国際卓球連盟(ITTF)の裁定委員会は9月1日、カタール卓球協会(QTTA)とカリル・アル-モハンナディ(カタール)氏が提起していた上訴を棄却し、5月27日のITTF会長選挙でペトラ・ゾーイング氏(スウェーデン)が選出された結果を正式に承認した。
ことの発端は、5月27日(現地)、カタール・ドーハで開催されたITTF年次総会(AGM)での会長選挙である。70分に及ぶ投票手続きの末、現職のゾーイング氏が会長代理のアル-モハンナディ氏に104対102の僅差で勝利し、会長に当選した。
しかし、この決定と採決方法に対し一部の参加メンバーが猛反発。AGM進行役を務めたITTF事務総長ラウル・カリン氏と副会長グラハム・シモンズ氏に対し、「総会冒頭の出席確認では16の連盟がオンライン出席と認められていたのに、実際の投票では21連盟が投票に加わり、そのうち17対4でゾーイング氏を支持した」と指摘。どの連盟が後から加わったのかを明らかにするよう求め、出席確認後に追加参加した連盟には投票権はないと強く主張した。
実際には、出席確認時に16連盟がオンライン出席しており、その後、早い段階の提案事項の投票中に2連盟、さらに会長選挙前に3連盟が追加参加していたことが確認されている。
QTTAとカリル・アル-モハンナディ氏は声明で「今回の判断は手続き上の判断にすぎない」と主張し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)による包括的な審理を求める姿勢を示している。一方でITTFは、今回の裁定は数カ月にわたる法的手続きの結果であり、証拠や証人尋問を含む十分な審理を経たものであると説明した。
8月28日には約5時間の審理が行われ、当事者双方は証拠提出や反対尋問の機会を与えられた。その結果、裁定委員会は「カリル・アル-モハンナディ氏の上訴を棄却」「QTTAの上訴を棄却」「ゾーイング氏の当選を確認」と結論づけた。
今回の決定は直ちに執行力を持つが、CASへの不服申立ても可能である。ただしCASが異なる判断を示さない限り、ゾーイング氏の会長就任は有効とされる。
2025年5月の世界選手権ドーハ大会の閉会式でのゾーリング会長(右)とアル-モハンナディ氏(左)。この大会後に行われたITTF会長選で二人は僅差の争いを繰り広げた
ツイート