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今野の眼

【卓球】世界ランク参考にせず。正解のない日本代表の選考方法

 

日本卓球協会は世界ランキング重視から
国内選考会重視に方針を転換

日本卓球協会は昨年、2024年パリ五輪の日本代表を2024年1月に決定すると発表した。
つまり、2021年の東京五輪で日本中を沸かせた卓球の五輪代表はあと1年半後に決まる。
新型コロナの影響もあり、パリ五輪の日本代表の選考基準は過去に例のない、独自の選考方式になっている。
1988年ソウル五輪で初めて卓球競技が五輪競技となって以降、日本代表はITTF(国際卓球連盟)が定期的に発表する「世界ランキング」で決められてきた。3人目の代表が「団体戦要員」になったのは2012年ロンドン五輪以降で、利き腕やダブルスのペアリングを考慮して、強化本部が推薦する形で決定されてきたが、結果的には世界ランキングの日本人3番手が選ばれてきた。

新型コロナのパンデミック以降、日本卓球協会強化本部は「国際大会の中止とともに世界ランキングが機能していない」という理由で、6回の国内選考会(すでに1大会は終了)とTリーグの勝利ポイント、Tリーグ個人戦、アジア競技大会、アジア選手権、世界選手権、全日本選手権の成績を選考ポイントとして代表を決めることを発表。さらに6月4日には、「中国のトップ3選手に勝利」した時には選考ポイントが加算されることが新たに決まった。
日本卓球協会は、低迷していた1990年代から「国際競争力」を重視した選手選考を繰り返してきた。それは日本選手が「国内で強い選手」と「国際大会で強い選手」に分かれていたからだ。卓球は用具などによって様々なプレースタイルがあった。守備型のカット型や、相手の強打を変化球で返す「粒高守備型」、シェークハンドの「ドライブ型」や、シェークのフォア面とバック面でラバーが違う「異質攻撃型」、表ソフトを使う「ペンホルダー速攻型」などだ。
特に日本は多彩な戦型の選手が多かったために、「国内では勝てなくても世界で勝てる選手」が存在していた。ところが、2000年以降、シェークドライブ型が主流となり、日本からも水谷隼、岸川聖也、丹羽孝希、石川佳純などのように世界でも日本でも勝てる選手が五輪代表として活躍してきた。

ITTFは1990年代後半から世界ランキングを積極的に活用してきた。試行錯誤を繰り返しながらその精度を高め、そのランキングによって世界選手権のシードが決まり、五輪の出場資格が与えられてきた。2000年以降、日本は「世界でもっとも国際大会に選手を送り込む協会」となり、積極的に国際大会に選手を派遣し、世界ランキングを上げることを強化のひとつの戦略の柱としてきた経緯がある。

しかし、2020年春以降に国際大会がほぼ中止となり、時を同じくして、WTT(ワールド・テーブルテニス)という新しい運営組織が「ITTFグループ」として登場し、テニスを模したツアーシステムを導入したが、準備不足は否めず、コロナ禍というタイミングの悪さもあり、2020年春から21年末まで開催された国際大会はごくわずか。
2021年の東京五輪の時期ですらその状況だったので、日本卓球協会は五輪後に世界ランキング重視ではなく、国内選考会重視に切り替えた。

ところが、今年に入ってから徐々にではあるが、WTTの大会は増え、毎週世界ランキングが発表されている(以前は1カ月に一度の発表だった)。
現在、日本のトップ選手は複雑な思いを抱えている。WTTの大会に参加して、以前のように世界ランキングを上げたいという気持ちと、国内選考会で良い成績を残そうという思いだ。日本選手の卓球が世界標準に近づいたとは言え、国内選考会と国際大会での試合は似て非なるもの。選考会に合わせた調整や準備が必要になるからだ。

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