卓球王国 2024年12月20日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
世界卓球2022

やったぜ、日本男子!! 前回大会の雪辱を果たし、銅メダル以上が確定。明日の準決勝で中国とスウェーデンの勝者に挑む

さかのぼること4年。前回の世界選手権団体戦・ハルムスタッド大会の準々決勝で韓国に敗れ、メダルが途切れた日本男子。あの時の悔しさをコートで噛み締めたのは、今大会のメンバーでは張本智和ひとりだけだが、日本の復権と意地をかけてチーム一丸となってポルトガルとの準々決勝を迎えた。

 

日本、ポルトガルとも不動のオーダーを組んで正面からぶつかり合い、日本は戸上が1点、張本が2点を叩き出し、明日の準決勝に進んだ。チームの勝利を決めた張本は、チームメイトと監督と熱い抱擁をかわし、最高の笑顔を見せた。

 

●男子決勝トーナメント準々決勝
〈日本 3-1 ポルトガル〉
◯戸上   -8、6、4、7 フレイタス
◯張本   8、5、6   ジェラルド
及川 -6、5、9、-9、-8 モンテイロ◯

◯張本 -7、7、4、3 フレイタス

 

トップは今大会で対戦チームのエースをことごとく打ち砕いてきた戸上。この試合でもリオ五輪ベスト8の実績を持つフレイタスに対して、スタートから打球点の早い両ハンドドライブを打っていく。フレイタスはYGサービスと縦回転系の短いサービスを使って戸上のチキータ封じを行う。ゲーム中盤からフレイタスの回転量の多いドライブが入り出し、戸上は得点の奪い方が定まらず8-11で落とす。

2ゲーム目になると戸上はフレイタスのサービスをチキータできるようになり、ラリー戦でも負けなくなる。この試合に限ったことではないが、今大会の戸上は対応能力と順応能力が高い。このゲームを奪うと以降は戸上の独壇場。戸上の速い動きから放つ超高速両ハンドドライブにフレイタスは手も足も出なくなってしまった。

 

打球点、スイングとも他の選手にはないものを持っている戸上が先取点

 

2番の張本は、昨日のスロバキア戦でヨルジッチを倒しているジェラルドに対して、台上はチキータで、台から少しでもボールが出たら強烈なドライブを打ち、圧倒する。張本が攻め続ける一方的な展開が続き、ジェラルドは何もできなかった。日本が準決勝進出に王手をかける。

張本はジェラルドをたたみ掛ける

 

3番の及川とモンテイロの試合は、お互いが力を出し合う打撃戦になった。及川は1ゲーム目こそモンテイロの投げ上げサービスをうまくレシーブできずに落としたが、2ゲーム目からはチキータでレシーブしてミドルを攻めるなど戦術展開も当たって、ゲームカウントを2-1とリードする。このまま押し切るかと思われたが、モンテイロは諦めない。及川のミドル攻撃をブロックで返球してラリー戦に持ち込むなど必死のプレーで逆転。最終ゲームは及川の猛攻をうけて8-10まで迫られたが、後陣からしのいだフィッシュがエッジで入り、ゲームセット。ポルトガルが1点を返した。

ベテランのモンテイロが意地を見せた

 

4番は張本対フレイタス。過去の対戦成績では張本が有利だが、世界選手権の団体戦では何が起きるかわからない。1ゲーム目、張本が攻めて5-3とリードする。フレイタスが次に出したフォアサイドを切るサービスを張本は横入れレシーブで狙ったがミス。張本は次のフレイタスのバックへのロングサービスもミスをすると、流れが傾く。5-10でフレイタスがゲームポイントを取り、最後は7-11でフレイタスが先取する。

 

嫌なムードを断ち切ったのは、張本の強気の攻めだ。フレイタスのサービスをチキータで狙えるようになると、ライジングの超絶両ハンドが炸裂する。2ゲーム目からは張本が攻め続ける展開が続き、めったに試合を諦めることがないフレイタスの目から覇気が消えていった。

自らの勝利で準々決勝の壁を破り、銅メダル以上を決めた張本は、4年前の悔しさを果たし、両手を天高く上げた。

張本が決める。さあ、明日は中国だ

 

以下は試合後の田勢監督の言葉。

「1番は今の戸上の出来なら、レシーブさえできればと思っていた。サービスからの得点は大丈夫だと思っていたので、レシーブがポイントでした。1ゲーム目終わって、レシーブミスはYGに対する1本だけだったので、「そんなに大事にいかなくていいよ」と。ツッツキでもチキータでも好きにしていいよと言ったら、チキータからどんどん攻めていけた。打ち合いではこちらのほうが有利でしたから。良い試合をしてくれましたね。

張本は初めて対戦する相手だったので、怖いところはあった。左が3人というのは少し嫌でしたけど、レシーブも悪くなかった。戸上が作った流れに乗って、良い仕事をしてくれました。

3番の及川も1ゲーム目は大事にいきすぎて、短いレシーブばかりだったので、2ゲーム目からは長くレシーブしてもいいよ、チキータしてもいいよと。2ー1の6ー6、8ー8でのサービスでしっかり取れていれば違ったと思いますけど、少し緊張してしまったところはある。でも悪い試合ではなかったので、4番の智和につながったと思います。

智和は世界卓球でのメダルを取ったことがないので、メダルが欲しいという気持ちが1ゲーム目は表に出過ぎて抑えきれない感じでしたけど、ベンチで一つひとつのプレーを丁寧にやること、1本1本やることを伝えた。彼の技術力なら問題ないだろうと思っていましたから。サービスで得点できていたから、うまくゲームを進めることができたと思います。

明日の準決勝は中国と対戦することになると思いますが、あとギアを2つ3つ上げていきたい。でも初出場が3人というメンバー構成で、これだけの試合をやってメダル獲得を決めてくれたことは、選手たちを褒めてあげたい。中国と対戦することになったら、それをネガティブにとらえず、挑戦していってほしい。サービス・レシーブでは無理はしなくていいけれど、常に前向きな気持を持って勝負してほしいと思います」

関連する記事