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中国リポート

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 2月26~27日に行われた「2009年全国卓球工作会議」。国家女子チームの施之皓監督は「2012年ロンドン五輪に向け、女子選手の技術の男性化をより合理的に推進する。そしてノングルー時代に完全に適応する」と述べた。
 これからロンドン五輪まで、再び4年間の激しい競争が繰り広げられる国家女子チーム。チームのエースである張怡寧に対して、施之皓監督は「北京五輪で奮闘して2枚の金メダルを獲得し、チームで最も信頼の置ける選手であり、チームの貴重な財産」と賞賛。しかし、30歳を間近にして迎えるロンドン五輪への見通しについては、「彼女にとっても大きな試練となるだろうし、多くの不確定要素が存在する」と述べ、決して楽観視できないとしている。唯一五輪で2連覇を達成しているトウ亜萍は、96年アトランタ五輪で金メダルを獲得し、翌97年世界選手権マンチェスター大会で優勝して現役を引退したが、果たして張怡寧はロンドン五輪までプレーを続けるのだろうか。

 また、8人の重点強化選手がいる国家男子チームに対し、国家女子チームは6人の重点強化選手を指定。張怡寧・郭躍・李暁霞・劉詩ウェン・丁寧・姚彦というメンバーだ。余程のことがない限り、ロンドン五輪の代表3人はこの6人の中から選ばれるだろう。国家チーム内では、張怡寧と李暁霞は李隼コーチ、郭躍・劉詩ウェン・姚彦は孔令輝コーチ、丁寧は任国強コーチの指導を受けており、丁寧以外の選手は同門で五輪代表の座を争うことになる。
 この6人の中に、現在世界ランキング4位の郭炎の名前がないのにお気づきの方もいるかもしれない。世界選手権・横浜大会には出場する可能性が高い郭炎だが、少なくとも4年後のロンドン五輪まで強化の対象になる選手ではないと判断されたのだろう。ガッツあふれるプレーと豪快な両ハンドドライブで活躍した郭炎だが、残念ながら、遠からず国家チームを引退することになりそうだ。彭陸洋・曹臻・常晨晨といった中堅選手たちも、チャンスをつかみ損ねたまま、より若い選手たちに追い抜かれようとしている。他国ならば充分にエースが務まる顔ぶれなのだが…。

 また、北京五輪以降の大会で、国家女子チームの選手たちはカット主戦型の選手に相次いで苦杯をなめている。昨年12月のITTFプロツアー・グランドファイナルで李暁霞が金キョン娥(韓国)に敗れ、クウェートオープン優勝の丁寧もスロベニアオープンでチホミロワ(ロシア)、デンマークオープンで金キョン娥、カタールオープンで朴美英(韓国)に敗れるなど、カット主戦型を苦手としている。現在、国家女子チームには范瑛しかカット主戦型がいないため、国家女子チームは急遽、オーストリアのクラブチーム・フロシュベルグでリュウ・ジャ、リ・チャンビンとともにプレーしている朱虹をチームに呼び戻すようだ。朱虹はかつて国家女子チームで金キョン娥の仮想選手も務めていたカット主戦型。3月9日から広東省中山市でスタートした35日間の集合訓練では、カット対策も重要な課題のひとつになるだろう。

Photo上:常勝軍団の手綱を執る施之皓監督
Photo下:身体能力・技術力ともに世界トップクラスの郭炎。まだひと花咲かせてほしい選手だ