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平成24年度全日本選手権大会

●ジュニア男子準々決勝
村松(JOCエリートアカデミー/帝京) 7、4、4 平野(野田学園高) 
森薗(青森山田高) 6、9、5 堀(明徳義塾)
三部(青森山田中) 11、-6、-9、9、6 定松(希望が丘高) 
田添(希望が丘高) 8、11、9 吉村(野田学園高)

●ジュニア女子準々決勝
森(昇陽高) 7、1、6 楠川(城南高)
浜本(JOCエリートアカデミー) 9、6、-8、4 森薗(四天王寺高)
宋(青森山田高) 7、5、10 石川(JOCエリートアカデミー)
松平(四天王寺高) 10、9、-4、7 佐藤(尾札部中)

 注目の三部(青森山田中)は、パワーヒッターの定松(希望が丘高)と対戦。両ハンドに安定感はあるものの、まだ威力に欠ける三部。下がってしまうと、ボールがどんどん浅くなってしまい、長身の定松に上から叩き込まれてしまう。序盤は定松の威力のあるボールに押されっぱなしの三部だったが、徐々に対応し、真っ向勝負のラリーを避け、逆転勝ちをおさめた。準決勝は田添(希望が丘高)と対戦予定。3年ぶりの中学生チャンプまであと2つだ。

 女子では5回戦で平野(ミキハウスJSC山梨)を沈めた森(昇陽高)が大爆発。準々決勝では楠川を一方的に攻め立ててベスト4入り。昨年1月に青森山田高から転校し、新たな地で力をつけた森。誰も予想しなかったダークホース、その強さは一般でも証明され、世界選手権選考会1位の森薗(日立化成)を破る殊勲。その勢いはどこまで続くか!次は一般のラン決だ!
  • 定松を下した三部

  • 平野美宇、楠川を連破した森

●女子シングルス4回戦
福原(ANA) 14、5、9、4 酒井(四天王寺高)
福岡(中国電力) 6、−9、−8、−9、6、7、8 浜本(JOCエリートアカデミー)
森(昇陽高) 8、−8、7、8、6 森薗(日立化成)
根本(中央大) 5、7、−3、10、3 前田(希望が丘高)
石川(全農) 8、9、8、6 伊藤(十六銀行)

 第1シードの福原、第2シードの石川は、競り合うゲームもあったものの、しっかりストレート勝ちで5回戦へ駒を進めた。福原の右ひじはかなり回復しているようで、ロンドン五輪での好調を彷彿とさせるバック強打、フォア連打のコンビネーションを見せていた。石川も相手のあまいサービスは見逃さず、積極的なレシーブで先手を奪い、要所を締めた。

 また、女子ジュニアで平野美宇に逆転勝ちした森さくら(昇陽高)が、元全日本3位の実績を持つ森薗美咲に完勝。昨年の全日本直後に青森山田から昇陽へ転校した森は、「作戦はなくて、とにかく向かっていく気持ちだけ。守るつもりは全くなかった。それが結果につながったと思います」とコメント。バックサイドを切るバック強打にフォアの連続ドライブと、「積極」を絵に描いたようなプレーだった。ちなみに昇陽高校の旧校名は淀之水高校だ。

下写真左は福原、右は石川
●女子シングルス4回戦
前瀧(初)(正智深谷高) 7、7、5、7 平野(ミキハウス)
平(正智深谷高) 9、−9、8、1、6 石垣(日本生命)

 これが卓球の恐ろしさか。ロンドン五輪女子代表で有力な優勝候補のひとりだった平野早矢香が、高校2年生の前瀧に完敗を喫した。バック表ソフトの異質攻撃型である前瀧は、よく切れたバックのロングサービスを平野のバックに集め、平野が持ち上げてきたところを強烈なバックハンドで叩く。平野はまったくペースがつかめないまま、あれよあれよという間に4ゲームを連取されてしまった。
 平野のバックサイドのレシーブに回り込みが少なく、バックドライブが中心であること、初戦でまだ調子が上がっていないことに加え、平野のボールが前瀧のバック強打にピタリと合ってしまった。「ボールが合う」という表現はあるが、インターハイベスト32の前瀧が五輪代表に勝つとは…。「魔の4回戦」にしても、あまりに衝撃的なシナリオだ。

