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 5月15〜19日にタイ・バンコクでITTFジュニアサーキット・タイオープンが開催。日本からは高体連派遣の選手も含め、男子8選手、女子6選手が参加し、日本はジュニア女子団体で準優勝、カデット女子団体ではルーマニアとの混成チームで3位入賞を果たした。
 今大会、10種目中6種目で中国がタイトルを獲得したが、ジュニア男子シングルスでは開催国・タイのパナギトグンが活躍し、決勝で劉夜泊(中国)とのゲームオールの接戦を制しタイトルを獲得した。

 大会の優勝記録と日本選手の上位記録は以下のとおり。 

■ITTFジュニアサーキット・タイオープン記録
●ジュニア男子シングルス優勝:パナギトグン(タイ)
●ジュニア女子シングルス優勝:蒯曼 (中国)
● ジュニア男子団体優勝:中国  
● ジュニア女子団体優勝:中国 2位:日本(福岡乃愛、稲吉美沙、麻生麗名)
●カデット男子シングルス優勝:ラフィニュア(ドイツ)
●カデット女子シングルス優勝:蒯曼(中国) 
● カデット男子団体:中国 
● カデット女子団体:中国 3位:日本/ルーマニア混成(直江杏、山﨑唯愛、ザハリア)
● ホープス男子シングルス優勝:タン(シンガポール)
●ホープス女子シングルス優勝:ゴーダ(エジプト)
 5月14〜18日にクロアチア・ザグレブでITTFチャレンジ・クロアチアオープンが開催され、女子シングルスで木原美悠(JOCエリートアカデミー)が優勝を果たした。木原は長﨑美柚(JOCエリートアカデミー/大原学園)と組んだ女子ダブルスでも優勝し今大会2冠を獲得した。

 女子シングルスで木原は準々決勝のA.ディアス(プエルトリコ)戦で競り合いながらも3つのジュースを制し4-0のストレートで勝利すると、準決勝ではダブルスのパートナー・長﨑に2ゲームを先取されてから逆転で勝利し決勝に進出。決勝では世界選手権ベスト8の加藤美優(日本ペイントホールディングス)をゲームオールで下し、タイトルをつかんだ。木原は長﨑との女子ダブルスでも決勝で世界選手権銅メダルのカットペア・橋本帆乃香/佐藤瞳(ミキハウス)を3-1で破り、前週のスロベニアオープンに続き2連覇を達成した。

 男子シングルスでは戸上隼輔(野田学園高)が3回戦で森薗政崇(岡山リベッツ)を4-1で下し日本選手で唯一、準々決勝に進出したものの、荘智淵(チャイニーズタイペイ)に1ゲームを奪うにとどまり、ベスト8に終わった。男子の優勝はシェルベリ(スウェーデン)。準決勝で荘智淵を下すと、決勝ではK. カールソン(スウェーデン)との同士討ちを制し、頂点に立った。

 また、男子ダブルスでは戸上隼輔/宇田幸矢(/JOCエリートアカデミー/大原学園)が優勝。宇田は男子アンダー21でも頂点に立ち、2つのタイトルを獲得した。

 各種目の優勝記録と日本選手の上位記録は以下のとおり。

■ITTFチャレンジ・クロアチアオープン記録
●男子シングルス優勝:シェルベリ(スウェーデン) 
●女子シングルス優勝:木原美悠 2位:加藤美優 3位:長﨑美柚、大藤沙月
● 男子ダブルス優勝:戸上隼輔/宇田幸矢
● 女子ダブルス優勝:木原美悠/長﨑美柚 2位:橋本帆乃香/佐藤瞳 3位:大藤沙月/芝田沙季
●男子アンダー21優勝:宇田幸矢
● 女子アンダー21優勝:スン・ジャーイ(クロアチア) 2位:相馬夢乃 3位:出澤杏佳
 5月10日よりスタートした春季関東学生リーグ戦1部が本日終了。男子は明治大、女子は早稲田大がともに4季連続となる優勝を果たした。

