速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

世界卓球パリWEB速報

 昨日の男子シングルス3回戦、ルベッソンがバウム(ドイツ)との左腕対決に敗れ、地元フランス勢はすべて姿を消した。

 ジュニアの世代ではヨーロッパのタイトルを独占しているフランスだが、一般クラスではボルやオフチャロフ、バウムを擁するドイツに差をつけられている。エースのマテネは大会前のフランス選手権で初戦敗退を喫するなど不調。今大会でもメンタルのコントロールに問題を抱え、持ち味である両ハンドドライブの安定性、そして積極性は影を潜め、No.アラミヤン(イラン)に完敗した。ルベッソンも大事な場面で強打のミスが多く、バウム戦で勝機を逃した。大ベテランのエロワやレグーは健在ぶりをアピールしたものの、すでに往年の速攻の切れ味はない。

 若手の旗手・ゴーズィのプレーには及第点がつけられそうだが、彼も含めてQ.ロビノ、フロール、アングレといった若手に、世界のトップへ突き進むほどの明確な個性があるかどうか。何より、打球点がアジアに比べてかなり遅い。映像でしか見ていないのだが、フランス選手権決勝のゴーズィ対サリフ戦は、まるで90年代の卓球を見ているような、中・後陣でのラリー戦のオンパレードだった。

 大会の演出のうまさ、観客の抜群のノリの良さ、好プレーにはどの選手にも盛大な拍手を送る姿勢は、さすがフランス。第二次大戦後初の開催となった47年大会、個人・団体が分離開催となった03年大会(個人戦)と、世界選手権の中でひとつの句読点となってきたパリ大会は、やはり特別な大会だ。
それだけに、その中心にもっとフランス選手が残ってほしい。
  • バウム(ドイツ)に敗れたルベッソン

  • 子どもたちにサインするゴーズィ

  • 93年世界選手権優勝のガシアンは今大会も大活躍

●混合ダブルス準決勝
10:00(17:00) 王励勤/饒静文(中国) vs. 李尚洙/朴英淑(韓国)
          キム・ヒョクボン/キム・ジョン(北朝鮮) vs. 張ユク/姜華君(香港)

●女子シングルス準々決勝
11:00(18:00) 丁寧(中国) vs. リ・ミョンスン(北朝鮮)
          武楊(中国) vs. 李暁霞(中国)

●男子ダブルス準決勝
12:00(19:00) 岸川聖也/水谷隼 vs. ハオ帥/馬琳(中国)
          陳建安/荘智淵(タイペイ) vs. 王励勤/周雨(中国)

●女子シングルス準々決勝
13:00(20:00) 馮天薇(シンガポール) vs. 朱雨玲(中国)
          フー・メレク(トルコ) vs. 劉詩ウェン(中国)

●男子シングルス4回戦(ベスト8決定)
14:00(21:00) 丹羽孝希 vs. 馬龍(中国)
          サムソノフ vs. 松平健太

●女子シングルス準決勝
15:00(22:00)/18:45(19日AM1:45)試合開始
※2試合の間に混合ダブルス決勝を開催

●混合ダブルス決勝
16:00(23:00)試合開始

●男子シングルス4回戦
19:45(19日AM2:45) 岸川聖也 vs. ボル(ドイツ)
             許シン(中国) vs. フレイタス(ポルトガル)
20:45(19日AM3:45) 王皓(中国) vs. ガオ・ニン(シンガポール)
             ガルドス(オーストリア) vs. 張継科(中国)
21:45(19日AM4:45) オフチャロフ(ドイツ) vs. バウム(ドイツ)
             閻安(中国) vs. 荘智淵(タイペイ)

いよいよ大会も大詰めの大会第6日目。
今日はまず日本時間19時スタートの男子ダブルス準決勝、水谷/岸川がハオ帥/馬琳と対戦。中国のふたりはダブルス巧者だが、ピーク時に比べればパフォーマンスは落ちる。水谷/岸川には十分勝機がある。
そして男子シングルス4回戦(ベスト8決定)では、丹羽対馬龍、松平健対サムソノフ、岸川対ボルという、卓球ファンにはたまらない組み合わせが3試合。日本では深夜になりますが、随時お伝えします!
  • 丹羽対馬龍、五輪アジア予選の再現なるか

  • ケンタ対ブラディ、速攻対オールラウンド

  • 岸川対ボル、両ハンドが激突!

