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中国リポート

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「ぼくはすべての卓球ファンに保証しよう。皆さんが心配しているような〝譲球〟の問題は、ロンドン五輪では絶対に発生することはない!」

 これは国家男子チームの劉国梁監督が、微博(ウェイボー/マイクロブログ)に投稿した一文だ。なぜこのタイミングで、彼がこのような発言をする必要があったのか。それはとある卓球ファンからの、以下のようなコメントがきっかけだった。
「劉国梁監督、あなたという存在があってこそ、国家チームは栄光の歴史を重ねていけるのだと信じています。ただ一点だけ不安が残るのは、譲球の問題です。ロンドン五輪は、前評判どおりに王皓と張継科の決勝になるかもしれない。その時、どんな圧力がかかろうとも、決して譲球をするべきではありません」

 譲球(ランチウ)とは試合を譲る、つまり勝利者操作のことだ。
 卓球ファンからこのようなコメントが寄せられた背景には、現在中国スポーツ界を揺るがしているバドミントンの譲球問題がある。4月17~22日まで、中国・青島で行われた「2012アジアバドミントン選手権」。男子シングルス準決勝で、世界ランキング2位の林丹(中国)が故障を理由に棄権。チームメイトで同ランキング5位の陳金(中国)が決勝へ勝ち上がり、金メダルを獲得したのだ。

 ロンドン五輪でのバドミントンのシングルス出場枠は男女とも38名ずつ。その出場枠を決める上で、世界ランキング1~4位(2011年5月からの1年間に限定)に3名以上がランクインしていれば、1カ国につき3名がシングルスに出場できる。2位に林丹、3位に諶龍のふたりがいる中国男子は、5位の陳金を優勝させてランキング4位の座を確定させるため、林丹に勝ちを譲らせたのだ。それまでにも林丹は多くの国際大会で、同士討ちでの棄権を繰り返していた。

 「また譲球か」と報道陣に詰め寄られた国家バドミントンチームの李永波総監督は、「マスコミは良いニュースは流さないで、時々妙なところでアラ探しをする。どうして同士討ちで無理に試合をして、故障を悪化させる必要があるんだ?」と語気荒く発言。さらに「外国勢は譲球をやろうにもできないだろう。そんなに強い選手がたくさんいないんだから」と、譲球を誇るようなコメントすらしている。これには中国のマスコミやスポーツファンも過敏に反応、スポーツ精神に反するものだと各方面で議論を呼んでいる。ちなみに李永波は、18人(!)いる中国卓球協会の副主席(副会長)のひとりだ。

 卓球界ではほとんど行われなくなったと言われている譲球。しかし、五輪出場権を獲得するシステムがバドミントンと同じだったとしたら、国家卓球チームはどのような手段に出るだろうか?

Photo上:「ロンドン五輪ガチンコ宣言」を出した劉国梁