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2017世界卓球デュッセルドルフ大会速報

 大会が進行してくると、連日深夜にホテルに戻り、カップ麺をすすりながらの作業になる王国取材班。到着初日から、まだまだ高いお日様に誘われて、デュッセルドルフの旧市街・アルトシュタットまで足を伸ばしてみました。

 路地裏までなかなか趣きある街並みが広がるアルトシュタット。ライン川の川辺に出れば、たくさんのテラス席が並べられて大賑わい。その一角に陣取れば、吹き抜ける川風が最高です。

 ドイツ伝統の「ヴァイツェン」ビールの爽やかな味わいにもシビレましたが、それにも増して美味だったのがドイツ語で言うところのカルトッフェル、ジャガイモですね。ちょい太めでカリッと揚げられたそのジャガイモの味の濃さ、さすが本場です。
 ちなみに編集部・中川がフライドポテトを買った店の店員は「中国人かい? なに日本人! 今日はアジア人のお客さんはキミが初めてだけど、それが日本人だなんてメチャクチャうれしいぞ!」とノリノリだったとのこと。しばらくしてポテトを「お代わり」に行ったら、「ひとりでもう食ったのか!」とビックリしていたとのこと。4人で奪い合うように食べましたよ。

 アルトシュタットでは老いも若きもビール、ビール!
 金曜日の夜の解放感にあふれていました。みんなちゃんと世界選手権も見に来てくれるかな。ちょいと卓球の話題からは外れますが、デュッセルドルフはこんな街です。
  • アルトシュタットの美しい街並み

  • ちょいとタイムスリップした感覚です

  • ライン川沿いは人がいっぱい!

  • 皆さん大いに盛り上がっている様子

  • ヴァイツェンビール、素晴らしい!

  • 王国取材班を感激させたフライドポテト

 卓球王国取材班4名、世界選手権の開催地であるデュッセルドルフに到着しました! 
 5月26日11時に成田空港発のNH(全日空)209便に乗り、約12時間の空の旅を経てデュッセルドルフへ。日本との時差は−7時間、ただいま現地は26日の17時30分ですが、まだ太陽がガンガン照りつけて相当暑いです。気温は26度とのことですが、もっと暑く感じます。

 メディア用のホテルは空港からタクシーで10分とかからない距離。フロントのお姉さんのわかりやすい説明とスムーズなチェックインに、「さすがドイツ!」と感心する取材班一同。

 現地では28日にシード選手のドロー、開会式や記者会見などが行われ、29日から競技がスタートします。それまでは先日の公開練習&記者会見での、お伝えしきれなかった選手情報や、このデュッセルドルフでの卓球情報などをお伝えしていきます。まずは無事に到着しました、ということで……。

 現地でしか手に入らない、少々マニアックな情報もどんどんお伝えできるよう、頑張ります!
  • デュッセルドルフ国際空港のオブジェ。ヨーロッパっぽいです

  • 照りつける日差し、18時近くになってもまだまだ暑い

  • ホテルの部屋はシンプルかつ広いです

 4月のアジア選手権で丁寧・朱雨玲・陳夢と中国勢を連破して優勝を飾ったことで、帰国後は報道陣からの取材の申し込みが殺到したという平野美宇。5月のNT合宿は、基本的に取材はシャットアウトしたというほどの加熱ぶりだった。その中にあっても平野は「前より少しでも自分のことを対等に見てくれるとしたら、十分にうれしい。昔では考えられなかったことですから」と肩の力の抜けたコメント。……と思いきや、「自分は中国選手を完全に越えたいと思っているので、今大会でそれを証明できたらいいかなと思っています」と負けん気の強さをのぞかせる。さすがアジア選手権の丁寧戦で、何度も相手のマッチポイントを跳ね返し、勝利をつかんだだけのことはある。

 女子NTの馬場美香監督は、平野のアジア選手権での勝利の中でも、丁寧戦での勝利が大きかったと指摘する。「平野は丁寧が苦手だ、苦手だと言っていた。だけどラリー展開や攻め方次第でチャンスはあると思っていた。勝利の最大の要因は、リードされても試合をあきらめなかったことですね」。これまで一方的なスコアで敗れる試合が多かった丁寧に対し、5ゲームズマッチとはいえ初勝利を収めたことは、彼女にとって大きな自信になったはずだ。

 「ダブルスとシングルスの2種目あるので、その両方でメダルを獲得できるように頑張りたい。まずメダルを獲得して、そのうえでもっと上を目指せればいいかなと思います」と語る平野。ダブルスのパートナーは、これまで組んできた伊藤美誠ではなく、石川佳純。平野はこれまで、女子複や混合複で左利きの選手とペアを組んだ経験がほとんどないが、東京五輪を見据えたこのペアリングで成績を残せれば大きな意味を持つ。大会前にドイツ・グレンツァオで行う調整合宿でも、コンビネーションの向上に努めて大会に臨む。
  • 平野美宇、世界選手権でも旋風を巻き起こす!

