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星野美香の眼★
 福原/平野組は常に先手が取れた試合だった。2ゲーム目、北朝鮮ペアは福原選手のフォアを狙い、次をバックという戦い方だったが、福原選手はそれを読んで待っていた。また、今回、フォアに寄せられたあとにバックを攻められても動ききり狙っていった。
 特に、要所要所でストレート攻撃が冴えていたのが光った。レシーブもフリックとフォア前ストップをうまく入れて、相手を待たせない戦い方も良かった。
 
 石川/森薗組と対したシンガポールペアは、1,3,5ゲーム目はストレート攻撃、特に馮のストレート攻撃は徹底していて感心した。難しいと思うボールでさえ、ストレートへ持って行く。瞬時にコースを選択する能力が馮はすばらしい。後ろに下がった時だけは相手を見てコースを選んでいた。
 2,4ゲーム目、シンガポールは森薗選手のフォアへコースを集める戦術だった。
 それに対して日本は、特に森薗選手がストレートを待って狙う、またはフォアに来たボールを狙うという戦い方をすれば試合の流れは変わったかもしれない。
 また、ラリー戦で得点していないのだからネットプレーから先手を取る戦術も必要だった。
女子ダブルス3回戦で、藤井/若宮はポータ/トート(ハンガリー)との接戦を制してベスト8進出を決めた。ポータ/トートもヨーロッパを代表するペア、相手のコース取りに対するベテラン・トートの読みは抜群だったが、終盤は日本ペアが思い切ってフォアで攻め、回転量の多いループドライブでミスを誘った。苦しい苦しい一戦だった。

●女子ダブルス3回戦(ベスト8決定)
藤井/若宮 −7、11、4、−11、−3、9、5 ポータ/トート(ハンガリー)

「相手もペアを組んで長いし、初めて試合をしたけど本当にうまかった。最後で自分たちのプレーをしていこう、攻めて行こうという気持ちでプレーできたのが勝因かなと思います。6ゲーム目はリードされたけど、相手も少し勝ちを意識したかもしれない。私たちも相手が嫌がるコースへ、難しくても打たなければいけないと思った。
 2年前の準々決勝は勝ちを意識して、プレーが後手に回った。最後まで攻め続けていけば結果はついてくると思います。陳夢/朱雨玲は結構下がるペアなので、コースを二度突いたりして、相手が下がるにしても優位な展開に持ち込んで、ラリー戦を展開していきたい」(藤井)

下写真左は藤井/若宮、右はポータ/トート
女子ダブルス3回戦で、石川/森薗が馮天薇/ユ・モンユ(シンガポール)に1-4で敗れ、ベスト8進出はならなかった。ダブルスは台から下げられる展開が多いが、下がった時の技術力の幅が、日本ペアとシンガポールペアの大きな差だった。特に台から距離を取っている時にバックサイドへ打たれると、日本ペアはやれることがなくなってしまう。
準々決勝で、勝ったシンガポールペアと福原/平野がメダルをかけて戦うことになる。

●女子ダブルス3回戦(ベスト8決定)
石川/森薗 ー7、ー5、ー7、8、ー7 馮天薇/ユ・モンユ(シンガポール)
女子ダブルス3回戦で、福原/平野が北朝鮮ペアをストレートで下し、ベスト8入りを決めた。
仮にこの後行われる試合で、石川/森薗が馮天薇/ユ・モンユ(シンガポール)に勝てば、
福原/平野と準々決勝で当たることになるため、日本のメダル獲得が決定する。

★福原愛の試合後のコメント
「事前に練習してきたものが全部出せたと思うし、お互い悔いのないようにプレーしようと話をしていて、その通りにできた。ずっと曇り空みたいな気持ちだったけど、やっと晴れた感じです。今みたいな戦い方ができたら、どのペアと戦っても自分たちのプレーができると思います」

