〈グループ3・第2戦〉
日本 3−2 ルーマニア
○張本 5、7、9 E.イオネスク
○戸上 10、−7、9、−11、12 O.イオネスク
及川 −6、−5、ー9 スッチ○
張本 −8、−6、7、ー5 O.イオネスク○
○戸上 8、3、4 E.イオネスク
●−2戦目のルーマニアには苦戦でした。
田勢 ルーマニアはO.イオネスクの2点取りと、3番のスッチで勝負してきたと感じました。2番の戸上はO.イオネスクに対してよく踏ん張ったとも言えますが、2−1リードの4ゲーム目の10−6だったかな、そこから逆転されて彼の大きな課題、不安な部分が出てしまった。5ゲーム目も6−1くらいでリードしていて、追いつかれてしまい、流れが相手にいってしまっていたので非常に苦しい試合だった。しかし、この勝利は非常に大きな1点でした。
●−3番の及川はスッチに完敗でした。
田勢 あの試合は及川がひとりでミスしているような試合でした。彼は国際試合になると、自分から攻撃しなきゃいけないんだと考え、すごくリスクをおかすときがあります。国内ではしっかりラリーをして得点をしているのに。突然プレースタイルや戦い方を変えるのは難しい。スッチ戦はひとりで仕掛けて、ひとりでミスをしている試合でした。完全に自分の卓球を見失っているような内容だった。
●−4番の張本で試合を終えると思いきや、O.イオネスクに1−3で負けてしまいます。
田勢 O.イオネスクが開き直ってプレーしてきた。智和とラリーをせずにすぐに決めに来るプレーで、それが全部入ってきて智和も「あれ、あれ」という感じで試合が終わってしまった。
●−2−2になって、相手を考えれば勝つと思っていてもラストに行くのは嫌ですね。
田勢 やっぱり怖いですよ。何が起きるかわからない。経験者なら別ですけど、戸上が初出場で2戦目にしてラストに回って来ましたから心配でした。
●−緊張する場面で、彼は落ち着いていました。
田勢 イラン戦から出来が良かったし、落ち着いたプレーでしたね。非常に頼もしかった。
〈グループ3・第3戦〉
日本 3−1 香港
戸上 −11、−4、−6 黃鎮廷○
○張本 5、7、4 林兆恒
○及川 −5、7、−7、5、10 呉柏男
○張本 4、9、3 黃鎮廷
●−3戦目、香港戦です。どこがポイントでしたか?
田勢 3番です。3番は絶対勝ってほしかった。香港も3番は取りに来ていたと思うし、黃鎮廷(ウォン・チュンティン)が2点取る。もし黃鎮廷が2点取れなくても、ラストの戸上で勝負をかけると思っていたでしょう。
智和はルーマニア戦で負けたけど、この香港戦は別人になっていました。ルーマニア戦の4番で集中力に問題があったように見えたので、少しばかり怒りました。負けるにしても自分の卓球をしようと。19歳で日本のエースとして日の丸を背負うのは確かに大変なことではありますが、勝たなければいけないという気持ちを背負いこむことなく、「自分の卓球をしよう。自分の卓球をすれば絶対に勝てるから」という話をしました。彼が気持ちを引き締めて、本当に別人になってくれました。この香港戦で彼のエンジンがかかった。
●−トップは戸上が黃鎮廷に負けました。
田勢 戸上は黃鎮廷にアジア選手権のシングルスで勝っていたので、戸上が勝てば絶対的に有利だった。ただこの試合では黃鎮廷は台上が丁寧でうまかったし、うまく戸上のフォア前を攻められた。内容的に悪くなかったけど、細かな部分で戸上に少しミスが出てしまった。2番で智和はいつもどおりで集中できていたので、心配はなかった。
●−そして3番です。ほぼ負けている試合でした。
田勢 2−2の5ゲーム、1−7でリードされ、7−10で負けていたと思います。ぼくも香港の監督も考えは同じだと思う。2−1で4番に回したい。そういう中で及川のしつこさ、最後まで諦めない気持ちがあの試合には出ましたね。ビッグゲームになればなるほど、そういう気持ちが重要だし、そこが彼の長所の一つでもあります。
4番の智和に関しては細かく言う必要はなく、彼があのモードに入ってくれれば大丈夫だと思って見ていた。香港ベンチを見ても3番の負けでショックを受けているはわかった。その間に勝負をかけることができた。
●−この香港戦で1位通過が決まった?
田勢 予選通過は決まっていましたけど、最後の相手、ハンガリーも2勝1敗だったので、ハンガリーに負けると3勝1敗で3チームが並ぶ可能性もあったので、最後まで油断することはできなかった。
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