【男子1部】
1位:明治大(7勝0敗)
2位:早稲田大(6勝1敗)
3位:専修大(5勝2敗)
4位:中央大(3勝4敗)
5位:筑波大(3勝4敗)
6位:法政大(2勝5敗)
7位:日本大(1勝6敗)
8位:駒澤大(1勝6敗)
※4・5位、7・8位は勝敗で並んだため直接対決の勝者が上位
☆1部殊勲賞:沼村斉弥(明治大)

●1・2位の対戦
<明治大 4-3 早稲田大>
○龍崎 7、7、5 岩永
 出雲 -7、4、8 -8、-8 緒方○
 遠藤 -18、-8、8、-10 五十嵐○
○龍崎/沼村 10、3、6 硴塚/緒方
 西 5、10、-4、-5、-9 葉波○
○沼村 8、-5、8、10 川上
○菅沼 -8、10、-8、13、11 硴塚


【女子1部】
1位:早稲田大(6勝1敗)
2位:中央大(6勝1敗)
3位:青山学院大(6勝1敗)
4位:東京富士大(3勝4敗)
5位:日本大(3勝4敗)
6位:専修大(2勝5敗)
7位:日本体育大(1勝6敗)
8位:大正大(1勝6敗)
※1~3位は勝敗で並んだため3校間での得失マッチで順位を決定。4・5位、7・8位は勝敗で並んだため直接対決の勝者が上位
☆1部殊勲賞:鎌田那美(早稲田大)

●1・2位の対戦
<早稲田大 4-0 中央大>
○岩越 5、-8、7、7 瀬山
○笹尾 5、7、9 山本
○笹尾/岩越 5、4、4 瀬山/山本
○鎌田 -10、9、11、9 梅村


 男子は明治大が全勝優勝。昨日行われた早稲田大との試合はラストまでもつれ、早稲田大が勝利すれば優勝が決定、という瀬戸際まで追いつめられる。しかし、今季リーグ戦デビューの菅沼湧輝が4度のマッチポイントを跳ね返し、大逆転で硴塚将人を下す殊勲の勝利で優勝の可能性をつないだ。勢いそのままに迎えた今日の専修大戦、トップで相手エースの及川瑞基に先手を奪われたが、2番で龍崎東寅が取り返しタイに戻す。3番に出場の明治大・遠藤竜馬も専修大・遠藤碧人に最終ゲーム終盤までリードを許しながらも逆転で勝利すると、ダブルスも奪って王手。最後は西康洋が昨秋に続いて三部航平を下し優勝を決めた。
 早稲田大は2012年秋季以来のリーグ優勝まであと「1点」に迫ったが、悔しすぎる準優勝。飛び抜けたエースこそいないが、葉波啓が5戦全勝の活躍を見せるなど、総力戦で勝利を重ねた。

 女子は3校が勝敗で並ぶも、今日行われた中央大との直接対決に4-0で快勝した早稲田大が王座を守り切った。最終戦を前に、中央大が6勝0敗(vs.青山学院大:4-0で勝利)、早稲田大(vs.青山学院大:3-4で敗戦)と青山学院大(vs.早稲田大:4-3で勝利、vs.中央大:0-4で敗戦)が5勝1敗で追う展開だったが青山学院大は昨日の中央大との試合で優勝の可能性が消滅。中央大は早稲田大に勝利or青山学院大が勝利した場合は早稲田大戦で敗れても2マッチを奪えば優勝、早稲田大は中央大に勝利して青山学院大が敗れるor青山学院大が勝利した場合は4-0もしくは4-1で中央大に勝利すれば優勝という条件のもと最終戦がスタートした。
 優勝には勝利が絶対条件の早稲田大、今日は前半で笹尾明日香、岩越帆香の2年生コンビが3得点を奪う大車輪の活躍。王手をかけた4番では主将の鎌田那美が梅村優香にリードを奪われながらも冷静に逆転勝利。勝つだけでなく、得点を与えられないプレッシャーの中で見事な4-0勝利で優勝を決めた。
 最終戦まで唯一全勝を守っていた中央大は4季連続で早稲田大に敗れて2位。2016年春季には3部まで降格していた青山学院大は戦力が整い、2000年秋季以来の優勝に近づく堂々の首位争いを演じた。
  • 男子1部優勝:明治大

