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世界選手権ロッテルダム大会(個人戦)

昨日、速報担当がもったいぶった書き方をした張怡寧。コートの後ろにあるVIPシートで後輩たちを見守っている。一昨日は私服で、あまり真剣に試合を観る様子でもなかったが、昨日は中国チームのウルトラマンみたいな新しいジャージを着て、選手団の中に入って試合を見つめていた。高橋発行人いわく、「中国の人たちでも遠慮して、遠巻きに見てる。やっぱりすごい人なんだネ」。将来はやはり国家女子チームの指導陣に加わるのか?
★5月14日のタイムテーブル
●男子ダブルス準決勝
10:00 馬龍/許シン(中国) vs 鄭栄植/金ミン鉐(韓国)
11:30 王皓/張継科(中国) vs 陳杞/馬琳(中国)
●男子ダブルス決勝
18:00

●女子ダブルス準決勝
10:45 郭躍/李暁霞(中国) vs 金キョン娥/朴美英(韓国)
12:15 丁寧/郭炎(中国) vs 姜華君/帖雅娜(香港)

●男子シングルス準々決勝
13:00 水谷 vs 王皓(中国)
13:45 馬琳(中国) vs 馬龍(中国)
14:30 張継科(中国) vs 王励勤(中国)
15:15 ボル(ドイツ) vs 陳杞(中国)

●女子シングルス決勝
17:00 李暁霞(中国) vs 丁寧(中国)

いよいよ大会も大詰め、第7日目を迎えました。ただいま現地時間の午前8時10分です。皆様、週末の土曜日いかがお過ごしでしょうか。

今日の最大の目玉は、何と言っても男子シングルス準々決勝の水谷隼vs王皓。日本時間の20時にスタートします。水谷vs王皓といえば、水谷が金星を挙げた05年アジア選手権をご記憶の(マニアな)方もいらっしゃるでしょう。ここ4年間の対戦成績は水谷の1勝2敗。09年東アジア競技大会で、団体予選リーグで水谷がストレート負け、団体決勝でストレート勝ち。そして直近は昨年11月のアジア競技大会シングルス準決勝。第1ゲームのリードを逆転され、ストレートで敗れている。

「(王皓戦は)最初に引き離すしかない。スタートダッシュしかない。サービス、レシーブがポイントになりますね。サービスで点を取るか、3球目で取りに行くし、レシーブの時には1本でも多く粘る。そういう自分らしいプレーをしたい。王皓も絶好調ではないし、普通か、普通より下。自分は思いきって攻めていきたい」(12日のマテネ戦後の水谷のコメント)。日本選手団の最後のひとり、全日本5連覇のチャンピオンが檜舞台に上がります!
●女子シングルス準決勝
李暁霞(中国) 5、6、7、8 郭躍(中国)
丁寧(中国) -11、9、-8、6、8、6 劉詩ウェン(中国)

明日の女子シングルス決勝、対戦カードは李暁霞vs丁寧!
まず先に行われた李暁霞vs郭躍、郭躍にほとんどチャンスらしいチャンスはなかった。ともに遼寧省鞍山市新華街小学校の出身。所属は遼寧省と山東省に分かれたものの、ダブルスではパートナーを組み、世界選手権を始め数多のタイトルを獲得してきた。同じ1988年生まれの宿命のライバル同士の対決だった。

かつては対戦成績でも、世界に先にデビューした郭躍がリードしていたが、近年はその位置関係が逆転。昨年11月のアジア競技大会でも、0-3からの逆転とはいえ李暁霞が勝利を収めていた。そして今日の一戦で、両者の力関係はより明確となった。李暁霞の卓球に華はないが、回転量が豊富な両ハンドドライブには、見えない厚い壁がジワジワと迫ってくるような迫力がある。郭躍のフォア強打もほとんどが跳ね返され、ラリー戦で打ち負けた。

丁寧vs劉詩ウェンも、同世代のライバル対決。ベンチには誰も入らなかったが、すぐ後ろのVIPシートには劉詩ウェンが所属する広東省チーム総監督の喬紅(89年世界選手権優勝)、国家チームの担当コーチである孔令輝(95年世界選手権優勝)。片や丁寧サイドには、北京市チームの先輩である張怡寧(08年北京五輪優勝)などが座っていた。その間には仕切りのように、中国卓球協会の徐寅生名誉会長が陣取る。同じ中国チーム同士の対決なのに、喬紅は劉詩ウェンに大きな声援を送り、見ているほうがヒヤヒヤ。ちょっと面白い光景だった。

