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 4月21日に開幕する世界選手権ブダペスト大会(個人戦)。
 それに先だって4月13日に、世界選手権日本代表の公開練習と記者会見が行われた。その席上で、マイクを向けられた全日本チャンピオンの水谷隼(木下グループ)は「世界選手権の個人戦はこれが最後です」と多くのメディアの前でそう語った。以前から、「日本代表として東京五輪が自分の最後の大会」と語っていただけに、最後の世界選手権個人戦、と彼が言っても驚きはない。
 しかし、全日本選手権で優勝した直後の「最後の全日本」発言に始まり、ここに来て「最後の世界選手権個人戦」と続いた。それは彼自身の決意表明だったのか、世界戦(個人戦)への決別だったのか……。

 その会見の1時間半前に行われた記者のための囲み取材で、記者の質問は水谷の目のことに集中した。

 「会場にもよるけど、国際大会で暗い中でやる時にはボールはほとんど見えない。18年1月からこんな状態です」と語り始め、15分間の囲み取材のうち、12分間は目のことに質問が集中した。全日本チャンピオンの水谷であれば、もっと卓球に関する質問があってもいいし、本人もそういう質問に誘導すべきではないのか。
 個人的にはそういう水谷を取り巻く雰囲気には辟易している。最後の世界選手権個人戦であれば、その決意や卓球への思いの強さをもっと語ってほしかった。それが全日本チャンピオンとしての矜持ではなかったのか。

 1月に全日本優勝を決めた直後の卓球王国へのインタビューで、彼の目に関するコメントを拾ってみた。
「ボールが見えなかったし、1球のストレスがすごくて、どんなチャンスボールでもミスをしそうだった」「目の病気ではないので原因がわからない。光が反射して、ザワザワした感じでクリアに見えない」 
目が改善されなくて、オリンピックに行くのはしんどくない?
「オリンピックと言うよりは、これからのワールドツアーだと会場が暗くて本当にボールが見えない。手術もしたけど、いまだにボールが見えなくて、これからどうしていいのかわからない」

 全日本選手権で優勝したからこそ、水谷は目のことを正直に語ったのかもしれない。今回の合同の囲み取材でもそうだが、堰を切ったように目のことを語った水谷。今まで言いたくてもそれが言い訳に聞こえてしまうために、言えない苦しみを自ら口に出しているということなのだろう。

 しかし、今のままでは世界選手権でも、水谷が戦ったあとには常に目の質問が集中するだろう。暗い会場でスポットライトが入るようなコートでの見えにくさは、彼だけではなくほかの選手も感じている。それを口に出すかどうかは選手次第。もちろん、その目の不調の苦しみは彼にしかわからない。
「目のことは水谷しかわからないので、彼に寄り添っていくし、できるだけのことはしていく。ただ、なるべく卓球に集中する環境をつくってあげたい」と男子NTの倉嶋洋介監督は語った。

 その通り、今回の世界選手権で水谷は卓球に集中しなければならない。彼が戦う前に目のことが気になって集中力が落ち、最後の世界選手権個人戦で力を発揮できないことが心配だ。最後の世界個人戦で水谷隼という、日本卓球界の顔ともいうべき選手に後悔を残してほしくない。
 ブダペストで水谷が戦うべき相手は二人いる。ひとりはコートの向こうの相手であり、もうひとりは目の問題に逃げ込もうとする水谷自身なのだ。今はただ、ブダペスト大会のプレー環境が、彼にとって良好なものであることを願うばかりだ。(今野)
  • 2月のジャパントップ12でサングラスをかけてプレーする水谷