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33歳、ヴィンターが世界9位に。禁断の「アンチラバー」転向で驚きの躍進

20年のスタイルを破壊」33歳ヴィンターが起こした奇跡

2月のシンガポールスマッシュでは世界ランク4位の朱雨玲(マカオ)、同7位の王芸迪(中国)といった世界のトップランカーを次々と撃破。準決勝で王曼昱(同2位)に敗れたものの、大会後には自己最高位となる世界ランク11位にまで登り詰めた。そして、4月のワールドカップでも3位に入るなど、今、世界の女子でもっとも熱い選手のひとりだ。
最新の世界ランキングでは9位に急浮上し、いま最も熱い視線を浴びているのが33歳のベテラン、ザビーネ・ヴィンター(ドイツ)だ。卓球王国PLUSでは独占インタビューを行った。

長年、ドイツ代表の主力として活躍してきた彼女は、2024年11月、周囲を驚かせる決断を下した。代名詞であった「強力なフォアハンド」を支えるプレースタイルを捨て、バック面に特殊な「アンチラバー」を貼るという、30代の選手としては異例のモデルチェンジに踏み切ったのだ。

アンチラバーとは強烈な回転を生む裏ソフトラバーとは真逆の、摩擦係数を極端に落とした裏ソフトラバーのこと。

「以前ほど卓球を心から楽しめなくなっている自分がいた。何か新しい刺激が必要だった」

ヴィンターは当時をそう振り返る。20年も同じスタイルを続けることに限界を感じ、「このままでは代表として生き残れない。ダメなら引退すればいい」という悲壮な覚悟での挑戦だった。

4月のワールドカップでも3位に入ったヴィンター(ドイツ)。アンチラバーと、この強烈なフォアドライブのコンビネーションが相手を恐怖に陥れる

 

4番手の壁」とリオ五輪での悔しさ

ヴィンターの実力は折り紙付きだ。2010年以降、世界選手権には欠かさず出場してきた。しかし、ドイツ女子にはハン・インやシャン・シャオナといった帰化選手などの実力者が揃い、常に「トップ3」の壁に阻まれてきた。

2016年のリオ五輪でも、チームはメダルを獲得したが、ヴィンターの立場はリザーブ(交代選手)。コートの外から仲間の歓喜を見守るしかなかった。「当時の3人が私より優れていたのは事実」と冷静に受け止めつつも、会場の凄まじい熱狂を目の当たりにし、「次は自分の力でこの舞台に立ちたい」という野望が胸に刻まれた。

2028年ロス五輪が最後のチャンス」

一般的に30代は成長の限界を感じる時期とされるが、ヴィンターは「アジアの選手に比べて練習開始が遅かった分、20歳を過ぎてからの伸びしろがあった」と分析する。

アンチラバーへの転向から約15カ月。相手の回転を無効化する異質ラバーを操ることで、最大の武器であるフォアハンドをより効果的に活かせる新境地に達した。

「もし以前のスタイルのままだったら、これほどの上達は望めなかったはず。年齢に関係なく、新しい動きをマスターできる適性があると信じていました」

33歳にして自己最高位を更新し続けるベテランの視線は、すでに2028年のロサンゼルス五輪に向いている。かつて客席から見上げた夢の舞台へ。自らの手で掴み取った「新たな武器」と共に、ヴィンターの挑戦は終わらない。
(卓球王国PLUS独占インタビューより抜粋)

↓卓球王国PLUS独占インタビュー

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