丁寧は膝を傷めているせいか、しゃがみ込みサービスを今大会ではほとんど使わず。それでも決勝まで勝ち上がったのだから、「下蹲式発球(しゃがみ込みサービス)」は彼女にとって、決定的な武器ではなかったということだ。劉詩ウェンとは、世界選手権史上でもトップクラスのハイレベルな打撃戦を展開したが、最後にものを言ったのはやはり身体能力か。

準決勝で敗れた郭躍も劉詩ウェンも、ピッチの早さなら他の選手に引けはとらない。しかし、勝利した李暁霞と丁寧は、ピッチの早さに身体能力を活かした回転量が加わっている。連射のスピードは同じだが、口径の大きさが違う。撃ち合っていたら、どちらが先に倒れるかは明白だ。郭躍に全盛期のスピードと切れ味はなかったが、劉詩ウェンは今大会好調だった。それでも丁寧にはあと一歩及ばなかった。
女子決勝は、「男性化」を標榜する中国女子卓球の、象徴のような一戦になるだろう。
●男子シングルス4回戦
張継科(中国) 9、1、11、12 朱世赫(韓国)
王励勤(中国) 7、-7、8、10、6 許シン(中国)
ボル(ドイツ) 7、6、-11、-13、0、8 オフチャロフ(ドイツ)
陳杞(中国) -6、6、6、-12、6、-6、9 サムソノフ(ベラルーシ)

★準々決勝の対戦カード
王皓(中国) vs. 水谷隼(日本)
馬龍(中国) vs. 馬琳(中国)
張継科(中国) vs. 王励勤(中国)
陳杞(中国) vs. ボル(ドイツ)

男子シングルス4回戦が終了し、ベスト8が出揃った。
王励勤と許シンの上海市チームの先輩・後輩対決は、許シンのコースを完璧に読み切った王励勤に軍配。華のある中陣からのドライブプレーを存分に披露してほしかった許シンだが、王励勤に振り回されて中陣に下げられ、ラリーで終始劣勢に立たされた。持ち前の球際のしぶとさも見られず、先輩に道を譲る形になった。

そして惜しかったのはサムソノフ。第6ゲームの0-0で、ロビングからカウンターのバックハンドで打ち抜くスーパープレーを見せ、サムソノフが4-0とリードした場面では陳杞がラケットをスペアラケットに交換(ラバーがはがれてきたため)。その後の陳杞は、明らかにフォアドライブが走っていなかった。最終ゲームも一進一退の攻防になったが、最後まで攻めた陳杞がわずかの差で勝利。陳杞10-9の場面でも、陳杞が3球目フォアドライブをねじ込み、サムソノフが返球できず。アジアとヨーロッパの意地がぶつかり、場内の視線を一身に集める一戦だった。下写真中央は陳杞に声援を送る劉国梁監督
 国際卓球連盟のシャララ会長との単独会見で、同会長はロンドン五輪後にセルロイドボールが消えることを語った。現在世界各国でセルロイドの製品を作る過程で、人体への有害性を指摘され、セルロイド製品の製造禁止が実施されている。世界最大のボール生産国である中国でも政府が禁止をするといわれている。ロンドン五輪後、早い時期にPVC(ポリ塩化ビニール)というプラスティック系の材料でボールが作られることになる。プラスティック製はボールの継ぎ目のないものとなる。100年以上続いたセルロイドによる卓球のボールの歴史が変わることになるだろう。
 昨日、中国の馮亜蘭/木子に4-0で勝っていた韓国ペアがラケットコントロールで失格になっていた。ラバーの厚さが規定を超えていたために失格になった。ルールではラバーの厚さは4.0mm以内となっているが、許容範囲を超えるほどの厚さだったために失格となった。今大会はシングルスでも失格となっている選手がいる。卓球メーカーからのラバーは最近ではほとんど4.0mm以内なので、オイル系の補助剤を塗っていたものと思われる。
 韓国選手は以前から「補助剤使用」の疑惑がもたれているが、よりによって中国の一角を倒した試合直後に発覚、というのは残念な出来事だった。
●女子ダブルス準々決勝
姜華君/帖雅娜(香港) 11、11、-8、8、7 藤井/若宮

