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女子ワールドカップ仙台大会

[グループ1]
鄭怡静(チャイニーズタイペイ) 8、7、5、5  レイ・ジャンファン(オーストラリア)
[グループ2]
メシュレフ(エジプト)
 -10、8、4、5、-4、12 杜凱琹(香港)
[グループ3]
フー・メレク(トルコ) -9、10、7、9、-4、10 チャン・モー(カナダ)
[グループ4]
P.ゾルヤ(ドイツ) -10、9、7、-2、2、3 クマハラ(ブラジル)

第1ステージ最初の4試合が終了。世界ランキング上位の選手が勝ち上がる中で、世界番狂わせを演じたのがエジプトのメシュレフ。世界119位の選手が、ちょうど世界ランキングが100位上の杜凱琹(世界19位)を破った。前腕をしならせ、手首の強さを感じさせる回転量の多い両ハンドドライブは、他の選手に比べるとかなり弧線が高く、浅く沈んだり、深く伸びたりする。この荒れ球が、杜凱琹の精密なプレーをくるわせた。第6ゲーム10ー9、11ー10のマッチポイントをしのがれ、11ー12と逆転されてから、ネットインを拾って逆転した精神力は見事。

もうひとり、素晴らしい身体能力を見せつけ、ゾルヤから2ゲームを奪ったのがブラジルのクマハラ。前後左右の揺さぶり、特にフォアからバックサイドに戻った時のバックハンドはまだまだ精度があまいが、アスリートとしての素質は一級品。フォアドライブの伸びと一発のパワーを見せた。まだまだ伸びしろがありそう。
  • メシュレフ、金星で第2ステージ進出へ大きく前進

  • 抜群の身体能力を見せたクマハラ

  • メシュレフ、笑顔でコーチとハイタッチ

  • 大物感を漂わせる杜凱琹だが、勝負に淡泊な試合が目立つ

大会第1日目の10月30日。広瀬川を渡って、ゼビオアリーナ仙台へ到着した王国取材班(二人だけ)。今朝はよく晴れているが、昼から天気は崩れるようだ。今日は出場選手20名中、シードの8名を除く12名が4つのグループに分かれ、第1ステージを戦う。その組み合わせは下記のとおり。

[グループ1]
鄭怡静(チャイニーズタイペイ)、リュウ・ジャ(オーストリア)、レイ・ジャンファン(オーストラリア)
[グループ2]
杜凱琹(香港)、リー・ジャオ(オランダ)、メシュレフ(エジプト)
[グループ3]
フー・メレク(トルコ)、イバンチャン(ドイツ)、チャン・モー(カナダ)
[グループ4]
P.ゾルヤ(ドイツ)、ポータ(ハンガリー)、クマハラ(ブラジル)

各グループとも2位までは明日の第2ステージに進むことができる。試合はすべて7ゲームズマッチ。大きな波乱が起こる可能性は……あまりなさそうだが、グループ3の右シェークフォア表ソフトのチャン・モー、チキータから攻撃的な両ハンドを見せるグループ4のクマハラは、波乱の立役者になる可能性がある。コートは2台のみで、ゆったりとした進行だ。
  • 両ハンドのフラット打法を得意とするポータ

  • 杜凱琹はリー・ジャオとの一戦が興味深い

 ゼビオアリーナ仙台では16時30分から、大会に出場する福原愛・石川佳純・劉詩ウェンの3選手による記者会見が行われた。

 ITTFのプロモーションマネージャー、マット・パウンドから「ホームタウンである仙台でワールドカップが開催されるのはどんな気持ちですか?」と尋ねられた福原。「仙台でワールドカップという大きな国際大会が開催されると聞いた時は、すごくビックリしたし、すごくうれしかった。ひとりの選手としても、仙台出身の人間としても、今大会をすごく楽しみにしています。仙台の皆さんの前で良いプレーができるように頑張ります」と抱負を語った。

 今日の午前中、福原はドイツのゾルヤやイバンチャンとともに、地元・仙台の東六郷小学校を訪問した。同小学校を訪れるのは2011・2012年に続き3回目。2012年に訪れた際にはロンドン五輪の銀メダルを持ち帰り、子どもたちは大喜びだったという。「今回は東六郷小のみんながミサンガを作ってくれて、すごくうれしかった。ラケットケースにつけて、パワーをもらいたい」(福原)。

