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世界選手権ロッテルダム大会(個人戦)

●女子シングルス準決勝
李暁霞(中国) 5、6、7、8 郭躍(中国)
丁寧(中国) -11、9、-8、6、8、6 劉詩ウェン(中国)

明日の女子シングルス決勝、対戦カードは李暁霞vs丁寧!
まず先に行われた李暁霞vs郭躍、郭躍にほとんどチャンスらしいチャンスはなかった。ともに遼寧省鞍山市新華街小学校の出身。所属は遼寧省と山東省に分かれたものの、ダブルスではパートナーを組み、世界選手権を始め数多のタイトルを獲得してきた。同じ1988年生まれの宿命のライバル同士の対決だった。

かつては対戦成績でも、世界に先にデビューした郭躍がリードしていたが、近年はその位置関係が逆転。昨年11月のアジア競技大会でも、0-3からの逆転とはいえ李暁霞が勝利を収めていた。そして今日の一戦で、両者の力関係はより明確となった。李暁霞の卓球に華はないが、回転量が豊富な両ハンドドライブには、見えない厚い壁がジワジワと迫ってくるような迫力がある。郭躍のフォア強打もほとんどが跳ね返され、ラリー戦で打ち負けた。

丁寧vs劉詩ウェンも、同世代のライバル対決。ベンチには誰も入らなかったが、すぐ後ろのVIPシートには劉詩ウェンが所属する広東省チーム総監督の喬紅(89年世界選手権優勝)、国家チームの担当コーチである孔令輝(95年世界選手権優勝)。片や丁寧サイドには、北京市チームの先輩である張怡寧(08年北京五輪優勝)などが座っていた。その間には仕切りのように、中国卓球協会の徐寅生名誉会長が陣取る。同じ中国チーム同士の対決なのに、喬紅は劉詩ウェンに大きな声援を送り、見ているほうがヒヤヒヤ。ちょっと面白い光景だった。

丁寧は膝を傷めているせいか、しゃがみ込みサービスを今大会ではほとんど使わず。それでも決勝まで勝ち上がったのだから、「下蹲式発球(しゃがみ込みサービス)」は彼女にとって、決定的な武器ではなかったということだ。劉詩ウェンとは、世界選手権史上でもトップクラスのハイレベルな打撃戦を展開したが、最後にものを言ったのはやはり身体能力か。

準決勝で敗れた郭躍も劉詩ウェンも、ピッチの早さなら他の選手に引けはとらない。しかし、勝利した李暁霞と丁寧は、ピッチの早さに身体能力を活かした回転量が加わっている。連射のスピードは同じだが、口径の大きさが違う。撃ち合っていたら、どちらが先に倒れるかは明白だ。郭躍に全盛期のスピードと切れ味はなかったが、劉詩ウェンは今大会好調だった。それでも丁寧にはあと一歩及ばなかった。
女子決勝は、「男性化」を標榜する中国女子卓球の、象徴のような一戦になるだろう。