スマホ版に
戻る

王国インフォ

トップニュース王国インフォ
「卓球界に恩返しをすることのほうが、よりたくさんの人が喜んでくれると思った」

 12月の試合を終えると卓球の新リーグ「ノジマTリーグ」は今シーズンの折り返し点を迎える。そのTリーグの理事を務め、現役の第一線を退き、卓球界を見守っているのは「愛ちゃん」こと福原愛さん。
 昨日発売した「卓球王国」の最新号では、福原さんの選手時代の軌跡を紹介し、福原さんは自身の選手生活を振り返りながら、インタビューに答えている。普段は台湾に住んでいる福原さんの貴重なコメントである。

 選手として復活しなかった理由は、復帰した場合の期待や重圧だったのだろうか。
「私は周りの人に喜んでほしいという気持ちが一番にありました。復帰しようと思えば、リオ五輪よりもさらに良い結果を出して、シングルスでメダルを獲って、みんなに喜んでほしいと思うかもしれない。リオの(シングルス)メダル決定戦で負けてしまったので、自分への目標を成し遂げようというのと、選手としてひと区切りをつけて、後輩たちのために何かをやり遂げることを天秤にかけた時に、卓球界に恩返しをすることのほうが、よりたくさんの人が喜んでくれると思ったので、こういう答えになりました」

 日本卓球の女子は、伊藤美誠、石川佳純、平野美宇、早田ひなという世界で活躍するスター軍団。その後輩たちに福原さんはこういうメッセージを贈った。
「卓球界が盛り上がっている中でプレーをするのは大きなプレッシャーにもなると思うけど,佳純ちゃん、美宇、美誠、ひなちゃんたちだったら絶対大丈夫です。持ち前の明るさと思い切りの良さでこれからも卓球界を盛り上げていってほしい。彼女たちが活躍することが次の世代の選手の刺激になるし、もっと小さい子が彼女たちに憧れて卓球を始めるような卓球界になってほしいですね」

「卓球は難しいから楽しかった。卓球は奥深いスポーツ」

 そして現役時代を振り返り、26年間も続けてきた卓球というスポーツを福原さんはこう表現した。
「『ボールがあんなに小さくて、コートがあんなに広いのになんで入らないの? なんで言うこと聞いてくれないの?』とずっと思ってました。卓球は難しいから楽しかった。
 一番距離の近い中でやる球技で、こんなにも一瞬の中で頭を使う、身体を使う、過去の記憶を思い出したり、未来への予知能力まで使って、空気感、空調、湿気、音までも考えるスポーツはないと思う。そういう試合の中での読み合いが一番楽しかった。卓球は奥深いですね。これからそういう卓球の面白さを伝えていきます」

 2020年東京五輪に向け、熾烈な国内競争を繰り返しながらレベルアップしている日本の卓球界。
 ロンドンとリオの五輪でともに団体のメダルを獲得した石川佳純選手は福原さんにメッセージを贈った。
「今は心から『お疲れさま』と言いたいです。愛ちゃんが切り開いた道があったからこそ,卓球をここまで広めてくれたからこそ,私たち後輩が前に進んで行けたことが多いのです。それを私たちがもっともっと広めていきたい」(卓球王国最新号より)。
 卓球を愛し、卓球に愛された福原愛さん。人気もと実力も低迷していた日本の卓球を牽引してきた卓球少女も母になり、今も後輩たちを温かいまなざしで見守っている。
  • 取材のため急きょ台湾から帰国した福原さん

  • インタビュー中はいつもの明るい福原さん