ヴェガ イントロ

ターゲットにした『マーク V 』 を
『ヴェガ イントロ』は
キャッチアップすることが
できるのだろうか

 10 名による試打会において、『ヴェガ イントロ』は反発力が高く、コントロールは難しいのではないかと思ったが、選手たちには意外と好印象で、「扱いづらさは感じない」という。
 そして「ラバーが硬い」と感じる人はいなかった。今までよりも弾性の高いラバーを使うことで、攻撃力は確実にアップすると同時に守備での力加減を覚え、ボールに対して繊細な感覚を養う。今は台に入れるのが難しいが、そこに挑戦したい、慣れれば使いこなせそうという、見える位置にあるハードルが初級者のやる気をかき立てるのかもしれない。

 他の3 人のうち2 人は、「どちらでも良い」「変えても良いし、今の用具でも問題ない」とコメントした。唯一ひとりだけは「今はまだフォームが固まっていないし、ぼくにとっては弾みすぎる」と回答している。

 回転についてコメントしてもらうと、6 人が普段よりも回転がかかると感じた。「回転がかかるので、ドライブがやりやすい」(『マーク V 』 使用者)。「弾むし、回転もかかりました」(『フレクストラ』使用者)。
 一方で、あまり変わらない、回転がかけづらいという返答も4 人いた。「ドライブがかけづらい。反発力が高くてコートに入らないので、当てるだけになってしまい、回転をかけることができない」(『ジャミン』使用者)。「回転はかかるけど、『ハモンド』のほうがかかると感じました」(『ハモンド』使用者)。選手によっては反発によってオーバーしてしまうので、ドライブミスを恐れてしまい、うまく回転をかけられないようだ。

『マーク V 』 よりも
『ヴェガ イントロ』
すぐれている部分はどこか?

 ターゲットにした『マーク V 』 を『ヴェガ イントロ』は3200 円という価格ではとらえた。
 つまり、『マークⅤ』の買い求めやすい価格と並んだわけだから、次は『マーク V 』 の持つ使いやすさ、「コントロール」とどう並び、もしくは追い越すのか。性能が同じなら、新参者の『ヴェガ イントロ』ではなく、より信頼性の高い「ベテラン」の『マーク V 』 をユーザーは選び、指導者はすすめるだろう。
 それでは『ヴェガ イントロ』の『マーク V 』 よりもすぐれた部分はどこなのだろう。

 この『ヴェガ イントロ』を上級者に評価してもらったら、従来の高弾性に比べて高評価を得られる可能性は高い。上級者は多くの用具を経由してきており、ラバーに対する正しい性能評価を下すことができる。中でも「弾み」と「回転」は簡単にわかる。
 しかし、今回はあえて実際の初級者に試打をしてもらった。それは「コントロール性能」を確かめるためだ。上級者の場合、ラバーの弾み方を理解して自分のスイングを調節して台に収めることができるが、まだ正しいフォームが身についていない初級者はそれができない。技術力がないため仕方がないのだが、だからこそ初級者用の用具は「コントロール性能」が不可欠なのだ。

 初心者に過剰なスピードは必要ないからこそ、弾みすぎる用具が敬遠されるのだ。『ヴェガ イントロ』は、従来の入門者用のラバーに比べて弾みは良いが、選手たちが極端にコントロールできないほどではなかったようだ。
 つまり、試打の結果、『マーク V 』 よりも『ヴェガ イントロ』のほうが弾みが良く、回転の量も多いと初心者は感じる。そこに魅力を感じるならば、初心者は『ヴェガ イントロ』を選ぶことになる。

ラバー側面図

ヴェガの弟分のイントロだが、ブラックスポンジではなくクリーム色のスポンジを採用した。
スポンジ硬度は入門用ラバーとしてはかなり硬い。しかし、トップシートの粒は細くて間隔も空いているため、打球感はやや柔らかくなっている

衝撃!『ヴェガ イントロ』
3200 円の真実

 XIOM がもうひとつ『イントロ』を発売するにあたり、こだわったのが価格だ。もちろん前述のように『マーク V 』 と同価格にするという狙いもあったが、同時に3 千円代の『ヴェガ』を復活させるという目的があったという。
 発売当初、『ヴェガ』の価格は3500 円だった。それが徐々に値上がりをし、2013 年に3800 円になり、現在は4000 円になっている。「為替の問題で仕方がなく値上げせざるを得ませんでした。しかし、ユーザーには『人気が出れば値上げをする』『ヴェガは高い』という悪いイメージがついてしまう。もう一度、3 千円代で性能の良いラバーを出したかったのです」(金俊洙さん)。ブランドイメージを大事にするXIOM ならではの作戦だろう。

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卓球専門店の声

「安定感も高く、同価格帯で
現在発売されているラバーの中では
間違いなくNo.1 の製品で、
コストパフォーマンスの高さは抜群」

スポーツショップキタザト(北海道)・大浦貴彦さん
 現在、当店の売上枚数1 位で、幅広いレベルやカテゴリーの選手に安心してオススメできるラバーです。入門用ラバーという宣伝文句ではありますが、卓球に大事なスピン、スピード、コントロールのバランスが絶妙で、他の『ヴェガシリーズ』とコンセプトがかぶらないところに、XIOM の商品リリース力を感じます。
 今までの入門用ラバーとは違い、軽~強打のそれぞれにちょうど良い反発があり、それゆえ力加減を覚えることができます。安定感も高く、同価格帯で現在発売されているラバーの中では間違いなくNo.1 の製品で、コストパフォーマンスの高さは抜群です。
 当店で購入したお客様の評判も良く、ほとんどの人が「安定感がアップした」「しっかりと弾道が弧線になる」と評価しております。より高性能のスピン系テンションラバーに移行する架け橋となってくれるラバーです。

「中国製ラバーと高弾性ラバーの
中間というイメージ」

卓球屋(WEB)・木村さん
 従来の入門用ラバーは「軽い」「軟らかい」ものが多かったですが、『ヴェガ イントロ』は真逆で硬くて重いラバーです。そのため、自分でしっかりとしたスイングでインパクトをしないと飛んでいきませんが、「振る意識」を覚えさせるには最適だと思います。プラスチックボールになり、早い打球点をとらえやすいため硬い中国製ラバーの人気が出ています。『ヴェガ イントロ』も同じように、スポンジが硬くてシートにグリップ力があるため、台上技術もやりやすく、また安定したボールが打ちやすいと思います。
 ラバーの重量が少々重いので小さいお子様には大変ですが、練習をしながら同時に体も鍛えられる。中国製ラバーと高弾性ラバーの中間というイメージです。入門者ラバーにしては注目度が高く、春先は販売枚数が伸びました。また、高性能のため中級者の選手も購入していきますね。

*以上、専門店の声は2017 年9 月時点

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第3 回に続く
文=佐藤祐・今野昇