藤井/若宮は国際大会で何度も対戦し、アジア競技大会では勝利している姜華君/帖雅娜に敗れた。香港ペアは競った場面やリードされた場面でも、台上から積極的に攻めてきたが、藤井/若宮は第1ゲーム10-8のゲームポイント、第2ゲーム6-1とリードした場面で、ややプレーに積極性を欠いた。若宮はバックハンドとフォアの前陣カウンターが決まっていたが、藤井は動きが硬くなり、ドライブのオーバーミスが目立った。最後も藤井のドライブがラケットを弾いて大きくオーバーし、ゲームセット。日本、2枚目のメダル獲得はならなかった。

★試合後の藤井のコメント
「自分の中で負けたことを受け入れられない部分があるけど、どれだけ競った場面で思い切って打てるかが課題。やってきたことは間違いじゃない。この経験を受け止めて、必ず次にいかせるようにしたい。最後の競った場面での思い切りの良さが足りなかった。緊張感は自分はあまり大きくなかったけど、相手の気迫がひしひしと伝わってきて、それに圧倒された。守りではないけど、1点1点得点したいから安全に行ってしまったのが、逆転された理由」
★試合後の若宮のコメント
「あんまり負けたことを実感できない。(内容を)あんまり覚えていない。自分たちが少し単調になりすぎて、大事な場面で相手がやりやすかったかもしれない。1、2ゲーム目、取れたゲームを落としたというのがずっと頭に残ってしまった」

●女子ダブルス準々決勝・その他の試合
郭躍/李暁霞(中国) -7、-5、8、6、-8、6、7 馮亜蘭/木子(中国)
金キョン娥/朴美英(韓国) 8、9、9、7 キム・ヘソン/キム・ジョン(北朝鮮)
丁寧/郭炎(中国) 2、10、9、10 リ・ジャウェイ/スン・ベイベイ(シンガポール)

昨日、女子ダブルス3回戦で李恩姫/朴英淑(韓国)にストレート負けを喫しながら、その韓国ペアがラケットコントロールで失格(ラバーの厚さがオーバー)となり、準々決勝に勝ち上がった馮亜蘭/木子が健闘。豪快なフォアドライブで郭躍/李暁霞を追い詰めたが、あと一歩及ばなかった。
混合ダブルス表彰式で、木村興治・ITTF副会長からメダルを受けた岸川/福原ペア。
おめでとう!!
●混合ダブルス決勝
張超/曹臻(中国) 7、7、9、-9、8 ハオ帥/木子(中国)

張超/曹臻が同士討ちを4-1で制した。張超はこれが世界選手権で初のタイトル、曹臻は李平と組んだ前回大会に続き、2大会連続の優勝を果たした。張超の回転量の多いドライブを木子が抑えきれず、闘争心でも張超/曹臻ペアが上回った。
●女子シングルス準々決勝
丁寧(中国) 3、5、6、4 馮天薇(シンガポール)
劉詩ウェン(中国) 3、10、5、10 郭炎(中国)

現時点での中国の最大のライバル、馮天薇と丁寧の一戦は好勝負が期待されたが、完全なワンサイド。馮天薇はほとんどリードを奪うことができなかった。打球点の厳しさ、ボールの深さと回転量、明らかに丁寧はモスクワ大会の時よりスケールアップしている。馮天薇は丁寧のバック連打に機先を制され、回り込んで決定打を打つことができなかった。

劉詩ウェンは横浜大会に続いて郭炎に勝利。大会前に髪の色を変えてちょっとイメージチェンジした劉詩ウェンは、両ハンドのマシンガンを間断なく撃ち込み、先輩を倒した。世界ランキング2位の郭炎は今大会こそ悲願の優勝なるかと思われたが、元気なく敗れてベスト8。しかし、このラウンドまで勝ち上がったことで、ロンドン五輪への推薦出場枠の獲得はかなり濃厚になっている。