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【卓球】2点奪取、大器・村松雄斗のブンデス「めちゃくちゃうれしい。やりがいを感じる」

3節の「ミュールハウゼン」戦でブンデスリーガ1部で今季初試合の村松雄斗(La.VIES)。2番でハベソーン(オーストリア)に競り負けたが、4番でメンゲル(ドイツ)に勝った。18日の第4節の相手は以前村松が所属していた「オクセンハウゼン」。この試合、ロブレス(スペイン)、ゴーズィ(フランス)を連破し、チーム初勝利に貢献した。

今年、2月に所属する東京アートが突然の休部。新天地をかつてプレーしたブンデスリーガ1部に求めた村松雄斗。いつもは口数が少ない男なのに、「マインツ」への入団決定のあと、村松は言葉を選びながら少しばかり饒舌になった気がした。

「ぼくは日本にいると楽なほうに流れてしまう。自分にはそういう弱い部分があって、ドイツに行ったらやるしかないという環境に置かれます。そっちが自分に合っているし、もっとプレーが良くなるし、活躍できると思うのでそういう意味でワクワクしています」(2022年3月のインタビュー)

村松は「オクセンハウゼン」戦の直後にインタビューに答えてくれた。

聞き手=今野昇

古巣「オクセンハウゼン」から2勝をあげてチームに今季初勝利をもたらした村松

 

エースというのは

プレッシャーはありますが、

その分、勝った時はうれしいです

 

お疲れさまでした。2勝してチーム初勝利に貢献しました。

村松 今日は頑張りました。ありがとうございます。今日はドイツに来て、2戦目です。1試合目の「ミュールハウゼン」戦でも1試合目でマッチポイントを取っていて、そこで負けてしまって、それを勝っていればチームは勝ったかもしれないので惜しい試合でした。

 

国内選考会のあとにドイツに行ったけど、調子のほうはどうなんだろう。

村松 選考会も初戦で負けたけど、内容は悪くはなかった。ドイツに来ても調子は悪くなかったけど、どのくらい通用するか全くわからなかった。3月にブンデスリーガが決まってからも頑張って練習もしていたので、やれることはやったと思ってドイツに来ました。

ぼくとしては感覚として今が一番強いと思っていて、勝てるんじゃないかという気持ちもありました。ぼくはずっと怪我をしていて左足が痛かったんですけど、半年くらい前から良くなっていて、練習量を増やしたり、トレーニングもしてきた。それでしっかり準備ができた。

今回のブンデスリーガは久しぶりですね。前節の1戦目は緊張したのかな。

村松 5シーズンぶりのブンデスリーガですね。日本リーグではコロナの影響で2台進行だったので、1台で試合をやるのは緊張します。ドイツでは常に相手のエースと当たるので勝ちたいという思いが強かったですね。この間の最初の試合(ハベソーン戦)では緊張して、サービスの時に手が震えてしまいました。内容は悪くなかったけど、かなり緊張していて、逆に2試合目は力が抜けて良い試合ができました。

 

自分にとっての2戦目でもある「オクセンハウゼン」戦でのロブレスとの試合では良い感じで試合ができましたか?

村松 緊張はかなりします。チームの1番が勝ってくれて、良い流れで回ってきたけれども、やはり力は入りました。ぼくのチーム「マインツ05」はまだ今シーズン1勝もしてなかったので、なんとしても頑張ってチームの勝利をものにしたかった。

 

以前に所属していた「オクセンハウゼン」と対戦するのも特別な意味があったでしょうね。

村松 そうですね。今回、アウェイなので昔やっていた会場で試合をしました。5年ぶりで同じ会場で試合をしたし、久しぶりにオクセンハウゼンに行くことは、選手もそうですが、昔お世話になったクリスさん(クリスチャン・ペジノビッチ/オクセンハウゼンCEO)とか、コーチのフーさんとかに会えるのも楽しみでした。

 

●2番でロブレスと対戦しました。

村松 緊張していて出足で0−4になったんですが、なんとか逆転して1ゲーム目を取れたので、気持ちが楽になった。ロブレスは5年前にやっていて0−3で負けていたんですが、やはり今回も彼は強かった。2−0になったけど、そこから2−2に追いつかれてどっちが勝ってもおかしくなかった。そこで2−0とチームの流れを良くしたのは大きかったし、そこで勝ったから良いイメージで次の試合に入れました。

 

●4番で相手エースのシモン・ゴーズィと対戦した。

村松 オクセンハウゼンでチームメイトだった時にはシモンとはよく練習もしてました。やはり世界ランキングの上位の選手なので強いですから、ぼくのほうが格下なので、負けてもともとという気持ちで向かっていけた。向こうは、1−2で回ってきて、プレッシャーもかかったでしょうね。ぼくは思い切って試合ができました。

YouTube見たら、彼がカットマンとやっている試合もあったので、ぼくも臨機応変にやり方を変えられたのが良かった。ロブレスとの試合がかなり激戦だったので、体は疲れていたんですけど、カットの変化が出足で効いていたので、序盤は(ゲームを)取りたいと思ってました。強い人には余裕を持たれるとカットマンはきついので、絶対1ゲーム目は取りたいと思っていました。

 

ゴーズィに勝って、チームの勝利も決めました。

村松 めちゃくちゃうれしかったですね。マインツの初勝利でしたから。このチームは昨シーズン2部で、今シーズンから1部に上がったチームなので、この試合前にも勝ちたいとみんなで話をしてました。ブンデスリーガは今年、弱いチームはないから、全敗したらどうしようと思っていましたが、自分が2点取り、チームの初勝利はすごくうれしい。シモンとの試合でもマッチポイント取った時にはすごく緊張しましたけど、チームメイトも応援してくれたし、「冷静に試合をして」というアドバイスをくれたので、最後まで冷静にやることができました。

 

マインツは村松くんが2点とらないと勝利は難しいチームでもあります。

村松 もちろんプレッシャーはありますが、やりがいもめちゃくちゃあります。社会人になってから東京アートでも、琉球アスティーダでもエースで出たことはなかったので、エースというのはプレッシャーはありますが、その分、勝った時はうれしいです。このチームはみんなメンバーは若くて、ぼくがチームの最年長で、ぼくに期待しているので、やりがいはすごいあります。

 

次の試合は?

村松 次は24日にドイツカップの試合があります。ブンデスリーガは11月まで試合がないので、28日に日本に帰って、全日本予選に出ます。

 

まだ2戦しかやっていないけど、充実感はありますか?

村松 そうですね。シーズンは始まったばかりですが、練習場に行っても、チームメイト、オクセンハウゼンの人にも「また君の試合が見れてうれしい」と言われています。オクセンでもぼくの英語の先生だった人も見に来てくれたのでうれしいですね。試合はすごく緊張するけど、勝ってみんなが喜んでくれることを実感しています。

 

まだ早いかもしれないけど、ドイツに行くことは間違いではなかった?

村松 試合にたくさん出られるし、自分の実力と、挑戦してどのくらいできるのかというのが楽しみです。これからまだ試合はたくさん続くので。28日に帰国して、また11月にドイツに戻ります。

試合でしか味わえない気持ちを今味わっています。頑張ります。

2点取り、チームの勝利を決めたあとの「マインツ」

 

「オクセンハウゼン」のCEO、クリスチャン・ペジノビッチと試合前に撮影。世話になったオクセンハウゼンに自身の勝利で恩返しをした

 

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