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世界卓球2022

歴史の街・成都で「バブル」の中へ。ひと苦労の入国と、スタッフの温かさ

ただいま中国・四川省成都市は9月27日の17時過ぎ、日本との時差は「−1時間」。成都名物の曇り空が広がっている。昨日9月26日の夕方、一面を覆う厚い雲を突き抜けるように、ITTFのチャーター機である四川航空3U3712便は成都双流国際空港にランディングした。

今大会に出場する選手たちは、ドバイとシンガポールのふたつの空港から、ITTFがチャーターした四川航空の飛行機で中国に入国した。シンガポールの場合、26日の朝10時からチェックインが始まったのだが、現場ではひと悶着(もんちゃく)もふた悶着もあった。

アジア有数のハブ空港であるシンガポールのチャンギ国際空港。チャーター便を待つ間、このジャングル(?)の中で一夜を明かした

チャンギ国際空港で、チャーター便へのチェックインを待つ大会関係者

選手を含め、大会関係者を悩ませたのはふたつの『健康コード』だ。今回、中国に入国する大会関係者は、まず自国で受けた2回のPCR検査の陰性結果、ビザやビザの招聘状などの必要書類をオンラインでアップし、取得した「健康コード(グリーン)」を提示しなければならない。日本で中国大使館指定の病院を2回訪れ、これを取るのがひと苦労だった。渡航直前に超特急でビザを取るのにも相当苦労しましたが……。

そして中国入国の際にはもうひとつ、税関に提出する「出入境健康申報コード」の取得も必須。韓国選手団は事前に登録していなかったようで、カウンターのそばで大渋滞が発生。ちなみに両方のコードとも、必要情報を入力して送られてきたQRコードを提示・読み取りする仕組み。もはやスマートフォンなくしては、中国には入国できない。

第二の「健康コード」取得のため、チェックインカウンターのそばでは渋滞が発生

ようやくふたつの健康コードを提示し、チャーター機に乗り込むと、そこで待っていたのは制服姿ではなく、真っ白な防護服で完全防備したキャビンアテンダントの皆さん。虫除け並みに目がチクチクする消毒薬が噴霧されるひと幕もあった。我々はいったい、どれほど危険な存在だというのだろう……。一方で、飛行機を下りる時、「シーユーアゲイン!」と手を振るキャビンアテンダントの笑顔には(目だけしか見えませんが)、つかの間心が温まる思いだった。

防護服姿は相当暑かったはずだが、サービスはさすがプロだった

ちなみに空港に到着してからも、専用ルートを通ってホテルへのバスに乗り込むまでには1時間半以上かかった。先ほどの「出入境健康申報コード」でエラーが続出したり、PCR検査や入国審査に並んだり……。ホテルの部屋に隔離されて、空港で受けたPCR検査の結果が出たのは深夜の23時過ぎ。日本選手団とは違うホテルだが、選手団も状況は同じだったという。今日の練習スケジュールが出たのは午前3時だったとか。

喜んで写真を撮らせてくれたスタッフの女の子。やって来ました、成都!

PCR検査の結果を待つホテルでテレビをつけると、中国卓球協会の劉国梁会長がCMでお出迎え。何とも絶妙なタイミング

大会関係者と観客や市民の動線を遮断し、完全なる「バブル方式」で行われる今大会。幾重もの堅い関門を突破して、ようやくその中に入ることができた。大会の運営スタッフは、誰も皆とても親切。2週間ほど前にロックダウンが解けたばかりの成都の街は、初開催の世界選手権を熱烈に歓迎している。その大会のすべてを見届けていきたい(柳澤)。

 

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