 左太ももの故障でアジア選手権を欠場した石川は、「ケガでの大会棄権は初めてでした。すごく迷惑をかけてしまったし、自分自身も改めてケガや病気に注意しないといけないと思った」とコメント。「今は大丈夫です。しっかりトレーニングを積んで、リオ五輪まで気をつけていきたい」。難敵は多いが、前回の3位を上回る活躍に期待したい。「リオ五輪のアジア大陸予選代表に選ばれて、さらに気持ちも引き締まっている。ワールドカップという大きい大会でプレーできるのは、リオに向けても良い経験になるし、良いプレーがしたい」(石川)。

 女子ワールドカップでタイ記録となる4回目の優勝を狙う劉詩ウェンは、以前より表情が険しくなった印象(?)だが、会見では福原が隣席ということもあり、リラックスした表情。「石川選手と福原選手の印象、そして戦ううえで、気をつけているところを教えてください」という記者からの質問が飛んだ。戦ううえでの注意点については、ニヤリと笑いながら「ミィミィ」とコメントし、福原と石川は爆笑。「秘密(ミィミィ)」ということで、さすがに、簡単に手の内は明かせませんね。
  • 地元・仙台への想いを語った福原

  • 前回3位の石川、今大会でさらなる飛躍のきっかけをつかみたい

  • 福原とはたびたび笑顔で話していた劉詩ウェン

 朝10時過ぎに東京・幡ヶ谷の編集部を出発した王国取材班。コンノ編集長が東北自動車道をブイブイ飛ばし、仙台市太白区にあるゼビオアリーナ仙台に到着しました。2012年にできたばかりのゼビオアリーナはまだ真新しく、室内もヨーロッパのイベントホールのようでスタイリッシュ。イイ雰囲気です。

 会場ではちょうど地元・仙台出身の福原愛が練習中。カット打ちから多彩な多球練習、そして台の弾みを確かめるように、多彩なコースへ多彩な球種のサービスを出し分けていた。表情は明るく、緊張感を感じさせない。

 香港の杜凱琹、ドイツのP.ゾルヤとイバンチャン、ハンガリーのポータという出場選手たちも練習に汗を流していた。ポータは前回のオーストリア大会で活躍し、いち早くプラボールにフィットするプレーを見せた。コンパクトなスイングながら回転量の多い両ハンドドライブを駆使するP.ゾルヤは、日本の福原・石川にとっても手強い相手だ。
  • 地元に帰ってきた愛ちゃん、表情は明るい

  • 多彩な多球練習のメニューをこなしていた

  • 何やら楽しげなポータ(左)とイバンチャン

  • 油断できないP.ゾルヤの左腕攻守

  • ゼビオアリーナ仙台の全景

 女子のトップ選手が集結する今大会。その中で優勝争いの中心となるのが、世界ランキングの2~5位に位置する中国の劉詩ウェンと朱雨玲、日本の福原愛と石川佳純だ。

 福原は過去3大会のワールドツアーの成績は、チェコオープン優勝、オーストリアオープン3位、ポーランドオープンベスト8。バック表ソフトの緩急と、非常に早い打球点でクロス・ストレートに狙い打つフォアのカウンタードライブは円熟の域に達し、安定した成績を残している。地元・仙台のファンの歓声も、今の福原ならプレッシャーではなく追い風にできるだろう。劉詩ウェンには先週のポーランドオープンでストレートで敗れているが、スコアから見るほど一方的な内容ではなく、序盤の2ゲームはチャンスもあった。地元大会での日本選手初V、チャンスはある。

 一方、石川はポーランドオープンの1回戦で同じ左腕のパルティカ(ポーランド)に2ー4で敗れた。今大会もリー・ジャオとリュウ・ジャという左腕の帰化選手ふたりは油断できない存在だが、左腕対策には継続して取り組んできた。もし当たることがあっても、リオ五輪への貴重な経験ととらえたい。鄭怡静、杜凱琹というアジアの若手も手強いが、技術の幅と経験値は石川がはるかに上。強引な打ち合いではなく、緩急に富んでクレバーな、石川らしい戦いを見せてもらいたい。

