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2017世界卓球デュッセルドルフ大会速報

★大会第3日目・5月31日 日本選手の試合開始時間

●女子シングルス1回戦
10:00(日本時間17:00) 佐藤瞳 vs. A.ムケルジ(インド)
11:00(日本時間18:00) 石川佳純 vs. クマハラ(ブラジル)
12:00(日本時間19:00) 平野美宇 vs. オショナイケ(ナイジェリア)
13:00(日本時間20:00) 伊藤美誠 vs. グイ・リン(ブラジル)
13:00(日本時間20:00) 加藤美優 vs. チャン・シュアン(スペイン)

●男子シングルス1回戦
14:00(日本時間21:00) 村松雄斗 vs. ストヤノフ(イタリア)
14:00(日本時間21:00) 水谷隼 vs. 林兆恒(香港)
15:00(日本時間22:00) 張本智和 vs. ニュイティンク(ベルギー)
16:00(日本時間23:00) 丹羽孝希 vs. レベンコ(オーストリア)
17:00(日本時間24:00) 松平健太 vs. Da.ハベソーン(オーストリア)

●女子ダブルス2回戦 18:00(日本時間・6月1日1:00)
平野/石川 vs. マンツ/ワン・ユアン(ドイツ)
早田/伊藤 vs. 金キョン娥/徐孝元(韓国)

●男子ダブルス2回戦 18:45(日本時間・6月1日1:45)
森薗/大島 vs. カラカセビッチ/ワン・ツォンイ(セルビア/ポーランド)
丹羽/吉村  vs. プレテア/スッチ(ルーマニア)

●女子シングルス2回戦 
19:30(日本時間・6月1日2:30)
20:30(日本時間・6月1日3:30)

大会第3日目、日本選手関係のタイムテーブルは上記のとおり。男女シングルス1回戦がスタートする。シングルスで他にも注目の対戦カードがあれば、随時お伝えしていきます!
●混合ダブルス2回戦
田添/前田 7、ー9、ー10、10、3、ー11、5 コネツニー/マテロバ(チェコ)
吉村/石川 4、7、4、ー11、ー8、9 カンテロ/シャオ・マリア(スペイン)

混合ダブルス2回戦、快勝の1回戦とは対照的に、日本勢は苦戦を強いられた。

田添/前田ペアはマテロバ独特の弧線の高いボール、伸びる粘りのボールにリズムを作れず、ゲームを先行されてしまう。しかし、そこは数々の戦型を相手にしてきた全日本王者ペア。6ゲーム目にマッチポイントを握りながら逆転を許したが、最終ゲームは気合いのラリーで勝利をもぎ取った。
 
 「女子のボールが飛んでこないので、ぼくがタイミングが合わなかった。バックに打つと中陣で伸ばされて、前田が打ちづらかったので、途中からフォアに打ったら展開が良くなりました。簡単には勝てないと思っていました」(田添)。
 「めちゃくちゃ緊張しました。ヨーロッパの選手は台上はそれほどでもないけど、ラリーがうまくて返ってくる。ロビングなど、回転をかけたり、ゆっくり伸ばしてきたり、やりづらかった」(前田)
 
 一方、石川/吉村も快調に3ゲームを連取しながら2ゲームを取り返され、出足から声を出して気合いを入れ直して6ゲーム目も8ー4から8ー9と逆転を許した。ここを11ー9と再逆転して勝利したが、右ペン表ソフトのカンテロの変化サービス、左腕のシャオ・マリアの前陣カウンターに苦しめられた。「出足はすごく良くて、4ー0で勝てるペースだった試合ですけど、勝ったかなと思ってしまってから苦しいプレーが増えた」と試合後の石川。油断が出るのが、逆にこのラウンドで良かったかもしれない。これで兜の緒を締め、3回戦に臨むことができる。混合ダブルスは明日は試合がなく、3回戦は明後日の6月1日に行われる。
  • 田添/前田、苦しみながらもベスト16進出

  • 吉村/石川は世界選手権の怖さを改めて実感

  • 吉村/石川を苦しめたスペインペア。カンテロのテクニックは健在!

