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 12月11日の各紙新聞メディアの「Tリーグ」の扱いはさほど大きくなかった。12月3日の日本経済新聞と朝日新聞のほうがよほど大きく扱っていた。
 一般メディアは明らかにトーンダウンしている。その理由はなぜなのか。

 新聞メディアは、「Jリーグ(サッカー)、Bリーグ(バスケットボール)に続いて、新しいプロリーグの誕生か」と期待を寄せたのだが、日本卓球協会の星野一朗専務理事は「プロとアマの混成リーグ。企業チームや学生チームにも参加してもらう」と会見で答えている。この時点で、メディアの腰が引けてしまった。
 次に、日本実業団リーグとの話し合いがこれからも必要で、Tリーグとして一緒にやるのか、やらないのかが明確にされなかった。これがメディアからすれば「協会は一枚岩になっていない」という印象を持ってしまったのだろう。確かに会見での星野専務理事と松下浩二・準備室室長の表情は冴えないものだった。

 しかし、時期は遅くなりすぎたが、このTリーグ構想には一定の評価を与えたい。
 もともと、ブンデスリーガ、フランスリーグ、スウェーデンリーグ、超級リーグで、「プロリーグ」とうたっているリーグなど海外にはないのだ。また、大げさにうたう必要もない。トップリーグでやっている選手は実際には卓球のプロだし、経営するクラブもプロフェッショナルにやっている。ことさら「俺たちはプロだぜ」と言う必要も彼らにはないのだ。

 ヨーロッパのクラブは地域密着型で、地域の卓球クラブがスポンサーを集めたり、イベントを開催したり、グッズを発売して、収入を確保しながら運営している。その収入を増やし、選手に報酬を払いながら、トップリーグを目指している。当然、自治体からの補助金も入ってくる。
 つまり、トップリーグで活動するという意味は、選手に報酬を払えるだけの「プロクラブ」でなければいけない。あえて、リーグ全体でアマチュアとプロと線引きをする必要はヨーロッパにはない。

 当初の「プロリーグ検討」という枠を取り払ったことで、企業チームや学生チームが入りやすい組織にしたことは、長い眼で見れば地域密着のクラブの誕生を促進するためには「正解」だった。いずれにしても低いハードルを越えてきたチームがトップリーグを目指すためには1億円以上の予算が必要。そのためには自然にプロ的な運営をするようになっていく。

 プロとアマで線引きしようとするのはメディアの見識不足だ。もっとヨーロッパのクラブスポーツを見るべきである。また、プロの名前をはずしたことで企業チームは入りやすくなったが、これは日本実業団リーグへの最大の配慮なのだろう。しかし、日本実業団リーグが入らなくても、Tリーグは確実にスタートすることも事実だ。 (今野)