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 11月3〜5日まで、岡山県のジップアリーナで開催された全日本社会人選手権。日本リーグの所属している実業団選手を中心に国内のトップ選手も多く出場した。

 男子シングルス決勝は、3連覇を狙う上田(協和発酵キリン)と社会人1年目の丹羽(スヴェンソン)の対決になった。上田が台上のチキータと球威のあるフォアドライブで丹羽を攻めて2ゲームを連取したが、3ゲーム目からは丹羽がライジングをとらえた両ハンドカウンターが火を吹いて2ゲームを奪い返して2対2に。試合を左右する第5ゲームを上田が競り勝ったが、第6ゲームを丹羽が目の覚めるようなカウンターで取ると、勝負の行方は最終ゲームへ。
 お互いの力と力、質の高い打球がぶつかり合った試合は、国内トップレベル、いや世界クラスの内容になり、非常に見応えがあった。最終ゲーム、9オールから上田のバックドライブがエッジで入ってマッチポイント。次のポイントも上田が奪い、長い戦いにピリオドが打たれた。3連覇を決めた上田は、ベンチに戻るとしばらく動けなかった。決勝は、まさしく死闘だった。
 敗れたとはいえ、丹羽の技術レベルは抜きん出ていた。複雑な回転のサービス、チキータとストップを混ぜて相手の3球目攻撃を外すテクニック、そして相手のドライブを倍返しで抜き去るカウンタードライブは、「丹羽目当て」で詰めかけた多くの観客を唸らせた。

 女子シングルスは、前回王者の森薗(サンリツ)を5回戦で下した松澤(十六銀行)が決勝に進み、準決勝で平侑里香(サンリツ)との激戦を制した鈴木(日立化成)と対戦。松澤は独特のバックハンド投げ上げサービスからショートスイングのバックドライブを武器に戦い、鈴木は持ち前の柔らかいスイングからコースを打ち分けるプレーで対抗。お互いに一歩も譲らない展開が続き、ゲームカウントは3対3に。最終ゲームは松澤がスタートダッシュをかけて鈴木を離したが、9−5とリードしたところから連続失点。しかし、最後は「戦術を一から考えて勝負した」というように、思い切ったプレーで鈴木の猛攻を退け、初優勝を手にした。
 2位の鈴木は優勝のチャンスがあったが、最後は力尽きた。だが、強弱をつけたラリー戦ができるなど、タイミング一辺倒になりがちな女子卓球において、時間の使い方のうまさを見せた。

 男子ダブルスは、森田・神(シチズン時計)が初優勝。4回戦で徳永・定松(鹿児島相互信用金庫)とのゲームオールジュースを物にすると、準決勝で松下・藤村(日鉄住金物流)との激しい打ち合いを制すと、決勝では日本リーグなどで何度も対戦している高木和・張(東京アート)に快勝。シチズン時計としては、昭和63年の第22回大会で優勝している林・小野ペアから29年ぶりの男子ダブルスのタイトルとなった。

 女子ダブルスは、今年1月の全日本選手権で決勝を争った平田・永尾(アスモ)と土田美佳・宋が今大会の決勝で再戦。全日本では2位で涙をのんだ土田美佳・宋が1−2の劣勢になっても強気のプレーを貫き、逆転勝ちでタイトルを奪った。土田がサービスでチャンスを作り、宋が切れのある両ハンド攻撃で攻め立てた。

■ 上位結果
●男子シングルス
優勝:上田仁(協和発酵キリン)
準優勝:丹羽孝希(スヴェンソン)
3位:平野友樹(協和発酵キリン)、高木和卓(東京アート)
ベスト8:軽部隆介(シチズン時計)、松平賢二(協和発酵キリン)、笠原弘光(協和発酵キリン)、御内健太郎(シチズン時計)

●女子シングルス
優勝:松澤茉里奈(十六銀行)
準優勝:鈴木李茄(日立化成)
3位:森薗美咲(日立化成)、平侑里香(サンリツ)
ベスト8:松平志穂(ミキハウス)、久野理世(十六銀行)、馬場麻裕(アスモ)、平田有貴(アスモ)

●男子ダブルス
優勝:森田侑樹・神巧也(シチズン時計)
準優勝:張一博・高木和卓(東京アート)
3位:松平賢二・森本耕平(協和発酵キリン)、松下海輝・藤村友也(日鉄住金物流)

●女子ダブルス
優勝:土田美佳・宋恵佳(中国電力)
準優勝:平田有貴・永尾尭子(アスモ)
3位:加藤知秋・加藤杏華(十六銀行)、大矢未早希・天野優(サンリツ)
  • 男子シングルス優勝の上田

  • 男子シングルス準優勝の丹羽

  • 女子シングルス優勝の松澤

  • 女子シングルス準優勝の鈴木

  • 男子ダブルス優勝の森田・神

  • 男子ダブルス準優勝の張・高木和

  • 女子ダブルス優勝の土田・宋

  • 女子ダブルス準優勝の平田・永尾