●男子ダブルス1回戦
大島/森薗 7、5、8、11 フレイタス/ガチーナ(ポルトガル/クロアチア)
吉村/丹羽 4、4、8、6 ゴメス/ラマドリッド(チリ)

男子ダブルス1回戦、吉村/丹羽はチリのペアを難なく下したが、厳しいドローになったのは第1シードの大島/森薗。「予選に出ている中で一番強いペア」(森薗)が下に入ってきた。短い時間の中でも、映像班がフレイタス/ガチーナのプレー映像を準備し、田㔟コーチと3人で分析・対策に当たったという。中陣に下がるとうるさいヨーロッパペアを、コースの読みにくい森薗のバックハンド、大島の強力なフォアドライブで仕留めた。4ゲーム目は8ー10、10ー11と3回もゲームポイントを握られたのだが、苦しい場面になるほど1球への集中力の高さが光っていた。

木下グループとの所属契約を結んだことが伝えられた大島は、この契約について「木下グループさんと契約できて、良いチームメイトに恵まれているし、良い卓球場も建てていただける。また新たな気持ちでプレーできることに感謝しています」とコメントした。第1シードとして臨む今大会の男子ダブルス、「かなり研究されているけど、それ以上のプレーをすれば絶対に相手に勝てる。それをこれからも続けていきたい」と力強く語った。
  • 大島/森薗、冷静かつ集中力の高いプレーを披露

  • 吉村/丹羽は危なげない勝利

  • 大島/森薗に敗れたフレイタス(左)/ガチーナ

  • ボル(左)/馬龍も1回戦を突破

●女子ダブルス1回戦
石川/平野 ー9、7、8、ー3、8、6 S. サウェータブット/パラナン(タイ)
伊藤/早田 7、10、6、8 アシュワンデン/クマハラ(スイス/ブラジル)

日本勢、女子ダブルスでも2ペアとも1回戦を突破!

先に試合が終わったのは伊藤/早田。同学年のライバルでもあるふたりだが、初戦の難敵を4ー0で下した。動きのキレはやや鈍く、決して本調子ではなかったが、要所をしっかりと締めるあたりはさすが。試合に入り込みすぎずに、ラリー間でも笑顔が見えた。途中、ゲームカウント3ー0になった時点で試合が終わったと勘違いしてハイタッチするシーンもあるなど、良い意味で力が抜けていた。
「初めての世界選手権ですけど、美誠がいるので自信を持ってプレーできました。相手が台から距離を取ってくるタイプで、ミスが多かったのでふたりで距離を調整した」(早田)。「自分の調子は全体的に悪かったけど、ひなが調子が良くて助かりました。ボールをしっかり入れることを意識しました」(伊藤)。

一方、石川/平野はタイのペアに最後まで食い下がられ、苦戦。まだサービス・レシーブでのお互いの待ちが悪く、3球目・4球目攻撃にスムーズに移る場面が少なかった。「お互いのボールのことを考えすぎて、途中からもっと思い切って自分たちの良いところを出していこうと。最初はちょっとヒヤヒヤしたけど、勝てて良かったです」(平野)。しばらくは手探りのプレーが続きそうだが、実戦の中でコンビネーションを高めてほしい。
  • 石川/平野を苦しめたタイのS. サウェータブット/パラナン

 カジノでの借金スキャンダルが持ち上がり、審査を受けるために帰国した孔令輝・中国女子監督。中国チームの劉国梁総監督は、女子の監督代理として李隼コーチを起用する意向を示した。
 「3人の大満貫(五輪・世界選手権・ワールドカップでの優勝)を育てるなど、李隼は非常に経験豊富で実績を残しているコーチだ。女子チームでも長く指導に当たり、女子チームの選手について、そしてライバル選手についても熟知している。私も女子チームの指導に優先順位を置くつもりだ」(劉国梁)

 これまでに王楠、張怡寧、李暁霞らを指導してきた李隼コーチは現在53歳で、元中国代表・日本代表の羽佳純子さんの実兄。国家チームでプレーした経験がないにも関わらず、国家チームのコーチとなった異色の存在だ。
 現在の規定では、国家男女チームの監督には世界チャンピオン、もしくは五輪チャンピオンでなければ、なることができない。すでにコーチとしては圧倒的な実績を示しながら、李隼コーチには監督への道は開かれていなかったが、臨時のピンチヒッターとはいえ、思わぬ形で監督の座が巡ってきたことになる。
  • 大会前の練習で、自らラケットを握った李隼コーチ

●混合ダブルス1回戦
吉村/石川 8、4、5、1 カニン/トリゴロス(ベラルーシ)
田添/前田 4、4、5、7 ディヤス/グルジボウスカ(ポーランド)

待ちに待った日本選手の初戦!
混合ダブルス1回戦は吉村/石川、田添/前田ともにストレート勝ちで2回戦進出だ!