●男子シングルス3回戦
許シン(中国) 8、0、8、7 アポローニャ(ポルトガル)
フレイタス(ポルトガル) ー5、9、7、6、5 張(日本)
サムソノフ(ベラルーシ) 7、ー6、11、3、9 ガチーナ(クロアチア)
松平健(日本) ー9、8、6、9、ー9、4 江宏傑(チャイニーズタイペイ)
オフチャロフ(ドイツ) ー9、7、ー10、3、4、3 唐鵬(香港)
バウム(ドイツ) ー11、9、7、11、ー7、6 ルベッソン(フランス)
ガルドス(オーストリア) ー7、6、6、ー14、4、ー8、7 O.アサール(エジプト)
張継科(中国) 9、8、9、5 樊振東(中国)
王皓(中国) 7、5、2、ー10、3 アラミヤン(イラン)
ガオ・ニン(シンガポール) 11、10、6、9 陳建安(チャイニーズタイペイ)
閻安(中国) 8、ー10、3、3、3 クレアンガ(ギリシャ)
荘智淵(チャイニーズタイペイ) 6、6、7、ー10、8 趙彦来(韓国)
ボル(ドイツ) 6、ー9、6、ー9、4、8 ルンクイスト(スウェーデン)
岸川 ー8、9、ー4、8、7、9 スミルノフ(ロシア)
丹羽 2、6、9、ー7、ー7、7 何志文(スペイン)
馬龍 6、5、10、8 トキッチ(スロベニア)

下写真左:閻安に敗れたものの、第2ゲームを取って観客を沸かせたクレアンガ
下写真右 大会直前まで故障続きのボルだが、ルンクイスト戦では充実のプレーを見せた
●男子シングルス3回戦
フレイタス(ポルトガル) ー5、9、7、6、5 張一博
 張一博は、ダブルスでのメダル獲得を目前で逃したダメージを引きずった。両ハンドドライブが走って1ゲーム目を先取したが、フレイタスの中陣からの粘りと機を見ての速攻にペースを乱され、その後が続かなかった。

張一博「前の試合のダメージが大きくて、精神的にだめだった。試合中に何度も集中力が切れそうになった。未熟です。言い訳にはしたくない。スタミナの問題でも技術の問題でもない。精神的な問題です」
●男子シングルス3回戦
岸川 ー8、9、ー4、8、7、9 スミルノフ(ロシア)

やったぜ聖也!
ロシアの強豪・スミルノフを下して、世界選手権初のベスト16入り!

スミルノフのバックストレートへのバックドライブ、カウンタードライブのキレ味は抜群だったが、岸川はミスのないバックドライブ連打と、ツッツキや流しフリックでコースを突いてからの巧みなラリー展開で、難敵を料理した。第1ゲームから声を出すなど、気合いも満点。この(ベスト16入りの)チャンスを決して逃さないという気迫が伝わってきた。
明日の対戦相手はボル(ドイツ)。この4年間は1勝3敗という対戦成績だが、09年イングランドオープンでの勝利をご記憶の方もいるだろう。ルンクイスト(スウェーデン)を下したボルの調子も決して悪くない。すごいゲームになりそうだ。
星野美香の眼★
 福原/平野組はシンガポールペアと対戦。馮天薇とユ・モンユは技術と戦術、ともに優れていた。ユ・モンユはストレート攻撃が非常にうまく、福原選手の表ソフトをうまく打っていた。シンガポールの二人はストレート攻撃を主とし、お互いが重ならないように配球していた。また、平野さんに対して、レシーブはバック前中心に攻めていた。平野も攻撃しにくいし、シンガポールペアが待っているバックにボールが多く行くことがあった。福原選手に対しては少し長めのサービスを出し、バックハンドのレシーブを封じた。
 日本ペアはボールをクロスに返球することが多かったので、相手の待っているところに集まってしまった。これからはストレートに来たボールに対して、ストレートとミドルにも返球できるようになることが強いペアに対して勝機を見いだすやり方と言えるだろう。

