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今野の眼

参加? 不参加? 混合団体ワールドカップの参加許可を日本は待っている 

なんとも奇妙なことになっている。

今日(11月9日)の午前中に日本卓球協会(JTTA)は「混合団体ワールドカップについて」というプレスリリースを流した。

この中で12月4日から10日まで、中国の成都市で開催される予定の「ITTF混合団体ワールドカップ」という大会に対するJTTAの動きを説明している(下記)。

JTTAの発表によると、この大会のエントリー締切後に国際卓球連盟(ITTF)が後付けで世界ランキングを付与することを承認。この決定に対し、JTTAはITTF側の手続き上の不備を主張。その結果、大会参加の前提条件が変更されたことによる大会参加への意思確認が、改めてITTFからJTTAに通知され、日本は11月3日にITTFへ大会参加の意思表示をしたという。

11月6日には参加の可否について回答の通知をもらうことになっていたが、11月9日午前9時現在、ITTF側から回答がなく、JTTAは「参加許可」を待っている状態であるとのこと。

そもそもJTTAはITTF混合団体ワールドカップにエントリーしないことも、中国から「中国選手のTリーグからの引き揚げ」のこともメディアに流していなかったが、メディアが先行して報道したために、今日になって情報を出してきた。

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混合団体ワールドカップに関する日本卓球協会の動き

10 月 9 日(月) ITTF サイトに 2023MTWC (混合団体ワールドカップ)実施方式と日程・期間が発表

10 月 17 日(火) ITTF から 16 チームの協会へ招待状がメールで発信

10 月 25 日(水) 参加申込デッドライン(締切り日)、選手名も同日オンライン受付

10 月 29 日(木) ITTF が WR(世界ランキング)付与を決定した情報を入手

10 月 30 日(月) JTTA から ITTF へ締切り後のエントリーについて打診

11 月 2 日(木) ITTF から JTTA へ条件変更後の出場意思確認メール(翌 3 日迄)

11 月 3 日(金) JTTA から ITTF へ出場意思ありと回答(選手名は不要)

11 月 6 日(月) ITTF 執行部が回答するとした期日

11 月 9 日(木) ITTF から JTTA へ参加への許可連絡なし

(日本卓球協会が11月9日に発表した資料より)

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そもそもことの発端は、8月25日にITTF(国際卓球連盟)が「今年12月に混合団体というフォーマットでのワールドカップを中国の成都で開催する」と唐突に発表。成都で5年連続開催する調印式も行ったことだ。

誰もがこのいきなり登場した大会が、本当に開催されるのか疑心暗鬼だった。しかし、10月9日にITTFはウェブ上で競技方式と日程を発表。さらに17日に参加リストの16協会に招待状を出している。

日本卓球協会としては懐疑的とは言え、8月下旬に大会を認識し、10月9日には競技方法や日程を知っていたことになる。しかし、10月17日の招待状が来てからトップ選手へ打診したが、参加に応じる選手が少なかった。「男女3名ずつの選手が必要なのに、女子2名だけが参加に応じてくれたが、打診した十数名の選手が参加に応じなかった」(宮崎専務理事)。

選手たちは10日間という拘束期間の長さと、世界ランキングと関係ない試合、そして変則的、試験的な試合方式であったために回避したと想像できる。

 

混合ダブルスの世界ランキング2位の張本智和と早田ひなのダブルスはITTF混合団体ワールドカップで見れるのだろうか

 

唐突だったITTF混合団体ワールドカップ。
なぜもっと準備期間を設けなかったのだろう

10月25日にITTFに不参加の意志を伝えたところ、主管協会の中国卓球協会がメンツを潰されたと思ったのか、「日本のTリーグに参戦している中国選手(14名の登録)を引き揚げさせる」ことになった。26日に中国選手は帰国している。14名中13名の中国選手は、中国卓球協会の承認を得て、Tリーグに登録している。

つまり、日本の同大会不参加が、JTTA対ITTFではなく、日本対中国の問題にすり替わったのだ。これは日本としても想定外の出来事だった。

日本以外にもこの大会に不参加の協会があったために、ITTFは混合団体ワールドカップに世界ランキングを付与することをITTF理事会で容認したと急きょ発表した。日本と中国の関係をとりもつためか、どちらかからの要望があったためか、ITTFは今までの「世界ランキングのポイントは団体戦には与えない」というルールをあっさりと覆している。

JTTAの資料では、10月29日には世界ランキングが同大会に付与される情報を入手し、エントリーは締め切られていたが、出場意思があることを伝えている。

日本側としては中国との関係が悪化し、重大な事態に発展する前に、不参加を取り消し、エントリーしたかったのではないか。ITTFと中国卓球協会も16協会がすべてエントリーして、大会の体裁を整え、中国での記念すべき第一回大会を成功に導きたかったのではないか。

ITTF、中国卓球協会、JTTAの行動や考え方には不可解な面がある。

そもそも、唐突に出てきた混合団体ワールドカップを、ITTFはどういう主旨でやろうとしたのか。しっかり準備して、大会要項の告知からエントリーまでをもっと余裕を持ってできなかったのか。

中国卓球協会はITTF対JTTAの案件を、中国対日本の問題にすり替える必要があったのか。

JTTAはエントリー期間が短いとは言え、ITTFからこの大会の情報をもっと早く入手できなかったのか。8月下旬の発表、10月9日の情報によってある程度の選手選考、打診の準備を進めるべきではなかったのか。

ITTFや中国と、JTTAのコミュニケーションはどうなっていたのか。

ITTFは「付け焼刃」なやり方として、混合団体ワールドカップという団体戦に世界ランキングを付与することで急場をしのごうと思ったのだろう。しかし、おそらくそのためにすでにエントリーしていた協会とも再交渉する必要があるのではないか。

日本のエントリーが認められることを期待したいが、後付での変更が今後の世界の卓球界にどのような影響を及ぼすのだろうか。パリ五輪まで8ヶ月あまり、翻弄されるのは協会であり、選手たちなのだ。

<写真 WTT>