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2018世界卓球ハルムスタッド大会速報

 4月20日の公開練習でトレセンの卓球場の扉を開けた時、目の前にフォアドライブを連打する大きな背中があった。「デカいな、誰だろう?」と思ったその選手は……髪型の変わった張本智和だった。

 身長が半年で2cmほど伸び、現在の身長・体重は174cm・64kgだという張本。その背中は驚くほど「太く」なっていた。太くなったというのは、もちろん太ったという意味ではなく、筋肉がついて背中も腰回りもガッチリしてきた、ということ。以前はフォアドライブを連打すると腰の位置が高くなり、ボールがうわずる印象があったが、スタンスが広く、体勢が低くなり、パワフルなフォアドライブを連打できるようになっている。フォアドライブの打球点は非常に早く、堅固なブロックを誇る松平健太をノータッチで抜く場面もあった。

 3月末にNTC近くの卓球場で張本の技術撮影を行った際、バックハンドのカウンタードライブの打球点と威力に驚かされたが、強く打った時にボールが落ちる時があり、倉嶋洋介監督から「バック面のラバーはもっと硬くしてもいい」と言われていた。実際に4月上旬のアジアカップ後、バック面のラバーを硬くしたそうだが、公開練習では「ちょっと重くなったので元に戻しました」とコメント。かなり重いラケットでも振り切れる筋力はついてきているが、まだ試行錯誤の段階にあるのだろう。それでも技術面では、アジアカップの時よりもすべての技術において、安定性が増したという。

 2月のチームワールドカップは、張本にとってプレッシャーとの戦いだった。逆転勝ちした香港戦の5番について、「負けたらメダルがなくなる試合だったけど、逆に追い詰められすぎてメダルのことを忘れられたことが逆転につながった」と語っていた。
 そして、同時にこうも言っていた。「チームカップでは格上にも格下にも負けて、負けを経験できたので、それは逆に良かったと思います」。無類の負けず嫌いである彼の「負けを経験できて良かった」というひと言が、むしろ頼もしかった。しっかり敗戦を受け入れ、経験として自分の糧にしている様子がうかがえた。

 20日の公開練習では、「世界選手権に出られるからには、すべての試合を勝ちに行きます」と力強く語った張本。昨年末の世界ジュニア選手権の取材では、直前に欠場が決まって何とも残念だった。今大会では世界の卓球ファンが、樊振東をノックアウトしたワンダーボーイのプレーに注目している。
  • 格段にたくましさを増してきた張本智和の背中

  • 快速バックハンドの威力は相変わらずだ