女子ダブルス3回戦
福原/平野 4、9、8、8 キム・ヘソン/キム・ジョン(北朝鮮)
昨日の混合ダブルス3回戦で吉村/石川ペアが韓国ペアに敗れたあと、ミックスゾーンに現れた倉嶋洋介監督は次にように語った。「7ゲームズマッチでも、ほんの一球で流れは変わる。自分たちを波に乗せていくような思い切ったプレーが、今大会の日本には足りない」。

 各種目でメダルが期待された日本だが、すでに混合ダブルスと女子シングルスでは姿を消した。ロンドン五輪の団体銀メダルチームであることを考えれば、あまりに厳しい結果と言わざるを得ない。
 倉嶋監督が語ったように、海外選手たちが一本のナイスボールでグイグイ波に乗ってくるのに対し、日本勢は安定してボールを入れにいく「国内標準」のプレーが時々出てしまう。これまでに積極的なプレーが光っていたのは、女子の森薗・松平という若手や、昨日馬琳を破った松平健太だった。

 ロンドン五輪を境に若手選手への切り替えが進み、世界の卓球はますます攻撃的になっている。見た目には積極的に見えるプレーでも、彼らにとってはそれが当たり前であり、ただひとつ「勝てるプレー」を目指しているだけだ。

 そして、中国選手たちを見てつくづく思ったのは、彼らのミスの少なさ。テニスなどで言うところの「unforced error」、つまり自分に原因のある「凡ミス」というのが極端に少ない。どれだけ良いラリーを展開していても、ふと気づけば相手とはスコアが大きく離れている。これは中国選手の試合を見ていて、いつも思うことだ。
★5月17日のタイムテーブル ※( )内は日本時間

●女子ダブルス3回戦(ベスト8決定)
10:00(17:00) 3コート 福原/平野 vs. キム・ヘソン/キム・ジョン(北朝鮮)
10:45(17:45) 1コート 藤井/若宮 vs. ポータ/トート(ハンガリー)
10:45(17:45) 3コート 石川/森薗 vs. 馮天薇/ユ・モンユ(シンガポール)

●混合ダブルス準々決勝
12:00(19:00)試合開始

●男子ダブルス3回戦(ベスト8決定)
13:00(20:00) 3コート 松平健/丹羽 vs. 岸川/水谷
13:45(20:45) 3コート 張/松平賢 vs. 陳杞/方博

●女子シングルス4回戦(ベスト8決定)
14:30(21:30) 1コート 馮天薇(シンガポール) vs. ビレンコ(ウクライナ)
14:30(21:30) 2コート リュウ・ジャ(オーストリア) vs. リ・ミョンスン(北朝鮮)
14:30(21:30) 3コート 陳夢(中国) vs. 李暁霞(中国)
14:30(21:30) 4コート 武楊(中国) vs. キム・ヘソン(北朝鮮)
15:30(22:30) 1コート 徐孝元(韓国) vs. 劉詩ウェン(中国)
15:30(22:30) 2コート 姜華君(香港) vs. 朱雨玲(中国)
15:30(22:30) 3コート 丁寧(中国) vs. パク・ソンヘ(韓国)
15:30(22:30) 4コート ション・イェンフェイ(スペイン) vs. フー・メレク(トルコ)

●男子ダブルス準々決勝
16:30(23:30)試合開始

●女子ダブルス準々決勝
17:30(18日AM0:30)試合開始

●男子シングルス3回戦(ベスト16決定)
18:30(18日AM1:30) 3コート 松平健 vs. 江宏傑(チャイニーズタイペイ)
19:30(18日AM2:30) 3コート 丹羽 vs. 何志文(スペイン)
20:30(18日AM3;30) 3コート 岸川 vs. スミルノフ(ロシア)
21:30(18日AM4:30) 3コート 張 vs. フレイタス(ポルトガル)

ただいま現地時間の17日午前2時です。明日、いや本日の主なタイムテーブルは上記のとおり。ガンバレ、ニッポン!
 女子シングルス3回戦、丁寧と対戦した今大会の「ジョーカー」、カットの胡麗梅(写真左上)は丁寧に完敗。もともとカット打ちを苦手としており、この胡麗梅に代表選考会で2連敗していた丁寧だが、非常にミスの少ないカット打ちを見せた。度重なる失敗は中国チームのコーチ陣が決して許さない。