  • 女子1部優勝:早稲田大

  • 早稲田大戦で窮地を救った菅沼

  • 逆転優勝を決めた鎌田。2季連続の殊勲賞

  • 殊勲賞の沼村(左)はダブルス7戦全勝

  • 中央大戦は笹尾(右)/岩越の2人が怒濤のロケットスタート

  • 7年ぶりの優勝に一歩だった早稲田大。主将・硴塚、あと1点に泣く

  • 中央大は今季も早稲田に屈す。写真は瀬山(左)/山本

 4月27日よりスタートした春季関西学生リーグ戦が昨日終了。男子は関西学院大が全勝で3連覇、女子は3校が6勝1敗で並んだが、取得マッチ数で抜け出した関西学院大が7季ぶりの優勝。関西学院大のアベックVは史上初。

【男子1部】
1位:関西学院大(7勝0敗)
2位:立命館大(6勝1敗)
3位:大阪経済法科大(3勝4敗)
4位:龍谷大(3勝4敗)
5位:京都産業大(3勝4敗)
6位:関西大(2勝5敗)
7位:同志社大(2勝5敗)
8位:近畿大(2勝5敗)
※3~5位は勝敗、3校間でのチームとしての取得マッチで並んだため3校間の個人試合の取得ゲームで順位数を決定。6~8位は勝敗で並んだため3校間での取得マッチで順位を決定
☆1部殊勲賞:大西尚弥(関西学院大)

【女子1部】
1位:関西学院大(6勝1敗)
2位:神戸松蔭女子学院大(6勝1敗)
3位:同志社大(6勝1敗)
4位:龍谷大(4勝3敗)
5位:立命館大(3勝4敗)
6位:近畿大(2勝5敗)
7位:関西大(1勝6敗)
8位:京都産業大(0勝7敗)
※1~3位は勝敗で並んだため3校間でのチームとしての取得マッチで順位を決定
☆1部殊勲賞:宮脇千波(関西学院大)


 男子は関西学院大が安定した戦いぶりを見せてリーグ戦3連覇。穴のない戦力でとりこぼしなく勝利を重ね全勝で王座を守り切った。2015年春季リーグで46年ぶりの優勝を果たしてから8季で6度の優勝と抜群の強さを見せつけている。また、名門・近畿大は3校間の勝敗で並んだ結果、最下位となり2部降格。また男子2部では国立の神戸大が優勝。昭和8年(1933年)に1部春季リーグを制した古豪(当時は神戸商科大)が1部に復帰となった。
 関西学院大、神戸松蔭女子学院大、同志社大の3校が並んだ女子は関西学院大が抜け出し、2度目の関西学生リーグ制覇。神戸松蔭学院大は関西学院大戦ラストで勝利すれば優勝だったが、関西学院大の主将・宮脇がゲームカウント0-2から試合をひっくり返し逆転優勝を決めた。ここ3年間、優勝を分け合ってきた神戸松蔭女子学院大、同志社大はわずかに及ばなかった。

 また、今季より関西学生卓球連盟ではプレー、応援も含めてのマナー向上を目指し「グッドマナー賞」と「フェアプレー賞」を新設。グッドマナー賞は男子は大阪経済法科大、女子は神戸松蔭女子学院大、フェアプレー賞は朝田茉依(同志社大)に贈られた。

●写真提供:関西学生卓球連盟/馬渡卓也
  • 男子1部優勝:関西学院大

  • 女子1部優勝:関西学院大

  • 男子1部殊勲賞:大西尚弥(関西学院大)

  • 女子1部殊勲賞:宮脇千波(関西学院大)

  • 男子1部2位:立命館大

  • 女子1部2位:神戸松蔭女子学院大

 5月8〜12日にスロベニア・オトーチェッツでITTFチャレンジ・スロベニアオープンが開催。日本からは男女各7選手が出場し、女子ダブルスで木原美悠・長﨑美柚(JOCエリートアカデミー/JOCエリートアカデミー/大原学園)が決勝で大藤沙月/芝田沙季(ミキハウスJSC/ミキハウス)をストレートで下し優勝を果たした。長﨑は女子アンダー21でも優勝し、今大会2冠を獲得した。

