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今野の眼

ジャパンオープンは復活しない。日本でのWTT開催で見えたもの

シンガポールから30人超のスタッフが来日し、3億円以上のコストがかかったWTTファイナルズ

日本での国際大会は2019年ジャパンオープン(札幌)以来、4年ぶりの開催だったWTTファイナルズ名古屋大会。しかし、この4年間の時を経て、以前のジャパンオープンとは全く異なる国際大会となった。

2019年が最後となったジャパンオープンはITTFワールドツアーと言われるもので、男女シングルス、ダブルス、U19などの種目が行われた。主催はITTF(国際卓球連盟)で、主管は日本卓球協会で、大会の運営費などは主に主管協会、つまり主に日本卓球協会がスポンサーを集め、運営資金を調達し、運営を支えるボランティアを集めていた。それらの支出を捻出するが、チケット収入も主管団体に入る。

今のWTT(ワールド・テーブルテニス)はITTF傘下のグループでスポンサー、放映権などの権利、収入の窓口となり、運営資金、スタッフ集め、大会賞金などのお金の支出と人材の登用もすべてWTTがまかなっている。WTTは拠点とするシンガポールから30人を超えるスタッフを日本に送り込んだ。日本卓球協会は今回の日本開催では1円も出していないと聞いた。

実は昨年から大会の日本開催を模索していたWTTだったが、会場の問題、日本卓球協会との協力関係などの交渉も続けていたと聞く。しかし、最終的には協会はほとんど大会運営には関与せず、WTTがほとんど自前で運営をやりきった。参加選手数の少ない大会とは言え、メディア対応ひとつとっても、試合の演出やMCなど、相当ハイレベルなプロ集団という印象を持った。

まだいろいろな問題を内包しているとは言え、この大会を「体感」した観客や関係者は、新しい卓球のエンターテイメントだと称賛している。

 

WTT名古屋では「和のテイスト」ということで侍が登場。日本人が見るとクスッと笑ってしまうが、WTTは世界中に配信されているので、このローカルな雰囲気が必要なのだろう

 

ただし、この大会の持続可能性はまだ明確には見えてこない。

今回のWTTファイナルズの運営は3~3.2億円規模の予算だったと言われている。毎年のようにやる前提でこの運営費は一協会ではとても負担できない。見れば、大会のスポンサーはほとんどが中国系の企業だ。つまり、WTT全体のイベントが包括的に中国資本に支えられていることを示している。 

来日していたWTTのチーフイベントオフィサーのステフェン・ドゥキット氏は「将来的には日本で4、5大会を開催したい。この大会の持続性は経済的なバックボーンによって成り立つだろう。今後は日本卓球協会との協力関係が必要」と説明する。

彼が語る日本での開催を希望するWTTイベントとは、チャンピオンズ、ファイナルズのようなイベントを年に1回、それにスターコンテンダー、コンテンダー、フィーダー、ユースコンテンダーなどのやや小規模の大会を3、4大会を意味している。

日本でやる場合の協会の費用負担はあるのか、人的な負担はあるのか、会場をどのように押さえていくのか。それとも全くWTTがすべてを取り仕切るようになるのか。今後の話し合いが待たれるところだ。

今回、WTTの女子イベントを開催したが、男子の国際イベントは4年間開催していない。以前のジャパンオープンのような大会は「WTTスターコンテンダー」に該当するが、諸問題を解決して、WTTイベントを見たいと期待する日本の卓球ファンは多いはずだ。

WTTが機能していけばジャパンオープンが復活することはない。ならばどのように日本(日本卓球協会)が世界の中でのプレゼンス(存在意義)を高めるのか。

いかにWTTとしっかり向き合い、交渉していくのか。日本卓球協会の手腕に期待したい。

華やかな選手の入場シーン

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