 中国女子の劉詩ウェンと朱雨玲は、6月のジャパンオープンではあまり気合いが入っていなかったが、今大会は状況が違う。過去3回優勝の劉詩ウェンにとって、はっきり言ってタイトル獲得にそれほど意味はない。しかし、この大会は劉詩ウェンにとって、リオ五輪に向けた重要なテストになりそうだ。
 中国女子の孔令輝監督は、リオ五輪代表については明言していないが、シングルス代表に丁寧と劉詩ウェン、団体戦のみ出場の3番手にベテラン李暁霞、そしてリザーブに朱雨玲という線が濃厚だ。この中で、5月の世界選手権を制した丁寧は、五輪代表はほぼ確定。残るシングルスのひと枠も、現在の李暁霞の状態から考えると、劉詩ウェンでまず動かない。しかし、劉詩ウェンは3月のアジアカップと9月のアジア選手権で馮天薇に敗れた他、過去に団体戦でもたびたび黒星を喫している。今大会できっちり勝ちきれるかどうかが試される。

 そして今大会、注目すべきは公式使用球であるニッタクの3スター・プラスチックボール。日本開催の大会で、メイド・イン・ジャパンのニッタクボールが使用球となった。ITTFワールドツアーでは紅双喜のボールが使用されているが、この使用球の違いによる影響は意外に大きいはずだ。
 ヨーロッパ選手は9月に行われたヨーロッパ選手権で、ニッタクのボールの打球感にはかなり馴染んでいるはず。しかし、同じプレースタイルでもボールにフィットした選手と、成績が伸び悩んだ選手がいた。ラリー主戦型は有利、カット主戦型はやや不利という印象を受けるが、果たしてどうか。中国および中国系選手のプレー、粘着性ラバーに与える影響も興味深いところだ。
 10月30日〜11月1日、宮城県仙台市のゼビオアリーナ仙台で行われる「2015ITTF女子ワールドカップ仙台」。東日本大震災復興支援の大会として、杜の都・仙台に女子のトッププレーヤー20名が集結し、頂点を目指して技と力を競う。日本での女子ワールドカップ開催は2013年の神戸大会以来、2年ぶりだ。
 出場選手は下記のとおり(WR=2015年10月ITTF発表の世界ランキング/右は出場資格を獲得した大会)。

[2015ITTF女子ワールドカップ仙台・出場選手リスト]
WR2   劉詩ウェン(中国)           アジアカップ2位
WR3   朱雨玲(中国)             アジアカップ3位
WR4   福原愛(日本)             アジアカップ4位
WR5   石川佳純(日本)            アジアカップ5位
WR6   馮天薇(シンガポール)         アジアカップ1位
WR10  徐孝元(韓国)             アジアカップ6位
WR13  梁夏銀(韓国)             ※ワイルドカード
WR14  リー・ジエ(オランダ)         ヨーロッパカップ9位
↑↑↑ 上の8名はシード選手/第2ステージから出場 ↑↑↑

WR17  鄭怡静(チャイニーズタイペイ)     アジアカップ8位
WR19  杜凱琹(香港)             アジアカップ7位
WR21  フー・メレク(トルコ)         ヨーロッパカップ5位
WR26  ゾルヤ(ドイツ)            ヨーロッパカップ2位
WR27  リー・ジャオ(オランダ)        ヨーロッパカップ4位
WR28  リュウ・ジャ(オーストリア)      ヨーロッパカップ1位
WR31  ポータ(ハンガリー)          ヨーロッパカップ6位
WR42  イバンチャン(ドイツ)         ヨーロッパカップ3位
WR111 チャン・モー(カナダ)         北アメリカカップ1位
WR116 メシュレフ(エジプト)         アフリカカップ1位
WR136 レイ・ジャンファン(オーストラリア)  オセアニアカップ1位
WR137 クマハラ(ブラジル)          ラテンアメリカカップ1位

 現世界チャンピオンで、前回の女子ワールドカップ優勝者でもある丁寧(中国)は、故障のために世界ランキング3位の朱雨玲にエントリー変更されている。
 まず大会第1日目の10月30日は、世界ランキング17位の鄭怡静から137位のクマハラまでの12名が、3名ずつ4つのグループリーグに分かれて予選ラウンドを消化。上位2名が第2ステージに勝ち進み、大会第2日目の10月31日にシードの8名を加えた16名で、決勝トーナメント1回戦と準々決勝が行われる。大会第3日目(最終日)の11月1日は、準決勝・3位決定戦・決勝の計4試合が行われるタイムテーブルだ。メダル獲得が期待される日本の福原愛と石川佳純は大会第2日目から登場する。

  指定席のチケットは、日本選手が出場しない大会第1日目も含め、3日とも早々に完売する人気ぶり。しかし、自由席はまだ当日発売のチケットもある。日本でこれだけのトッププレーヤーが見られる機会は滅多にない。ぜひ会場に足を運んでみよう。