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トピックス

トップニューストピックス
●男子シングルス1回戦
林昀儒(チャイニーズタイペイ) −10、7、−10、3、3、4   張禹珍(韓国)

 世界10位の林昀儒と14位の張禹珍の対戦。林昀儒は前回のT2マレーシア大会の優勝者だ。お互い互角の展開でゲームカウントは2−2となり、FAST5に突入。攻める張禹珍と、柔らかいボールタッチで張の攻撃をかわしながら連続強打を放つ林。
 5、6ゲーム目を林が取り、激しい試合を制した。17歳ながら落ち着いた試合ぶりを見せた。

●女子シングルス1回戦
陳夢(中国) 4、5、7、3  馮天薇(シンガポール)

 一時期、勝てなくなっていた馮天薇が復活しつつある。不調と言うよりも33歳という年齢のための力の衰えかと思っていたが、世界ランキングを9位まで上げてきた。トレードマークだったちょんまげではなく、少年のようなショートカットにしたせいか、動きまで若々しく感じられる。
 馮天薇の上昇の秘密はコーチかもしれない。中国の国家チームを定年で引退した呉敬平コーチが馮天薇のベンチに座っている。この呉コーチは、かつて王皓、馬琳という世界チャンピオン、五輪金メダリスト、そして最近では樊振東を指導したカリスマコーチなのだ。
 一方、陳夢のベンチにはかつて呉敬平の教え子だった馬琳が座っている。女子選手にとってコーチの存在は大きい。両者のベンチは師弟対決となっていた。
 しかし、6月以降、世界1位の座を死守する陳夢の壁を馮天薇が突き崩すことは困難だった。ドライブの威力と言い、守りから攻めへの転換の早さと言い、陳夢に隙はなかった。「呉敬平マジック」も世界1位には通用しなかった。

●女子シングルス1回戦
田志希(韓国)  −3、5、9、−9、3、−3、3  平野美宇(日本)

 対戦成績では3勝0敗と平野美宇にとって分の良い相手の田志希。五輪代表レースで石川佳純と激しく争っている平野。その石川が前日1回戦で敗れているので、是が非でも勝ちたい一戦。1ゲーム目から平野の集中力は素晴らしく高い。11−3でゲームを先取。
 2ゲーム目、平野が打ち急ぐ場面もあり、終始、田志希がリードして11−5で取り返す。
 3ゲーム目は一進一退。7−7から田志希が離し、11−9で連取。いつもの平野のプレーではない感じがする。
 4ゲーム目、5−5、6−6、7−7から田志希がサービスミス。次を平野は攻撃で得点し、9−7とする。さらに3球目フォアドライブで10−7。10−9とされるも最後はフォアのカウンタードライブを決め、11−9として、ゲームカウントを2−2とした。
 5ゲーム目はFAST5になり、5本勝負。5−3で田が取る。チームワールドカップでも両者は対戦していたが、田の動きはこの日のほうが遙かに良い。
 6ゲーム目、スタートから平野は攻めまくる。5−3で取り返し、最終ゲームに突入した。
 7ゲーム目、いきなり長いラリーを平野が制し、1−0でスタートしたが平野のミスがあり、1−2。平野のバックドライブがクロスに決まり、2−2。3−3から次を平野は台上フリックのミス。最後は田のバックドライブが平野のブロックをはじき、5−3で田が平野を下した。
 試合後のミックスゾーンで、平野の目から涙がこぼれた。それは単なる悔し涙ではなく、重圧の中で自分のプレーができなかった、自分への怒りの涙だったのかもしれない。

 試合後の平野のコメント。
——試合を振り返ってどうですか?
「2ゲーム目の凡ミスが多かった。あまり前のことは考えないようにしたけど、良いゲームができる時とできない時の差が大きい。海外の選手からすれば単なる試合でも、私たちはプレッシャーがかかっている。その時に全然自分のプレーができない、こんなんじゃ(五輪へ)出場しても……今のままじゃだめだと思うので、あと2大会に賭けたい。次の試合(北アメリカオープンとワールドツアーグランドファイナル)に向けて死ぬ気で卓球に賭けるように頑張りたい。同じような負けはしたくない」

——1ゲーム目は相当集中していた。しかし、同時に重圧が大きかったのか?
「1ゲーム目は良かったけど、2ゲーム目に自分にミスが出たら相手の調子が上がってきた。ずっと同じように心を保てたら勝てたと思う」

——最終ゲームの前の心理は?
「負けている時には思い切ってできるのに、リードしたり、3−3になった時に勝ちたい気持ちが出てきてしまう。打ち急いだり、単調になってしまう」

——前日、石川さんが負けたことが心理的に影響はありましたか?
「私が今日勝っても負けてもリードしている状態なので、思い切ってできるかなと思うけど、今日は焦ってしまったり、(ボールを)入れにいってしまうことがあった。あと2大会で決まるので、どれだけ自分のプレーができるか、成長した自分を見せたい」