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 卓球王国WEBの用具ランキングの裏ソフト部門で16カ月連続1位だった『ファスタークG-1』(ニッタク)。8月集計の同ランキングで、その「王者」を退け、『ロゼナ』が1位を奪った。
 王国WEBで用具ランキングをアップすると間髪入れずに、タマスはその「喜ばしい結果」を自社のSNSでツイートした。この用具ランキングは一部の卓球メーカーや卓球ショップから相当注目されている。

 卓球王国WEBの用具ランキングは、すべての卓球ショップからの情報ではないにしても、全国の有数のショップが提供する売上げランキングに基づいたデータなので、日本全体の売上げ実数の順番とはさほど差がないと見ている。
 協力をいただいている卓球ショップもあまりメーカー色のないお店である。「あのメーカーのこの商品が入るのはおかしい。きっとメーカーの営業マンがショップの人に言って操作しているのでは」とうがった見方をする営業マンもいると聞くと、明らかに間違いだ。
 協力をいただいているお店のほとんどは、メーカーから何か要望されたとしても動くようなお店ではない。かりに1店がそういう操作をしたとしてものべ10店舗以上あるお店のランキングに影響は与えない。複数のお店のランキングを操作すること自体不可能なことだ。営業マンがそう考える時点で、そのメーカーはもう終わっている。

 最新の8月ランキングの裏ソフト部門の1位『ロゼナ』と『G-1』は僅差だった。来月にひっくり返る可能性も当然ある。
 5月に発刊した「別冊卓球グッズ」の中で、『ロゼナ』を特集した際、インタビューの中でタマスの大澤卓子社長は「『ロゼナ』は『テナジー』への橋渡しのラバーです。カニバリゼーション(自社製品が、他の自社製品を浸食してしまうこと)が起こる心配はしていません」と答えている。
 しかし、それは本音だったのだろうか。2015年2月に実勢価格8千円前後に値上げした『テナジー』(オープン価格)が一時的に落ち込んだあと、ようやく回復したタイミングでの『ロゼナ』投入にはリスクがあったはずだ。もし5000円(希望小売価格)という『ロゼナ』が『テナジー』を食ったら、本末転倒の戦略になる。『ロゼナ』が食いたかったのは、同様の価格帯の『G-1』『ラクザ』『V>15』『ヴェガ』『オメガ』というドイツ系のラバーだった。
 タマスの心配はそのプロモーションにも現れていた。過去の『テナジー』と比べても、発売当初の宣伝は控えめだった。明らかに『テナジー』に遠慮しながら、市場の様子を見ている感じだった。

 ところが、4月に発売して以来、売上げは好調で、7月、8月の中学・高校生の買い換えのタイミングで売れ方に拍車がかかった。その動向を見ながら、タマスは『ロゼナ』の宣伝に力を入れ始める。「『ロゼナ』を宣伝しても、『テナジー』を食わない」と感じたのではないか。

 この用具ランキング、とりわけ用具市場の最大の売上げの裏ソフト部門の動向はユーザーのみならず、卓球メーカーや関係者が気にする。『ロゼナ』に1位の座を譲ったとは言え、ニッタクがトップ10位の中に5品目入っている。勢いを感じる。
 またミズノも10月には日本製のスピンテンションラバーの『Q3』を投入する。拡大する卓球市場の中でラバー戦争はより激しさを増している。  (今野) 
  • G-1を抜き、ランキング裏ソフト部門で1位になったロゼナ