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世界卓球2022

日本男子、会心のプレーでブラジルをストレートで撃破。戸上がカルデラノを破る金星

日本男子の決勝トーナメント1回戦の対戦チームは、世界ランキング5位のカルデラノを擁するブラジル。日本のオーダーはエースに張本智和、2番手に戸上隼輔、3番手に及川瑞基。対するブラジルは2番手のイシイを3番に起用するオーダーを組んできた。カルデラノで2点取り、3番のイシイで及川を捕まえたいという狙いだ。

だが、トップで戸上がカルデラノとの打撃戦に打ち勝ってジャイアントキリングを起こすと、流れは一気に日本へ。張本、及川も快勝し、日本がブラジルをシャットアウトした。

 

●男子団体決勝トーナメント1回戦

〈日本 3-0 ブラジル〉

○戸上 -11、10、8,7 カルデラノ

○張本   4、5、7  ジョウティ

○及川   8、4、9  イシイ 

 

フィジカルが強く、ストップ、ツッツキ、チキータを使い分けて台上で先手を取り、そこから威力のある両ハンドドライブを軸に戦う戸上とカルデラノのプレースタイルは似ている。そういったこともあってやりやすかったのだろう、戸上は格上のカルデラノに対して序盤からフルスイングのプレーを見せた。

一方、カルデラノはやや様子を見ているような感じで、両ハンドをぶん回していない。お互いに台上で探り合いながら、チャンスを作って両ハンドドライブに結びつけていくプレーを続ける。

戸上は1ゲーム目をジュースで落としたが、プレー自体は悪くない。しかし、全体的にカルデラノが戸上を少し上回っているため、スコアはカルデラノがリード。2ゲーム目は7-10とカルデラノがゲームポイントを握ったが、戸上はここから逆転。戸上は11-10でこの試合で初めてYGサービスを使い、3球目ドライブで仕留めた。

世界5位を破った戸上。次戦でのプレーが早く見たい

 

戸上は3、4ゲームと攻撃の手を緩めず、アグレッシブな両ハンドドライブでカルデラノを押していく。カルデラノの攻撃がクロスばかりになっているため、戸上はそれを狙い打っていた。3-1で戸上が勝利を決め、日本にとって貴重な先取点をあげた。

「世界のトップと当たる機会が多くなることは、大会前から予想していましたし、世界ランキングのトップ10以内の選手に勝ちたいと思っていました。でも、勝ちたいと思う気持ちだけでは勝てないことも今まで感じているので、平常心でプレーすることが大事だと思って試合に臨みました。試合前には正直不安になることもありますけど、趣味のプロレスをYouTubeで見たり、音楽を聴いたりしてリラックスしています」と戸上。

少し元気がないように見えたカルデラノ。それだけ戸上からプレッシャーをかけられていたのだろう

 

戸上がカルデラノを破ったことで、2番の張本の気迫はさらに高くなり、一方的な内容でジョウティを破った。ライジングをとらえた一撃のバックハンドに加えて、ジョウティの攻撃を前陣ブロックで何本も弾き返すなど、力の差をまざまざと見せつけた。

「今日は戸上選手かぼくがカルデラノと対戦して、どちらかが1点取れれば勝てると思っていた。今日は戸上選手のおかげですし、それにぼくと及川選手が乗っかることができた。完璧に近い試合だったと思います。今日の試合はこの8試合くらいでも一番良い試合だったと思います。

カルデラノ選手とは4番で当たると思っていましたけど、カルデラノに対しては自信があった。戸上選手がカルデラノに勝ったことは、戸上選手自身にとっても良いことだし、この先対戦するチームのエースにもプレッシャーを与えられたと思います。次で言えばポルトガルのフレイタスや、スロベニアのヨルジッチもビクビクしていると思うし、彼らにとっては『エースの自分が負けたら終わり』という感じになる。本当に素晴らしい仕事だったと思います」と試合後の張本。

完璧なプレーを見せた張本には「強い」という言葉しか見つからない

 

3番の及川は、今大会4試合目にして本来のプレーを見せた。及川はフォアハンドで完璧なストップでイシイの攻撃を封じると、4球目を積極的に攻めた。動きも良く、躍動感が戻ってきた。及川らしいミスがなく、安定したプレーとフットワークを使ったフォアドライブでイシイにストレート勝ち。日本は最高の試合を見せ、明後日の準々決勝に駒を進めた。

表情も動きも格段に良くなった及川

 

以下は田勢監督の戸上に対する試合後のコメント。

「1番の戸上は世界ランキング5位のカルデラノを相手に、あれだけ冷静にプレーできた。フォア前をストップしてチキータで入られるのが一番嫌だったので、それだけは避けようと。積極的にミドルやバックに長くいっていいよと指示して、それを勇気を持って実行できたのが勝因だと思います。

2ゲーム目の7ー10から取れたことで冷静になれたし、自信を持ってプレーできた部分もありますね。3番の及川も今日は伸び伸びと、自分のプレーをやってくれた。決勝トーナメントだからといって特に意識をせず、逆に伸び伸びやっていると思います」

 

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