 男子シングルスでは神巧也(T.T彩たま)が3回戦でカットのフィルス(ドイツ)をゲームオールで下し上位に進出。準決勝では優勝したウェイ・シハオ(クロアチア)に敗れたものの3位入賞を果たした。女子シングルスでは大藤沙月(ミキハウスJSC)が準々決勝で長﨑との同士討ちをゲームオールジュースで制し準決勝へ進出。ペソツカ(ウクライナ)にはストレートで敗れたが3位に入った。女子の優勝はポータ(ハンガリー)。最終の第7ゲームのジュース戦を制してペソツカに勝利し、タイトルを獲得した。

 各種目の優勝記録と日本選手の上位記録は以下のとおり。

■ITTFチャレンジ・スロベニアオープン優勝記録
●男子シングルス優勝:ウェイ・シハオ(クロアチア) 3位:神巧也
●女子シングルス優勝:ポータ(ハンガリー) 3位:大藤沙月
●男子ダブルス優勝:ジョウティ/ツボイ(ブラジル)
●女子ダブルス優勝:木原美悠/長﨑美柚 2位:大藤沙月/芝田沙季
●男子アンダー21優勝:馮翊新(チャイニーズタイペイ) 3位:田原彰悟
●女子アンダー21優勝:長﨑美柚
 5月1〜5日にセルビア・ベオグラードでITTFチャレンジ・セルビアオープンが開催。日本からは男子8選手、女子4選手が参加し、女子シングルスで早田ひな(日本生命)が優勝を果たした。早田は準決勝でミハイロワ(ロシア)をストレートで、決勝では蘇慧音(香港)を4-1で破り優勝。チャレンジシリーズでは今季3勝目をあげた。
 男子シングルスでは田原彰悟と田中佑汰(いずれも愛知工業大)のベスト8が最高成績となった。

 各種目の優勝記録は以下のとおり。

ITTFチャレンジ・セルビアオープン優勝記録
●男子シングルス優勝:ドリンコール(イングランド)
●女子シングルス優勝:早田ひな 
● 男子ダブルス優勝:カルヴァーリョ/ジェラルド(ポルトガル)
● 女子ダブルス優勝:呉穎嵐/蘇慧音(香港)
● 男子アンダー21優勝:デ・ノドレスト(フランス)
● 女子アンダー21優勝:マラニナ(ロシア)
ITTFが試験的にラバーをラケットから剥がして検査。
用具ドーピングに歯止めをかけられるのか


 卓球の世界選手権(個人戦)ブダペスト大会の大会期間中、今後、一部のワールドツアーなどの大会で、新しいラケット・ラバーの検査方法をテストしていくことが決定した。ITTF(国際卓球連盟)の関係者への取材でわかった。
 これまでもラバーの厚さについては事前検査などでチェックしていたが、今回の新しい検査方法では、試合で敗れた選手に対してラケットからラバーをはがし、ラバーの厚さが規定の4mm以内に収まっているか、『ブースター』(補助剤)が使われていないかというチェックが行われる。

 『ブースター』とはラバーに塗り込むオイル系の液体で、『ブースター』を塗ることでラバー全体がほどよく軟らかくなり、弾性が増す。特に中国性の粘着力の強いラバーのように、硬くて強い回転のかかるラバーに塗り、ラバーを思い切り伸ばしながらラケットに貼ると効果は大きい。このブースターは一定時間、効果を発揮する。
 一方、日本製の『テナジー』(バタフライ)のようなテンションの強いラバーに対してはブースターは効果は薄いと言われているが、それでもテンションラバーにブースターを使う選手も後を絶たない。

 もともと卓球では1970年代から『スピードグルー』(スピード増強接着剤)が使用され、ラバーを膨らませ、ラバー全体にテンションをかけて弾性を高めることが日常的に行われていた。この『スピードグルー』には人体に有害な揮発性有機溶剤が含まれていたが、2008年にITTFが使用を禁止。その後に、揮発性有機溶剤を含まず、接着力のないブースター(オイル系)が出てきたのだが、「ラバーの後加工(あとかこう)禁止」(ラバーは出荷状態と同質のものでなければいけない)」というルールができて、水溶性接着剤と接着シートのみが許可されている。ブースターの使用は、出荷されたラバーに後加工するために、卓球における「用具ドーピング」とも言われている。

