自由さが成長の鍵」、「価値観の違い」、「地方環境の強み」の3つだ。
上田は「不自由な環境こそ成長を促す」と強調している。「日本では練習環境が整いすぎていることも多いけど、ドイツでは自分で解決しないといけない状況が多い。そういう不自由さが自分を成長させてくれる」と語る。また、ドイツと日本の卓球文化の違いについても、「ドイツでは個人の責任が大きく、日本みたいに周りがサポートしてくれることは少ない。でも、その分自立心が鍛えられる」と価値観の違いを実感している。
さらに、現在所属しているドイツの地方クラブ「ケーニヒスホーフェン」の環境も特徴的だ。「地方の静かな環境は雑音が少なく、卓球だけに集中できる。余計な誘惑がないのがありがたい」と語り、地方ならではの強みを最大限に活かしている。
こうした環境や文化の違いを糧に、上田は自らの競技スタイルを進化させ続けている。
<卓球王国PLUS・上田仁独占インタビュー>
上田仁の挑戦と順応。「ドイツでは打たなくても良いという選択肢があるんです。カットで返してもいい」
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