  • 17日の記者会見ではリラックスした表情

  • 公開練習の終了後、馬場監督(右)からアドバイスを受ける平野

 昨年のリオ五輪で団体銀メダル、シングルス銅メダルを獲得し、一躍時の人となった水谷隼。今大会前は5月8・12日にヨーロッパチャンピオンズリーグの決勝を戦い、15日朝に帰国してNT合宿に合流するハードなスケジュールだったが、ヨーロッパチャンピオンズリーグの通算成績は驚異の16勝0敗(対戦相手の棄権も含む)。見事にチームを2シーズンぶり4回目の優勝へと導き、「プレーも納得できる内容だったし、特に疲れもないです」と充実ぶりを感じさせた。
 「今までは世界選手権の前は、結構不安も多かった。他の国にも強い選手がいるし、まずは準々決勝までいって中国選手と当たることが目標という感じでしたけど、今は他の国の選手には負ける雰囲気はない。かなり自信がありますね」(水谷)

 「精神的にはオリンピックのシングルスのメダルを獲ったことで、非常に解放された部分があると思います。今まであった中国アレルギーや、個人戦でメダルを獲れなかったことへのコンプレックスがなくなったことで、今は非常に落ち着いてプレーができる」。そう語るのは、男子NTの倉嶋洋介監督だ。「五輪後にモチベーションを保つのが難しい期間はあったと思いますが、その中でチャンピオンズリーグという大会を生活の一番前に置いて、そこで素晴らしい結果を出して世界選手権を迎えることができている」。

 水谷自身が語る、ここ1年で最も伸びたポイントは台上プレーだ。近年、世界の卓球界ではチキータでのレシーブが大流行したが、対チキータのカウンターなどが発展してきたことで、不用意なチキータは逆に不利な展開を招くようになっている。「ぼくや五輪チャンピオンの馬龍はほとんどチキータをしない。今はチキータをしない選手のほうが逆に有利かなというのを感じています。ぼくはチキータ以外の台上プレーもすごく自信があるので、そこがレシーブで先手を取れている理由かなと思います」。

 そして今回、世界選手権では初のお目見えとなりそうなのが、ヨーロッパチャンピオンズリーグでテストしていた投げ上げのYG(逆横回転)サービス。「まだ名前は決めてないですけど(笑)、たぶん世界では今、ぼくだけしか使っていない。これから自分の一番の武器になってくるサービスじゃないかなと思います」。投げ上げサービスは会場の照明や空調に左右されるため、15年世界選手権後はしばらく封印していたが、この新サービスは貴重な「隠し玉」になるかもしれない。
  • 前々日に帰国した疲れを感じさせなかった、公開練習での水谷

  • 「中国以外の選手には負ける雰囲気はない」と頼もしいコメント

 5月29日の開幕が目前に迫ってきた世界選手権個人戦デュッセルドルフ大会。日本選手団は5月23日に日本を出発し、現在はドイツ・グレンツァオで調整合宿を行っている。各代表選手のデータについては、速報ページトップの「日本代表選手」のコーナーをご覧いただくとして、今大会の各種目へのエントリーを改めてチェックしておこう。

●男子シングルス(5名)
水谷隼(木下グループ)
丹羽孝希(スヴェンソン)
松平健太(ホリプロ)
村松雄斗(東京アート)
張本智和(JOCエリートアカデミー)

●女子シングルス(5名)
石川佳純(全農)
伊藤美誠(スターツSC)
加藤美優(日本ペイントホールディングス)
平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)
佐藤瞳(ミキハウス)

●男子ダブルス(2組)
大島祐哉/森薗政崇(エースクルーエンタテインメント/明治大)
吉村真晴/丹羽孝希(名古屋ダイハツ/スヴェンソン)

●女子ダブルス(2組)
石川佳純/平野美宇(全農/JOCエリートアカデミー/大原学園)
伊藤美誠/早田ひな(スターツSC/希望が丘高)

●混合ダブルス(2組)
吉村真晴/石川佳純(名古屋ダイハツ/全農)
田添健汰/前田美優(専修大/日本生命)

 男子の田添・張本、女子の佐藤・加藤・前田が世界選手権初出場だ。
  • 日本選手団最年少は張本智和。大会開幕時は13歳11カ月