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インタビュー

Tリーグ京都のトップスポンサー「私は卓球から礼儀や根性を学んだ。人間性という意味でも卓球に育てられた」田中祐貴

田中祐貴

ゆうき内科・スポーツ内科院長
京都カグヤライズのトップパートナー

 

 

 

Tリーグの新チーム「京都カグヤライズ」の資料には、トップパートナーに企業名ではなく、「ゆうき内科・スポーツ内科」が入っている。それは資金面でチームを支えることを意味する。なぜ大阪のクリニックがTリーグのチームのトップパートナーになったのだろう。院長は田中祐貴、35歳の若き開業医だった。

聞き手=今野昇

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たなか・ゆうき
1986年神戸生まれ。神戸大医学部卒で、2020年に枚方市で「ゆうき内科・スポーツ内科」を開院。卓球は中学から始め、今もラケットを握る。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本内科学会認定内科医、日本スポーツ内科学会代表理事長。2022年、Tリーグの京都カグヤライズのトップパートナーになった

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スポーツ内科医は、
全国で10名いるかどうかという
稀少な存在です

 

●田中さんのバックグラウンドを教えてください。

田中 幼稚園から小学校、中学、高校を経て大学まで卓球をやっていました。社会人になってからも卓球は気楽に続けています。私はスポーツドクターです。スポーツドクターというと整形外科をイメージされると思いますが、私は「スポーツ内科」という珍しい仕事をしています。例えば「スポーツ貧血」というスポーツ内科疾患があります。アスリートや運動愛好家が、鉄欠乏やエネルギー不足に陥り、結果としてヘモグロビンが低下することを「スポーツ貧血」と言います。スポーツ貧血になると息切れなどの症状や、パフォーマンス低下などの不調をきたします。主な原因は、成長やハードな練習に見合った分だけ鉄やエネルギーを摂取できていないことにあります。そうならないように食事・栄養面を充実させ、予防することが重要になります。

 

●スポーツ内科のドクターは少ないのですか?

田中 スポーツ内科医は、全国で10名いるかどうかという稀少な存在です。関西でもスポーツ内科は珍しく、大阪以外にも京都、兵庫、奈良、滋賀などからもよく選手が来院されていますし、東京の選手が帰省ついでにメディカルチェック目的で受診されることも珍しくありません。

 

●スポーツ内科を始めたのは田中さんが卓球と関わっていたことと関係があるのですか?

田中 卓球は観るのもやるのも大好きですが、卓球に限らずスポーツと関わる仕事をしたいと漠然と思っていました。「スポーツ医学=整形外科」というイメージがあり、内科からスポーツへアプローチすることは諦めていたんですが、医学部5年生の時に神戸でスポーツ内科診療に30年来、取り組んでいる先生のもとで実習させていただき、スポーツ内科という分野があるんだ、内科からでもスポーツ医学に携わる道があるんだということを初めて知りました。その後は腎臓内科医として医師としてのスタートを切りましたが、約8年前からスポーツ内科医としての活動・診療をしています。

 

●神戸大医学部出身ですが、医学部の卓球部は別にあるのですか?

田中 そうです。全学と医学部の卓球部のレベルは月とスッポンくらいの差がありますが、それでも医学部の上位層は全学の練習に参加させてもらうことが出来ました。私も明らかなレベルの差を感じながらも、神戸大学の全学卓球部の練習に参加させてもらっていました。

 

神戸大と言うと、最近は「卓球ストーカー」と言われる岩城禎さんが有名になりましたけど、卓球界にも神戸大出身の方が増えています

田中 私が医学部卓球部に入った時には、岩城さんは全学の卓球部におられたと思います。やはり存在感がありましたね。卓球を一生懸命やっている人は、職人のようなまっすぐな方が多いですが、その中で岩城さんは群を抜いていました(笑)。神戸大はどちらかというと真面目で堅いイメージの大学ですが、卓球部は風変わりなイメージがありますね。学生卓球界の中では、神戸大学は良い味を出していると思います(笑)。

 

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