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 日本リーグとプロリーグ設立検討準備室の両者の意見と説明を聞くと確かに平行線のようにも思うが、これはまさにプロリーグの産みの苦しみだろう。
 日本リーグ側はまず「プロリーグができたとしても日本リーグが共存できる絵(構想)を示してもらいたい」と思っている。ところが、準備室のほうは、「まずプロリーグが必要、進めるという前提のもと絵を描いてスタートさせたい。日本リーグが最初の段階で賛成でなくても途中からその絵の中に組み込むことができるはずだ」と思っている。この両者の考えの溝はなかなか埋まらない。
 もちろん関係者の中には、「なぜプロリーグが必要なのか。今でも卓球界は盛んだし、世界で強いではないか」という声もある。そこで松下氏に「プロリーグ設立の大義」を語ってもらう。

——松下室長はなぜそこまでプロリーグ設立にこだわるのですか?
「プロリーグを作る大義があるからです。日本にはプロリーグが絶対必要です。世界の強国で自国にプロリーグがないのは日本だけです。選手が卓球に専念して生活できる環境を作ることが競技力向上にもつながります。またプロリーグは卓球を愛する子どもたちに夢を与えるものだし、それは同時に卓球というスポーツのステイタスを上げていきます。
 日本のトップ選手を国内で観れるのもごくわずかです。大量の選手が海外でプレーしている現状もあります。なぜプロリーグが必要なのかという大義があるから、私は全くぶれていません。胸を張ってプロリーグ設立を推し進めていきます」

 確かに協会が「世界チャンピオンを目指す。打倒中国だ」とお題目のように発する言葉と、「プロリーグが設立できない日本の卓球界で選手はどのようにプロとして稼げばいいのだろう」という現実とのジレンマ。
 また今でも子どもたちは「将来、愛ちゃんのようになりたい、佳純ちゃんのようになりたい、水谷さんのようにチャンピオンになりたい」という夢を抱いていても、プロとして活躍したいとは思わないだろう。プロリーグの場がないのだから。(続く/今野)
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