 スピードグルーの禁止当初から、硬い中国製ラバーを使用する選手は、隠れてラバーにブースターを塗っていた。2012年のロンドン五輪後に日本の水谷隼が「ブースター問題を解決してほしい。アンフェアだ」と抗議し、国際大会をボイコットしたこともある。

 しかし、その後も中国ラバー以外のラバーにもブースターを塗る行為が横行し、ボールに威力を出そうとする選手の動きは止まらなかった。検査する際にラバーを剥がすわけではないので、ラケット中心部を薄く削り、ラバーの打球部分のみ規定の4mmよりも厚くして、ボールの威力を出そうとする選手もいると言われてきた。今回の新しい検査方法でラバーを剥がすことになれば、もしラケットに何らかの細工をしていればすぐに発見されるだろう。

新しい検査方法は、中国が標的ではない
「フェアな用具を使う卓球」への変身を目指している


 実際には、人体に無害のオイルで、有機溶剤の検査に引っかからないブースターを使うのがなぜ悪いのか、ブースターの後加工を認めるべきだという議論は以前からある。しかし、後加工を認めてしまえば、卓球の用具は際限なく細工され、用具偏重に陥り、スポーツではなくなってしまうという懸念もある。かつて、粒高ラバーを電子レンジで加熱して後加工していたという、嘘のような本当の話も存在する。

 今後はクロアチアオープン、香港オープン、ワールドチームカップなどで試験的な検査が実施される模様だ。今後、より多くの国際大会や国内大会でも行われるようになれば、ブースターや後加工したラバーを使っている選手に対して、一定の抑止力にはなるだろう。

 特に中国選手は、ブースターがもっとも効果を発揮する中国製ラバーを使っている。今回の検査が中国ラバーそのものに対する抑止力になるとすれば、彼らのプレーにも影響を与えるだろう。ただし、中国選手のほとんどがフォア面に中国ラバーを貼り、バック面に日本製ラバーを貼っている。つまり、彼らは十分に日本製ラバーも使いこなすし、用具だけで勝っているわけではない。その鍛え上げられた身体能力と技術力で勝っていることにも着目しなくてはいけない。

 今回の新しい検査方法は中国選手に対する抑止力を高めるものではなく、「フェアな用具を使う卓球」への変身を目指したものだ。さらに今後、はがしたラバーをガスクロマトグラフィー(化合物の機器検査)にかけ、出荷時のラバーと違う成分を持つラバー(後加工)を使用した選手に厳しいペナルティーを与えるなどのルールを強化していかければ、この後加工問題(用具ドーピング)は解決しないだろう。(今野)
  • 中国選手のラケットに貼られている中国製ラバー。表面が不自然に波打っている

ITTF(国際卓球連盟)より、2019年5月の世界ランキングが発表された。
 日本男子の首位は張本智和・4位、日本女子の首位は石川佳純・6位で、ともに先月と変動はなかった。
 長く故障で戦線離脱してランキングを落としていた馬龍(中国)が、復帰後は徐々にランキングを上げ、先月の11位から今月は5位に浮上している。

その他、気になるトップ選手の動向は

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 21日に開幕した世界選手権個人戦、69年ぶりにハンガリーのブダペストで静かに始まったが、来年の東京五輪を前に、ここがアジア勢の決戦の地になることを誰もが想像している。日本選手も中国選手も安定した出足を見せながら、大会のスタートを切っている。
 1926年(昭和1年)に国際卓球連盟が創立され、第1回世界選手権がイングランドのウェンブレーで開催された。その時の創立協会のひとつがハンガリーである。卓球が中国発祥の思っている人も多いのだが、実はイングランドが発祥で、アジアの日本や中国が世界の舞台に立つのは1950年代以降の話なのだ。
 かつてはシド、サバドス、ベルチック、その後、1970年代以降は、ヨニエル、クランパ、ゲルゲリーがハンガリーの全盛時代を築いた。世界卓球界の盟主であり、スウェーデンとともにヨーロッパ卓球の中核だった。