 水谷/岸川組は、ダブルスをよく知っているコース取りをする。1ゲーム目を取られはしたが、二人はストレート攻撃をしていた。2,3ゲーム目、相手選手は重なることが多くなった。4ゲーム目は逆にタイペイペアはストレートを攻めてきて主導権を握られた。そこで、5ゲーム目、ストップレシーブからの戦術を多用し、左利きの黄聖盛を崩しにかかった。その時点で勝負は決まったように見えた。6ゲーム目は、水谷選手が相手のコースを読み切っていたのはすばらしかった。

 松平健太のように卓越したサービスがあるということは試合を有利に運べることだ。それに加えて、攻めの速さもある。それにバック対バックのラリーで負けない自信があったのだろう。
 しゃがみ込みサービスとほかのサービスを試合の中でうまく使い分け、相手を翻弄した。そのために、相手のサービスからの両ハンドドライブは威力があったが、それを落ち着いてできない心理状態に持っていくことができた。高速攻撃とカウンター攻撃も光っていた。このまま突き進んでほしい。
 丹羽は父(42歳)よりも年上の何志文(スペイン)と対戦した。年の差はなんと
32歳。丹羽のコメント。

丹羽「最初の3ゲームを簡単に取り過ぎてしまって、自分のペースになりすぎて、いつの間にか2ゲーム取られて、最後は焦りました。やっぱり戦い方はうまいですね。サービスもうまいし、コースを一球一球変えてくる。シングルスベスト16、ダブルスは優勝という目標を立てていたが、ダブルスで負けてしまったので、次の馬龍に勝ちたい。ただ、明日は彼も優勝を狙って気合いを入れてくると思うので、戦術を考えて冷静に戦いたい。フォアドライブを封じるためにチキータをどんどん使っていきたい。対策を立てられても、それでも相手に攻めさせないようにチキータを使う。
 (自分の父親は42歳で)相手は50歳。(疲れるためか)あまりタオルを取りにいかない(笑)。でもしっかり汗はかいてました(笑)」
 左ペン表の大ベテラン・何志文のナックルショートとフォアスマッシュをものともせず、前後の緩急を使いながら両ハンドドライブで攻め、一方的な試合展開に持ち込んだ丹羽。あまりに淡々と試合が進みすぎ、3ゲーム先取した後で逆にリズムを崩して2ゲームを取り返されたが、ここで再び攻勢に出て、最後は得意のカウンターが炸裂。自身初の世界選手権ベスト16入りを決めた。

●男子シングルス3回戦
丹羽孝希 2、6、9、-7、-7、7 何志文(スペイン)

下写真左は丹羽、右は何志文
 調子が落ちていたが、なんとか我慢して、しのいで勝利。同士討ちのダブルスで負けた後、ホテルに戻り、「シャワーを浴びて悪いものを流した」と言う松平健太のコメント。

松平健太「調子は良くなくて苦しかったけど、勝てて良かった。体の切れはいまいち良くなくて、微調整ができずに凡ミスが多く出た。6ゲーム目から気持ちを切り替えることができ、高い集中力でゲームに臨むことができた。自分で試合を壊してしまったので、ブロックだけでもいいから、打つのはチャンスボールだけでもいいから、後はコース取りを意識して戦おうと思ったら、冷静になってきました。
 毎回、世界卓球に出るたびに横浜以上と思ってやっている。明日はチャンスがあるので、次のベスト8決定で勝って、準々決勝に進みたい。明日はサムソノフかガチーナ、どちらが出てきても強いので対策を立てて、自分の準備が重要になってくる」

●男子シングルス3回戦
松平健太 -9、8、6、9、-9、4 江宏傑(チャイニーズタイペイ)

馬琳を破って3回戦に進んだ松平健太が、タイペイの江宏傑を4-2で下しベスト16に進出。第2ゲーム10-8のゲームポイントで江がサービスミス、第4ゲーム10ー5から10ー9まで追い上げられた場面では、最後に江のフォアドライブがミスするなど、江のミスにも助けられた健太。馬琳戦に比べれば、調子は最高とは言えなかったが、第6ゲームは中盤で一気にリードを広げ、決着をつけた。

下写真左は松平健太、右は江宏傑。江宏傑は最近国際舞台での活躍が少なかったが、久々に存在感を示した。