 男子シングルス2回戦、クリサン(ルーマニア)との大打撃戦を制したのはO.アサール(エジプト/写真右上)。長身でとにかく中陣で粘り強く、また凡ミスも少ない。ラリー戦での強さは折り紙付きだ。

 男子シングルス2回戦、地元フランス期待のマテネに完勝したのがイランのノシャド・アラミヤン(写真左下)。台から距離を取るプレーが多いのだが、とにかく「当たれば入る」と言えるほど、吸い付くような抜群のボールタッチをしている。イランから世界選手権のベスト16プレーヤーが誕生するのか。

 男子シングルス2回戦、北朝鮮のキム・シンヒョクとのサウスポー対決を、ゲームカウント1-3から逆転したポルトガルのフレイタス(写真右下)。中・後陣に下がれば非常にしぶとく、どこか日本の水谷を彷彿とさせるプレースタイル。

 明日は女子シングルスでベスト8、男子シングルスでベスト16が決定!
●男子シングルス2回戦
趙彦来(韓国)  —10、11、—19、—6、6、6、8 高木和

 3−1とゲームをリードしながら、そこから逆転負けを喫した高木和。後半はボールも抜けずに趙に主導権を奪われ、決定力不足が明らかだった。

高木和「一球一球威力がないから何本でも返された。それが敗因。大事なところでラリーで4,5回負けたのが痛かった。結果を残したかったし、練習してきたけど、まだ足りない部分が自分にあった。こういう舞台で勝てないとワールドツアーで張継科に勝っても意味がない」

下写真左は高木和、右は趙彦来
●男子シングルス2回戦
何志文(スペイン) 3、ー9、7、ー7、9、7 陳衛星(オーストリア)
クレアンガ(ギリシャ) ー9、6、ー9、ー6、8、12、7 金ミン鉐(韓国)

御年50歳の何志文と41歳の陳衛星の「超・マスターズ対決」はなんと何志文に軍配(下写真左)。何志文のカット打ちは極めて正確で、スマッシュの打球点は非常に早い。03年パリ大会でクレアンガ(ギリシャ)を敗戦の瀬戸際まで追い詰めているが、まだその技術力は衰えを見せない。体は相当ゆるんでいるが、とんでもない選手だ。

そのクレアンガ(下写真右)も、男子シングルス2回戦で韓国の金ミン鉐をゲームオールで破った。その体躯に、かつての筋骨隆々の面影はないが、彼の復活は日本の卓球ファンにはうれしいニュース。
 やっぱりベルシーには、何ものかが棲んでいる!
星野美香の眼★

 まず松平健太選手対馬琳戦、出足で馬がすごく緊張していたのがよくわかったし、松平選手は良いスタートダッシュをかけた。早い打球点のスーパーショットを連続して放ち、終始後ろに下がらずハイリスクの攻めに徹していたのが勝因だった。馬琳が反応できないような打球点の速さと鋭いボールを何本も放っていた。サービスの配球は馬の読みを外し、3球目が鋭く決まっていた。中国に勝つにはこのような戦い方が必要だと痛感させる試合だった。すばらしい試合を見せてもらった。

 そして丹羽選手の勝負強さはピカイチ。レシーブで何が効いているのかを理解し、それを使うことで自分のペースに持って行くことができた。後半、プレー領域を下げずに戦えたのが勝因だった。ただ、これから、パワーがあり、ラリー戦で負けてしまうような相手に対して、3球目の打球点を早くすること、ストップレシーブを取り入れること、前半からプレー領域を下げずに戦いきること、これらのことを磨いていけばより勝ちやすくなり、自分のペースで試合ができると思う。
 岸川選手は、この試合では上り調子になっていると思う。特に、バックストレートのフォアドライブと、ブロックの打球点が非常に早いところが良い点として目立っていた。この試合ではラリー戦でほぼ負けることがなく、優位に戦うことができた。また、相手の得意とするバッククロスを避け、フォアクロスで戦ったことが勝因だと思う。