 大きな転換期は1989年。まずはドイツのベルリンの壁の崩壊だ。その後、冷戦は終結し、東欧の民主化が進んでいく中で、古豪ハンガリーも衰退していく。
 そういう中で2007年ザグレブ(クロアチア)、2010年モスクワ(ロシア)に続く、東欧ハンガリーでの開催となった。自国が決して強くはない中、今回よくぞ大会を招致し、開催したものだと思う。ハンガリー選手の活躍で盛り上がることがないと想定される中で、大会を持ってくるのはある意味相当の決意が必要となる。そこに国際卓球連盟創立協会として、かつて世界の覇権を握っていた協会の矜持を垣間見ることができる。

 今、ヨーロッパの卓球界は瀕死の状態になっている。かつて、ハンガリー全盛時代があり、その後、1980年代後半からスウェーデン全盛時代が訪れ、日本は低迷していたものの、そのヨーロッパに中国と韓国、北朝鮮が対抗する時代があった。
 1980年代から2000年にかけての世界の卓球はダイナミックでエキサイティングな時代だった。世界チャンピオンになりえる選手たちがいくつもの国にいた。卓球スタイルも百花斉放で、個性的な選手が多くいた。

 スウェーデン全盛時代に、まずスウェーデンの育成システムや練習方法はほかのヨーロッパの国々が模倣した。スウェーデン選手の創造的なプレーはコピーできなくても、その練習メソッドのコピーによって、個性的だったヨーロッパの国々の卓球がある意味画一化されていった。

 前述した1991年の東欧の自由化が、世界卓球に与えた影響は大きい。それまでハンガリーをはじめ、ユーゴスラビア(のちにセルビアやクロアチアなどに分離)、チェコスロバキア(後にチェコとスロバキアに分離)、ポーランド、ソ連(後のロシアやベラルーシ、ウクライナなど15カ国)などの国々は、卓球選手はステートアマ(国が支えるアマチュア選手)と呼ばれていたが、実施的には職業卓球人(プロフェッショナル)だった。彼らは国のナショナルトレーニングセンターで練習を重ね、生活をしていた。
 それが東欧民主化によって、ステートアマがなくなり、自力での生活を余儀なくされる。それは生活するためにはドイツ・ブンデスリーガやフランスリーグで、プロ選手として生活するということだった。

 それは有望な選手が、自国での訓練を行わないことを意味していた。これによって一気に東欧の卓球のレベルが落ち、世界の卓球の勢力図は、ドイツ、スウェーデン、フランスなどのヨーロッパのわずかな国と、中国、韓国、日本、チャイニーズタイペイ、香港、シンガポールなどのアジアに大きく傾いていく。
 もうひとつ重要なのは指導者の問題だ。それまでは国家公務員として保護されている中でジュニアやシニアを指導していたコーチが、民主化の影響で生活できなくなり、激減したことだ。
 東欧に限らず、ドイツ、スウェーデン、フランスでも良い指導者の枯渇が問題視されており、これがヨーロッパ卓球の地盤低下、低迷の最大の要因かもしれない。

 プロの指導者がいないヨーロッパに対し、日本では、特に女子では選手ひとりにマンツーマンコーチ、専任の練習相手、専任のフィジカルが帯同するのが当たり前となっている。日本選手を支えている経済的バックボーンが日本とヨーロッパの差になって現れているとも言える。

 日本の強化体制の二つの柱は個人の恵まれた環境と協会のサポートである。常に練習できるナショナルトレーニングセンターの存在も大きい。選手個人の所属チーム(もしくはスポンサー)の強大な経済的バックアップ(特に女子)、そこへの協会の配慮によって、日本の卓球は近年、独特の発展を遂げている。国家チームとして協会が全てを決定し、掌握する中国とは異なる強化方法だ。
 ヨーロッパの衰退と日本の隆盛。時に過剰にも見える日本選手の環境だが、中国や韓国でさえ参考にしようという動きもある。フルタイムのコーチさえ減っているヨーロッパにとって、ひとりの選手に専任のコーチ、専任の練習相手やフィジカルコーチがつくという体制は垂涎の的になっている。

