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今野の眼

最後の7種目開催の「全日本」になるのか。1年後の分離開催に今から戸惑う選手と関係者

22日の月曜日から日本卓球界における最高峰の大会「全日本卓球選手権大会」が東京千駄ヶ谷の東京体育館でスタートする。

男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルス、男女ジュニアの計7種目が開催される。しかし、1年後にこの伝統ある大会が男女シングルス・男女ジュニアと、男女ダブルス・混合ダブルスに分離開催されることが昨年12月の日本卓球協会理事会で報告されている。

東京体育館で月曜日開催するにあたり、前日からの搬入への便宜を計ってもらっていたのだが現実的に困難になっている点や、主管団体のスタッフ不足と高齢化などが理由に挙げられていた。

1年後のこととは言え、この分離開催が「全日本卓球」を目指す選手や関係者の間で波紋を広げている。予定では2025年1月21~26日の6日間(東京)が男女シングルスとジュニアで、翌週の1月30日~2月2日の4日間(愛知県豊田市)が男女ダブルスと混合ダブルスが行われる。

通常、選手や関係者は大会の前日に入るので、シングルスとダブルスに出る選手はおよそ2週間近くを費やし、会社であれば有休などを取るのか、学校であれば公休をとるのだろうか。2週間近くを東京と愛知で宿泊するのだろうか。もし一旦帰るとすれば、地方の選手や関係者は2往復することになる。

聞くと、「ダブルスの予選は出ないと思う。もしくは両方予選を通ったらダブルスは棄権するかもしれない。費用がかかりすぎる」と答える人が多かった。会社員、学生、学校の先生などが2週間近く、休みを取れるのだろうか。

プロ選手であっても賞金のない全日本にそれだけのエネルギーとコストを掛けることができるのだろうか。

「ジュニアを分離するのか」「参加人数を絞るのか」などという議論があったとは聞いているが、この大会の設定はあまりに選手、関係者への負担を強いるやり方だ。

そもそもジュニアをシニア(一般)と一緒に「全日本」と称して、同時開催しているのは主要競技では卓球と陸上競技(U20を併設)だけで、ジュニアを同時に開催するほうが「異例」なのだ。それは海外の大会でも同じ。本来はジュニアを分離して、バラバラになっているホープス・カブ・バンビ、カデットと統一させた「全日本ユース選手権」を創設するべきで、これは国際基準にも合っている。

分離開催は2年間のトライアル(試し)と協会は発表しているが、ダブルス種目の開催が形骸化する前に、早く動き出して対策を考えるべきだろう。

(詳しくは卓球王国3月号/1月22日発売の「クローズアップ」に掲載)

 

 

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