 「4ゲーム目の後半になってようやく調子が出てきたんですが、相手がこちらのボールに合ってしまった。まだ試合が終わったばかりで、戦術的な部分は整理できていません。ミキハウスに入ってからは、初戦負けは初めてだと思います」と試合後の平野。
 一方、大金星の前瀧は「ビックリです」となかなか言葉が出ない様子。「この大会で平野さんに当たれればいいなと思っていた。一般の出場は初めてなので、思い切ってやりました」と試合を振り返った。

 また、昨年の世界団体選手権の代表である石垣優香も、同じ正智深谷高の平侑里香に敗れた。チームメイトにインターハイ3位のカットの池上がいる平は、カットを打ち慣れている様子。「粘るしかない。慌てずに長くラリーを続けようと思った」という言葉どおりの落ち着いたプレーで、こちらも金星を挙げている。

写真は左上から時計回りに、苦戦に表情が曇る平野、強烈なバック表ソフトの強打を見せた前瀧、平に敗れた石垣
 混戦となったジュニア女子5回戦。マスコミも注目の平野美宇と伊藤美誠がそろって5回戦敗退となった。平野は2ゲームを先取してからの逆転負け、伊藤もフルゲームジュースで破れ、悔しさの残る敗戦となった。

●ジュニア女子5回戦
森(昇陽高) -8、-8、3、10、7 平野(ミキハウスJSC山梨) 
楠川(城南高) 8、6、-8、-7、8 加藤(県立岐阜商業高)
森薗(四天王寺高) -7、8、7、-8、10 伊藤(豊田町卓球スポーツ少年団)
石川(JOCエリートアカデミー) 12、8、-8、9 前瀧(正智深谷高)
宋(青森山田高) 6、6、6 高橋(岩国商業高)
浜本(JOCエリートアカデミー) -6、-7、5、9、9 前田(希望が丘高)
佐藤(尾札部中) 7、9、10 加藤(県立岐阜商業高)
松平(四天王寺高) -6、-5、8、11、6 加藤(JOCエリートアカデミー)

試合後の平野美宇と伊藤美誠のコメント

平野美宇
「2-0でしかも自分がリードしている場面で挽回されてしまい、本当に悔しい。相手にドライブをされた時に、安定して返球できないことが課題だと思います。去年と比べてサービスの種類も増え、色々なレシーブもできるようになったことが良かった」

伊藤美誠
「あまり対戦したことが無かったので、ビデオを観て対策を立てたが苦しい試合だった。まだまだ自分に甘い部分があるのかなと思いました。明日以降のダブルスでは、最低でもベスト4、できれば優勝を狙っていきたいです」
  • 一般では3回戦で重本(サンリツ)に敗れた平野

  • 会見でコメントを述べる伊藤

混合ダブルス準々決勝で苦戦を強いられたのは前年度チャンピオンの松平/若宮。藤本/平野に2ゲームを先に奪われる劣勢を跳ね退け、逆転でフルゲームジュースの接戦に終止符を打った。明日の準決勝は吉村/石川との対戦となる。

●混合ダブルス準々決勝
松平/若宮(協和発酵キリン/日本生命) -9、-8、4、6、10 藤本/平野(近畿大/ミキハウス) 
吉村/石川(愛知工業大/全農) 5、6、8 軽部/小野(シチズン/日立化成) 
田添/前田(希望ヶ丘高) 8、7、6 笠原弘/笠原多(協和発酵キリン/大正大)板倉/飛永(早稲田大) 9、-4、7、5 柴田/安達(愛知工業大)
  • 松平/若宮の勝利のハイタッチ

  • 藤本/平野はあと一歩及ばず

●男子シングルス1回戦

藤原(昇陽高教員) 5、-8、8、-8、8 齋藤(埼玉工業大職員)

 「本当に残念、そのひと言です」。男子シングルス1回戦で敗れた齋藤は、会見で開口一番、そう切り出した。「心の中では、今回の全日本が最後だと決めてきました」

 対戦相手の藤原は打球点の高い両ハンドドライブを放つ右シェークドライブ型。打球点の差は一目瞭然。齋藤にかつての豪打の面影はなく、得意のバックサービスも効かない。それでもサービスをフォアサービスに切り替え、緩急をつけたドライブと的確な読みで、ゲームオールまで持ち込んだのはキングの意地か。