 ヨーロッパ女子は壊滅的な状態であり、男子はボル、オフチャロフというドイツ勢も高齢化する中、有望な若手が出てこない。ヨーロッパが徐々にはあるが弱っていく中、卓球大国の威信を保とうとする中国と、多くのメダリストを輩出してきた韓国の地力、そして日本の素晴らしい環境などを考えると、今や完全に世界卓球の勢力図はアジアを中心に描かれている。

 「卓球がアジアスポーツになる」ことを関係者は指をくわえて眺めるしかないのか。近年、国際卓球連盟はマーケティング先行で卓球のステイタスを上げるために新しい試みを見せているが、卓球はグローバルスポーツとして、実は、内憂外患の時代を迎えている。 (今野)
  • 日本の柱、石川選手。「チーム石川」としての環境は整っている

  • かつてのスター選手、メイスの復活。欧州の若手は枯渇状態

 4月18日より、奈良・ジェイテクトアリーナ奈良で開催されていた第28回日本卓球リーグ選手権 ビッグトーナメント奈良大会が本日終了。昨日は男女ダブルス、今日は男女シングルスの決勝までが行われ、男子は有延大夢(リコー)、女子は宋恵佳(中国電力)がともに2冠に輝いた。

【男子シングルス】
優勝:有延大夢(リコー)
準優勝:笠原弘光(シチズン時計)
3位:平野友樹(協和発酵キリン)、上村慶哉(シチズン時計)

【女子シングルス】
優勝:宋恵佳(中国電力)
準優勝:安藤みなみ(十六銀行)
3位:平侑里香(サンリツ)、平真由香(日立化成)


【男子ダブルス】
優勝:鹿屋良平/有延大夢(リコー)
準優勝:松下海輝/藤村友也(日鉄物流ブレイザーズ)
3位:江藤慧/松下大星(クローバー歯科カスピッズ)、後藤卓也/渡辺裕介(協和発酵キリン)

【女子ダブルス】
優勝:土田美佳/宋恵佳(中国電力)
準優勝:松本優希/平侑里香(サンリツ)
3位:安藤みなみ/徳永美子(十六銀行)、鈴木李茄/近藤早紀(日立化成)

 有延は今日の初戦でいきなり皆川(日野自動車)に2ゲームを先取される苦しい立ち上がりも、徐々に調子を上げて藤村(日鉄物流ブレイザーズ)、高木和(東京アート)らを下して決勝進出。決勝では積極的に先手を奪っての鋭いドライブ速攻、持ち上げさせてのカウンターで笠原のペースに持ち込ませず3-1で優勝を決めた。
 シチズン時計に移籍後、初のゲームとなった笠原は気合いの入ったプレーで準優勝。準々決勝で松平、準決勝で平野と、昨年度まで所属した協和発酵キリンのエース2人を退けるなど存在感を放ったが、優勝には届かず。決勝後はベンチで悔しさをにじませた。

 宋は予選リーグ2位通過からの優勝。準決勝で社会人女王の平(サンリツ)にゲームカウント2-0と追い込まれたが、ここから3ゲーム連取で決勝へ。「相性は良いと思う」という青森山田の後輩・安藤の変化も苦にせず、しっかりとボールを絞ってストレートで圧倒。クールな宋だが、優勝の瞬間は拳を握り、チームメイトからの声援に笑顔を見せた。
 ルーキーの安藤はさすがの実力を見せて決勝に勝ち上がるも、青森山田の先輩に屈しデビュー戦Vはならなかった。しかし、実力者ひしめく中での準優勝は見事。チーム、そして日本リーグを盛り上げる選手となりそうだ。

 リコー、中国電力にとっては、初のビッグトーナメントでのタイトル獲得。昨シーズン、ファイナル4を初めて制した両チームだが、今年度の日本リーグ最初のゲームでも大きなインパクトを残した。
  • 男子シングルス優勝:有延大夢

  • 女子シングルス優勝:宋恵佳

  • 男女ダブルス優勝ペア