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[エナジーウッドV2 WRB]のことをヨーナスに聞く。……「ヨーナス」って誰よ!?

シンプルだけど美しいラケットです

誰が見ても「これはスティガだ」とわかる。

シンプルでエレガント(優雅)な

ラケットを作ることが重要

 
●ーー5枚合板として最初は[オールラウンドエボリューション]から[エナジーV2 WRB]に移行する感じなのかな?
ヨーナス そうだね。ドライブ主体の選手には向いているし、5枚合板で卓球を始めた選手が7枚合板ではなく、パワーアップした5枚合板を使うのであれば[エナジーV2 WRB]が適していると思うよ。
素材ラケットを使えば、誰でも知っているようにボールは直線的に飛んでいくけど、木材ラケットは上方向に飛んでくれるし、木材ラケットの良さというものを感じてほしいね。
 
●ーーそもそもスティガは1944年に卓球部門が創業し、数多くの世界チャンピオンをサポートしてきました。また現在、中国のトップ選手からは絶大な信頼を得ていますね。そのラケット作りの基本姿勢というのは何でしょうか?
ヨーナス スティガはすべての製品の個性を大切にしているんだ。もちろん、それぞれの価格帯での製品も同時に考えている。すべてのブランドは同じことをやっていると思うけど、スティガはその中で、「メイド・イン・スウェーデン」としての特徴を持っている。それはラケットを見てもらえばわかると思う。
 
●ーーなるほど。バタフライは「メイド・イン・ジャパン」だけど、スティガの「メイド・イン・スウェーデン」としてのこだわりとは何でしょう。
ヨーナス たとえば、前述したように新製品の[エナジーV2 WRB]を見ても、1色(ワンカラー)のグリップで、ブレードにも特別のプリントをしていない。それはスティガのスタイルであり、スカンジナビアのデザインの特徴なんだ。たとえば、中国製や日本製と比べてみればわかるよね。中国製や日本製はカラフルなグリップやブレード面にプリントが多くあるけど、スティガはそういう見せ方、デザインとは違う。
スティガラケットは誰が見ても「これはスティガだ」とわかる。シンプルでエレガント(優雅)なラケットを作ることが重要なんだ。
もちろんラケットの自社内のワーキンググループでは、将来に向けたラケットを常に考えている。でも、デザインの部分ではスティガらしさを追求している。
 
●ーーバタフライは自社工場を持っていて、VICTASやニッタクでも一部は日本製をうたっている。たしかにスティガのラケットは自社工場で作られ、独特の個性があるね。
ヨーナス ラケットを自社工場で作っているブランドは少ない。多くのブランドが中国の工場でOEMとして作っているのだから、どうしてもデザインや打球フィーリングというものは似てくるよね。
スティガは独自の歴史や独自のノウハウを持っている。他社ではカーボン系のラケットに強みを持っているところもあるけど、スティガはピュアウッド(純粋木材)での製造ノウハウを持っている。もちろん、我々のワーキンググループはカーボンなどの素材を使うラケット作りも進化させている。
 

ブレード面のプリントはほとんどなく、木の美しさだけが印象に残る


 
 

木材を接着する独自のテクノロジーに特徴。

そしてシンプルで洗練されたデザインと、

木の美しさをユーザーには見てほしい

 
●ーー木材ラケットが特徴だとしても、木材そのものは卓球ラケットに使われるのは限定されていてるけど、スティガの合板技術は定評があるよね。
ヨーナス スティガラケットには昔から世代を超えた評判というものが存在している。木材を生かしていく製造ノウハウと、木材を接着する独自のテクノロジーに特徴があるからこそ、おそらく他のブランドのラケットとは製造プロセスが全く違うものになるし、それがスティガのトップシークレットと言えるだろうね。
 
●ーースティガラケットは見事なまでにシンプルで、グリップの見せ方、プリントをしないブレード面がきれいだよね。20年以上前から、ブレード面にシルク印刷をしてユーザーの興味を引くラケットが多かったのに、スティガだけはそれをやらなかった。
ヨーナス 洗練されていて、シンプルなデザイン。それがスティガラケットなんだよ。ラケット表面にいろいろな情報をプリントしているのがトレンドかもしれないが、我々はそれをしない。情報はブレード上のプリントが与えるものではない。ラケットは選手に打ってもらい、初めてそこで評価を受ければいい。
卓球のラケットは情報の詰まった本じゃないんだ。シンプルで、選手たちには「木の美しさ」を見てほしい。
トレンドに乗って、カラフルでプリントの多いラケットは作らない。ラケット面のプリント情報は選手の打球感に影響を与えない。選手が感じるのは木の美しさや、打球した時に手が感じる感覚なんだ。スティガラケットの情報は、カタログやパッケージで十分ではないのかな。
素材の美しさを見せたいのは、スティガラケットのクラフトマン(職人)としての誇りと言えるだろう。
 
●ーースウェーデン人はオープンマインドでありながら、一方で質実で頑固な人柄という印象もある。まさにスティガラケットは、スウェーデン人の人柄のようなラケットだね。今日はありがとう。
ヨーナス 早くコロナが収束し、また日本に行けるのを楽しみにしているよ。