「普段の練習の力が発揮できない。練習と試合とのギャップの差が大きくて、何でだろうなと…。全国教職員大会で優勝して、推薦とって出場できたけど、県予選に出てまで全日本を目指すつもりはない。県予選に出たら通るチャンスもあるかもしれないけど、若い選手たちの枠をひとつ減らしてまで、全日本に出るつもりはありません。
 1月1日だけ休んで、今回はしっかり練習をやり込んできたけど、3日前に少し張り切って1時間早く練習を始めたら、左の太ももを傷めてしまった。今回は調子は悪くなかったけど、卓球の調子が良くてもどこかにケガが出てきてしまう。体は丈夫だと思っていたので、ショックですね」

 齋藤のベンチには明治大時代の恩師・四ヶ所喜太郎氏が入り、「ここはお前が83年世界選手権でベスト8に入ったところだ。今日は勝ちにいこう」と試合前に言われたことを明かした齋藤。途中から涙も見せた会見を、「本当にありがとうございました」と深々とお辞儀をして締めくくった。
ジュニア男子の5回戦が終了しベスト8が出揃った。第1シードの村松(JOCエリートアカデミー/帝京)、第2シードの田添(希望が丘高)は順当にベスト8入り。エリートアカデミーの大塚、東、酒井はパワーのある高校生の壁を破れずベスト16止まりとなった。

●ジュニア男子5回戦
村松(JOCエリートアカデミー/帝京) 7、8、10 下山(青森山田高)
平野(野田学園高) 8、-7、7、9 上村(希望が丘高)
森薗(青森山田高) -7、7、4、11 大塚(JOCエリートアカデミー/帝京)
定松(希望が丘高) -7、4、5、9 東(JOCエリートアカデミー/帝京)
吉村(野田学園高) 9、9、-4、12 及川(青森山田中)
堀(明徳義塾高) 9、-7、8、10 酒井(JOCエリートアカデミー/帝京)
三部(青森山田中) -8、3、6、10 松下(愛工大名電高)
田添(希望が丘高) 9、9、10 渡辺(明徳義塾高)
  • 優勝候補筆頭の村松

  • エリートアカデミーの酒井を破った堀

 平野美宇の女子シングルス3回戦の相手は重本(サンリツ)。重本のパワーのある両ハンドドライブにも決して負けていなかった平野だが、ジュニアと比べて1本多く戻ってくるラリーで先手を取れず、最後はジュースから重本が2点を奪い、ゲームオーバー。平野の4回戦進出はならなかった。

●女子シングルス3回戦
重本(サンリツ) 9、-7、6、10 平野(ミキハウスJSC山梨)
 今年の全日本で「平野」といえば、ロンドン五輪女子代表の平野早矢香か、はたまた天才少女・平野美宇か。いや、こちらの「平野」くんの名前も覚えておいて損はない。野田学園高のサウスポー・平野晃生。
 日本の男子選手では、サウスポーというと技巧派か速攻派に分かれるイメージがあるが、この平野はパワーで勝負できる貴重なタイプ。打球点の早いパワフルな両ハンドドライブは、一発で抜き去るパワーを備えている。まだ技術の安定性や試合運びには課題もあるが、この身体能力とパワーは魅力。ルックスもなかなか精悍(せいかん)なのだ。
●女子シングルス2回戦
粟屋(就実高) 10、4、−5、3 伊藤(豊田町卓球スポーツ少年団)

 女子ジュニアで5回戦(ベスト16)に進出した伊藤美誠だが、一般シングルスは2回戦で敗退。ジュースにもつれた第1ゲーム終盤に打ちミスが出たのが惜しまれる。バック表ソフトでは強打だけでなくストップ性のブロックも見せたが、バックサイド深くへロングサービスを出された時の対応が今後の課題か。
 世界ジュニア団体戦で、チームの切り込み隊長として強打を連発した時のプレーと比べると、サービス・レシーブももうひとつ積極性を欠いていたように感じた。フォア強打のパンチ力には目を見張るものがあるだけに、残る女子ダブルスとジュニアでは、挑戦者精神で臨んでほしい。
  • 敗戦にショックの表情を浮かべる伊藤

  • 伊藤に勝利した粟屋