吉村/石川は、第2ゲーム4ー3から9ー3、第3ゲーム2ー4から8ー4と中盤での連続得点でペースを握った。石川にややレシーブのミスが出たが、吉村が堅実なプレーでアシスト。豪快に振り抜かずとも、吉村の両ハンドドライブには十分な球威がある。正確にコースを突いて得点を重ね、要所でのサービスエースで石川をアシスト。これに引っ張られて、石川も次第に調子を上げた。

田添/前田は苦戦が予想された相手だったが、サービス・レシーブからラリー戦まで凡ミスがほとんどなく、ダブルスとしての完成度を見せた。「相手は割ときれいなボールでやりやすかった。試合に入る前は緊張で吐きそうだったけど、コートに入ったらワクワクしてきて、緊張もなくそのまま戦えました」(田添)。ディヤスの威力ある両ハンドドライブも、田添がカウンターで完璧に対応。ほとんどリードを許さずに勝利を収めた!
  • 吉村/石川、安定感のあるスタートを切った

  • 田添/前田、全日本混合複3回優勝はダテじゃない

  • 日本ペアに敗れたディヤス/グルジボウスカ

  • 地元期待の方博/ゾルヤはアメリカペアに4ー3で辛勝

 大会第2日目の今日は、たくさんの子どもたちが会場を訪れている。近所の小学校の課外活動の一環なのか、先生たちに引率されてワイワイと賑やかなこと。どういう形であれ、卓球大会に子どもたちがたくさん来てくれるのはうれしい。卓球体験のコーナーでは、どの子も全力で卓球を楽しんでいる。……ピンポン球でサッカーやバスケットボールをやっている子もいますが。

 サブアリーナにもたくさんの子どもたちが観戦に訪れていて、その雰囲気はむしろメインアリーナより熱気を帯びている。そしてなぜか、子どもたちの声援を一身に集める「ワン・デイ・ヒーロー」が現れるのが、世界選手権の予選ラウンドの「あるある」なのだ。
 今大会で、サブアリーナの子どもたちから大声援を浴びていたのが、トルコのメンゲ/ウルカク。ロシアの強豪ペア、シバエフ/スカチコフと激闘を演じ、惜しくも敗れた瞬間には頭を抱えて悲しむ子どもたちが続出。トルコペアにとっては、敗れたとはいえ清々しい思い出になったのではないか。

 下写真の3枚は、ウルグアイのマリア・ロレンゾッティ。ウルグアイでは家族ぐるみで卓球クラブを運営しており、兄のゴンザロも今大会にプレーヤーとして出場している。両ハンドで粘り強くラリーを展開するタイプだが、サービスの構えはまさに「女・オフチャロフ」という感じだ。
  • 子どもたちのヒーローとなったトルコペア

  • 敗戦の瞬間、みんなショック……

  • ロレンゾッティ、フォアのしゃがみ込みサービス

  • バックもここまでしゃがみます

  • 台の下に隠れるくらい低い体勢!

 ここデュッセルドルフは、日本から多くの若手選手が武者修行に訪れ、腕を磨いて世界へと羽ばたいていった街。ボルシア・デュッセルドルフでプレーした坂本竜介、岸川聖也、水谷隼をはじめ、DTTZ(ドイツ卓球センター)を練習拠点としていた選手も高木和卓、村守実、吉村真晴など数多い。忘れちゃいけない、日本人ブンデスリーガー第1号の松下浩二さんもいます。

 そしてデュッセルドルフは、ヨーロッパで3番目に多い日本人コミュニティを有する街。約5000人の日本人が住み、日本食レストランやラーメン屋も多い。デュッセルドルフを10回は訪れており、自称「食については一切の妥協ができない男」編集部・中川に、日本選手が愛した「心の味」を紹介してもらいましょう。

 まず1軒目は、ボルシア・デュッセルドルフの練習場であるDTTZの近くにあるカフェ「RIKA」。店内はまさにカフェ、お洒落な雰囲気の中で、美味しいラーメンがいただけます。
 「DTTZから日本人街まで出ようとするとタクシーで10分くらいかかるし、お金もかかるけど、リカは徒歩5分で行けるのが大きい。日本人選手はみんなお世話になる店で、味噌ラーメンと餃子、かにチャーハンは絶品。今大会の開幕前、吉村(真晴)くんもこの店を訪れてます」(中川)

