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インタビュー

「卓球を通じて何を学ぶか」。指揮官・高山幸信が語る明治大

 関東学生リーグでの優勝回数は歴代最多の47回、インカレでも歴代2位となる17回の優勝を誇る明治大。そんな名門中の名門と呼べるチームの指揮を執るのが高山幸信だ。

 自らも明治大で選手として活躍し、引退後は10年以上にわたって母校の監督を務め、常勝・明治の伝統を継承してきた。学生界を牽引する明治大の監督としての指導論、そして選手たちへの想いを語ってもらった。(インタビューは2020年12月中旬に実施)

 

●「明治の伝統」を知った学生時代。平沼園での温かい思い出

 正直なところ、大学に入るまでは「明治大」と言われても、そんなにはっきりとした印象はありませんでした。入学後に当時監督だった渋谷五郎さん(故人)からいろいろなお話を伺ったり、実業団で先輩方が活躍している姿を見て、「明治の伝統」というものを学び、私自身もそれを意識するようになっていきました。

 学生時代の思い出としては、私が大学1年の秋季から2年の秋季にかけての関東学生リーグ3連覇、そして3年のインカレで日本一になったこと。やっぱり、団体戦で勝ったことのほうが印象深いです。あとは4年の時に田﨑(俊雄)と全日本の男子ダブルスで優勝できたことも良い思い出ですね。

 私が学生だった頃は平沼園(東京都武蔵野市にあった卓球場)で練習していましたが、明治専用の卓球場ではなかったので、部員が20人近くいるのに卓球台が2、3台しか使えない時もあった。今考えると、その中でよく成績を残していたなと思います。平沼園での思い出もたくさんあって、卓球部に寮を貸してくれていた地主の方や、平沼園で練習していた一般のお客さんに食事に連れていってもらうこともありました。部活内だけでなく、地元の方々との交流も含めて、平沼園の温かみのある雰囲気は記憶に残っています。

高山が学生時代に練習していた平沼園。現在はフットサル場となっている

 

●選手に掲げる3つの目標

 2007年にコーチとして明治に戻りましたが、その時の4年が足立(卓也)や松山(満)。3年には小野(竜也)、水野(裕哉)らがいました。コーチを務めさせてもらった翌年から監督になり、この年に全日本チャンピオンの水谷(隼)が入学。選手たちとは年齢も10歳以上離れており、練習場と寮を併設した今の合宿所も完成していて、私の学生時代とは明治の雰囲気も少し変わったなと感じたのを覚えています。

 監督になってから、選手たちには大事にしてほしい3つの目標を掲げています。ひとつは学業とスポーツの両立。学業成績でトップになれとは言いません。ただ、最低限の成績を取り、しっかり大学を卒業して親御さんに恩返ししてほしいということです。

 次に、最終学年で最高の成績を残してほしいということ。4年になると就職活動などもあり、次第に卓球から気持ちが離れてしまう選手もいます。その結果、卓球部にいても目標もなく、ただ所属しているだけの状態になってしまうこともある。そうならないためにも学生最後の年、4年時の大会で自分にとって最高の成績を残すことを目標に頑張ってもらいたい。

 最後は卓球を通して学んだこと、培ったことを社会に出て活かせる人間になってほしい。卓球から離れて社会に出れば、卓球の実力はさほど価値を持ちません。でも、卓球で培った考え方だったり、人間性というのはどんな時も自分を助けてくれる。だからこそ、強くなるだけでなく、社会で必要とされる、頼りにされるような人間力を大学で身につけてほしいと考えています。

監督就任1年目にして秋季関東学生リーグで優勝

 

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