卓球王国 2021年10月21日 発売 vol.295
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中国リポート

元世界代表の方博と周雨、SNSで国家チームからの引退を発表

10月12日、山東省威海市で行われていた中国卓球クラブ超級リーグは、男子プレーオフ決勝が行われ、すべての日程が終了。男子プレーオフ決勝は山東魯能と山東魏橋・向尚運動の「山東ダービー」となり、大方の予想に反して梁靖崑がエースの山東魏橋が、「絶対王者」馬龍を擁する山東魯能に3ー2で勝利してタイトルを獲得した。その結果については、男女とも別途詳しくお伝えします。

この男子プレーオフの決勝後、胸に「五星紅旗」をつけて世界選手権でプレーしたふたりのプレーヤーが、SNS(微博)で国家チームからの引退を表明した。ひとりは2015年世界選手権男子シングルス準優勝の方博。もうひとりは同じく2015年の世界選手権で、樊振東とのペアで男子ダブルス準優勝の周雨だ。方博は山東魯能、周雨は山東魏橋のメンバーとして、ともに超級リーグのプレーオフ決勝のベンチに入っていた。

中国屈指の名門・山東魯能で腕を磨いた方博は、強力なフォアドライブが武器の強打者。2009年の世界ジュニア選手権で、男子では史上初となる4冠を達成。2015年世界選手権では、前回王者の張継科を破って男子シングルス決勝に進出し、馬龍との激しいラリー戦の末に惜敗した。5ゲーム目11ー11で展開された壮絶なフォアドライブの打ち合いは、現代卓球のベストラリーのひとつに数えられる。

2016年には世界選手権団体メンバーにも選ばれた方博だが、硬質なプラスチックボールへの変更によって前陣での両ハンド速攻型が世界の主流となる中、次第に活躍の場を減らしていった。2018年の世界選手権団体戦(スウェーデン・ハルムスタッド)の時、レストランのすぐそばのテーブルで、背中を丸めて物静かに座っていた姿が忘れられない。方博がいたことにずっと気づかないほどだった。

「いつかはこの日がやってきます。16年近く国家チームでプレーして、ナショナルチームのウェアを着て戦うことができたのは私の人生にとって最大の栄誉でした。感謝しなければならない人はあまりにもたくさんいます」。SNS上でそうコメントした方博。すでにロシアリーグなどでのプレーを経験しており、今後も超級リーグだけでなく、海外でプレーすることになるかもしれない。

15年世界選手権時の方博。フォアのパワードライブが唸りをあげた

超級リーグでは出場機会がなかった方博。ベンチでチームメイトたちのプレーを見守った

 

一方、周雨は2010年の世界ジュニア代表だが、2013年の全中国運動会での活躍が記憶に新しい。「暴力的」と言いたくなる台上のパワーチキータと、左腕から放つ豪快なパワードライブを武器に、樊振東とペアを組んだ男子ダブルスで衝撃の初優勝。その爽やかなルックスで、会場のボランティアスタッフの女の子にも写真攻めにあっていた。樊振東とのダブルスは、2015年世界選手権での2位に続き、2017年全中国運動会で2連覇も達成している。

新たなスターの誕生を予感させた、周雨の登場だったが、あまりにプレーの波が激しかった。チキータを封じられた時の台上プレーに緻密さがなく、ラリー戦でも一発の威力はあるものの、イージーミスも多かった。スター性のある選手だっただけに、「樊振東のダブルスパートナー」という位置から脱却できなかったのは残念だ。

周雨はSNS上で次のようにコメントしている。「今日私は、この栄光ある中国国家チームからの引退を選択しました。14年にわたって私を育て、支えてくれたチームに感謝し、中国卓球協会の首脳陣、そしてコーチの皆さん、一人ひとりに心から感謝を申し上げます。(中略)国家チームからの引退は現役引退ということではありません。私の卓球というスポーツへの愛はこれからも変わりません」。こちらも海外リーグ……、あるいはTリーグ参戦の可能性もゼロではない。方博ともども、まだまだ卓球界を賑わせてほしいプレーヤーだ。

2013年の全中国運動会で、優勝後に樊振東(右端)とインタビューを受ける周雨(中央)

スーパーリーグでは山東魏橋の優勝に大きく貢献。「龍杯」を手に満面の笑顔

 

※写真提供:『ピンパン世界』