 続いてはそのデュッセルドルフの日本人街、インマーマン通りにある「串亭」。すぐ近くにあるホテル・ニッコー・デュッセルドルフは、中国選手や韓国選手の宿泊先になっており、中国選手も夜な夜な訪れて栄養補給をしている。昨日も許シンと樊振東、周雨がラーメンをすすっておりました。
 「串亭はドイツにいながらして、阿佐ヶ谷や高円寺(どちらも東京です)の居酒屋にトリップしたかのような空間。今まで25カ国を訪れて、たくさんの日本食を食べたけれど、断トツという言葉では言い表せないくらいの存在。どこでも無意識のうちにその国のエッセンスが入ってしまうけれど、串亭だけは違う。特にさば塩とちくわの磯辺揚げは涙モノ」(中川)

 レベルの高いデュッセルドルフの日本食。こちらにお越しの際は、ぜひどうぞ!
  • 日本の若者たちを支えるRIKAの味噌ラーメン

  • RIKAは餃子も絶品です

  • インマーマン通りの串亭、店内は日本の居酒屋そのもの。何でも美味!

  • 串亭の料理、締めのカツカレー(byゆう)、しかも食べかけでスミマセン

 明日、国際卓球連盟(ITTF)の年次総会(AGM)が開かれるが、連盟の歴史上、大荒れの総会になるかも、と言われている。
 まずは会長選。現職のバイカート会長(ドイツ)と元ヨーロッパチャンピオンのJ.セイブ氏(ベルギー)との一騎打ちの対決。3番目の候補だったアル・モハンナディ氏(カタール)が会長選を降り、副会長選に回ることがわかっているが、彼が持っていたであろうアフリカ票や中東票がバイカートかセイブ、どちらに流れるのか。

 現状、バイカート会長が有利と言われているが、こればかりはふたを開けてみないとわからない。セイブの背後で動いている前会長のシャララ氏の影響力がどこまで強いのか。不確定要素が多い。ここまで激しく争われるのは、1987年の当時の会長エバンス氏(ウエールズ)と日本の荻村伊智朗との対決以来のことだ。
 また副会長選には8名の枠に14名が立候補すると言われており、日本の前原正浩氏が立候補、8名の中に入るだろうと言われているが、結果が気になる。

 この総会では、議題のひとつに「ラケットの素材自由化」がある。発祥して120年以上経つ卓球の歴史の中で、木材メインのラケットが大きく変わるのか、票を投じる世界中の協会の代表者がことの重大さを認識しているのか大いに疑問だ。

 政治色一色に染まりそうな今回の総会は、実は将来の卓球界を変える大きな提案と向き合わなければいけない。素材自由化になった時の卓球市場の混乱や、卓球というスポーツの方向性を、現実問題として心配しているのは我々卓球専門メディアや卓球メーカーだろう。現地にいても役員、一般メディア、メーカーの人たちの間でも相当な温度差があることを感じる。ある卓球メーカーの人たちは全く無頓着。素材自由化で、将来、いくつかの卓球メーカーがなくなる可能性もあるかもしれないというのに……。
  • 現職のITTF会長として、J.セイブ氏との一騎打ちに臨むバイカート氏

 5月30日付けのスポーツ紙上で、木下グループは4月に発表した水谷隼に加え、世界選手権日本代表の松平健太、大島祐哉、張本智和を広告の中で紹介。同時に同社のホームページでも所属選手として紹介し、事実上、3選手と契約したことを発表した。

 世界選手権のようなビッグゲームの期間中に所属契約を発表することは異例のこと。5月17日の公開練習、記者会見の時には各選手の所属は旧来のままだった。世界選手権のスポーツ紙の記事とのタイアップ企画で契約タイミングをあわせる形となったが、広告は別にしても大会前の契約発表のほうが周知された気もする。

 いずれにしても、今大会、男子代表9名中、4選手との契約を締結した木下グループ。工務店、賃貸、介護などのビジネスで成長を続ける同社は今までフィギアスケートや、映画ビジネスへの支援を続けてきたが、今回の契約を機に、本格的に卓球選手のサポートをスタートする。
また、来年始まるであろう「Tリーグ」への参戦の意思も示しており、卓球界でも重要な役割を果たす企業になるだろう。