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中国リポート

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 3月30〜31日、遼寧省鞍山市で国家1軍・2軍チームの監督・コーチの選考会議が開催される。北京市ではなく鞍山市で行われるのは、3月23〜29日に第13回全中国運動会の予選会が鞍山市で開催されるからだ。2年に1回開かれるこの選考会議。本来なら昨年末までに行われるべきものだが、3月末まで延期されていた。今回の会議で、2020年東京五輪を戦う国家チームの指導陣が決まる。選出される監督・コーチの定員は下記のとおり。

・総監督 1名
・男女1軍チーム監督 各1名
・男女1軍チームコーチ 各5名
・男女2軍チーム監督 各1名
・男女2軍チームコーチ 各3名


 監督・コーチの選考は、国家卓球・バドミントン管理センターの劉暁農主任をはじめとする「2017年国家卓球チームコーチ選考委員会」、現在の国家チームのコーチ全員、国家チームの選手代表、国家チーム顧問グループ、各省・区・市の優秀男女チームの監督および卓球運動管理センターの主任、さらにスーパーリーグのクラブ代表……等々が出席する。国家チームの顧問グループは、北京市女子チームの張雷監督をリーダーに、王涛(人民解放軍)、馬文革(天津市)、于沈潼(遼寧省)、曹燕華(上海市)、王励勤(上海市)、馬琳(広東省)、喬雲萍(山東省)といった往年の名選手たちが名を連ねている。現役の選手を除けば、まさに「中国卓球界、全員集合」という感じだ。
 ちなみに総監督や男女チーム監督には、世界チャンピオンかオリンピックチャンピオンでなければ就任できない。下記は男女チーム監督になるための条件だ。

■男女チーム監督になるための条件
1:世界チャンピオンもしくはオリンピックチャンピオンであること
2:これまでに世界チャンピオンかオリンピックチャンピオンを育てていること
3:コーチとして世界選手権あるいはオリンピックに参加していること
4:4年制の大学卒業以上の学歴を有していること
5:高級以上のコーチの資格を有していること
6:世界における男子/女子卓球の発展の動向、最新の練習方法を正確に把握していること

 ……恐ろしいハードルの高さである。総監督もほぼ同等の条件だが、コーチの国家資格として最上級となる「国家級」の資格を取っていなければならない。
 選手時代のビッグゲームでの実績が問われるのは総監督と男女チーム監督だけで、1・2軍チームのコーチや2軍チームの監督はあくまでコーチとしての能力が問われる。普段の指導はコーチが数人の担当選手を受け持ち、ビッグゲームでは監督が自身の経験を生かし、選手たちの「モチベーター」として機能する。この役割分担は非常に明確だ。たとえば国家女子1軍チームの李隼コーチは張怡寧や李暁霞を育て、指導者としての実績では群を抜いているが、監督にステップアップすることはできない。表舞台で注目を集める監督のため、担当選手を鍛える裏方なのだ。

 国家男子チームの劉国梁監督、同女子チームの孔令輝監督の留任が濃厚と見られていた今回の選考会議だが、CCTV(中国中央電視台)は劉国梁が男子監督を退任して総監督に専念し、男子チームの監督交代が行われる可能性を示唆している。噂は以前から囁(ささや)かれていたが、監督になるための条件を満たせる数少ない男……馬琳がその第一候補だという。そのニュースは追ってお伝えします。
  • コーチ選考委員会の主任となる劉暁農氏(左/写真は15年スーパーリーグ・プレーオフ)